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| SOS 〜喪われた教室〜 |
「先生、少しは、先生も戦ってくださいよ」
そう言いながら、俺は3匹目の蛙をたたきつぶした。
「あら、私なんか、役に立たないわ。かよわき数学教師ですもの、ほほほ」
う〜ん、普段のキツネちゃんは、あれでも猫をかぶっていたってのを、初めて知ったよ。どこぞのお嬢様教師だと思っていた俺が馬鹿だった。これじゃあ、そこいらにいるタカビーギャルと変わらないじゃんか。
「あら、なんだか不満そうね。その目。なにか、モ、ン、ク、でも、あるわけぇ?
キツネちゃんはニヤリと笑った。嫌な予感。
「そういえば、こないだの小テスト。三十二点だったかしら… あれって、証明記号が下手くそだったわね。ちゃんと書いてない分、三点ばかり引いておかないと、かしら」
「はあ?」
「そうなると、さんじゅうにー、ひく、さん、ってことだからあ、あら、どうしましょう。赤点になっちゃったわぁ〜」
訂正する。
ギャルの方がましだ。なにが「そういえば」だ。かんけーねーだろうが!
心の中で思いっきり罵りながら、それでも、周囲から一切気を抜けなかった。
蛙が襲ってくる。
といっても、足が6本あって、複眼(多分)でもって、毒液らしいモノを2メートルもとばしてくるヤツだ。
そいつらが、さっきから天井にへばりついていて、時折、思い出したように、襲ってくるのだ。
蛙だけじゃない。通り過ぎた教室の窓から「ケルちゃん」が飛び出てきたコトもあった。
職員室を出るときに、見つけた木刀。こいつがありがたかった。
どうやら、なにかというと木刀を振り回す、社会の田中先生のモノらしいが「愛用」の品だけあって、黒檀製のしっとりとした出来具合だ。ただし、黒檀は重い上に、折れやすい。
普段だったら、うっとりするほど美しいものなんだが、命を預けるには、愚痴の一つも言いたくなる。いや、命がけってのは、「多分」ではあるけどね。だからといって、蛙の飛ばしてくる液体を浴びて、試すなんてのはごめんだ。
あいかわらず、本人は脳天気にすたすた歩いている。そのキツネちゃんの横で、俺は冷や冷やしながら、階段に向かったんだ。
俺の学校の造りは、ほぼ真四角。ロの形をした作りで、丘を削って建てたせいか、二階に玄関があり、四階まで行くには、職員室から一番遠い階段を使う必要があったんだ。
なんで、四階に行くのかって?
「横山さんを連れて行ったのは、化け物ではなくて、人間。争った後がないんだから、何かで脅したに決まっているわ。その上、化け物の侵入が防げそうな部屋と来たら、防音のできる音楽室か、窓のないドアがついてる理科室。後は、視聴覚室だけ。どっちみち4階よ」
うわー、どうして、そう決めつけられるのか。ただ、反論するだけの材料もなかったし。そのまま従うことにしたんだ。どっちみち、四階まで行って、上から順番に探すってのも、まあ、一つの方法だしね。
いくらなんでも、四階の窓から「ケルちゃん」は入ってこないだろうし。
な〜んて、考えている俺が甘かった。
先生が立ち止まる。
白衣の腕を組んで、首を少しだけ傾ける仕草は、こんなときであっても色っぽさが漂ってくるんだよなあ。でも、先生の一言で、色っぽさ取り消し。
「なんだか変な感じよね」
「わ〜、またですか、先生。先生がそう言うたんびに、何か出てくるような気がするんですけど」
そうなんだ。ここの化け物は、その存在が見える瞬間まで「気」を見せないんだ。
そのくせ、先生が、なんだか変な、などというと、たちまち現れる。いったいどうなってるんだ。いささか、修行の成果に自信のあったのに、プライドが…
なんとか四階までたどり着いたときだった。
不意に階段の下に気配。
『わっ、わっ、わっ、こりゃダメだよ』
階段の下には、見事な巨体で、うなり声を上げるケルちゃん達。しかも三匹。
団体さん、いらっしゃいませ〜
って。おいおい。
こ、これは、守りきれない。
俺だけならともかく、こいつらのスピードだと、二匹は倒せるとして、もう一匹がキツネちゃんの所に行ってしまえば、どうしようもない。
「に、にげましょう」
「あ〜ら、ただ逃げるってのはまずくない?」
「どうして?どうせ戦っているのは俺だけですよ、間に合いません」
「だって、ほら」
そういって、理科室に通じる廊下を指さす。きれいな細い指の向こうには……
驚いたなんてモンじゃない。
「いつの間に」
廊下の上に、びっしりと止まっているコウモリの群れ。ただし、身体の大きさは大型犬並だが。
数は、暗くて後ろの方は見えないけど、もう、生涯コウモリなんて見たくないってほどいる。
ああ、生きて戻れたら、コウモリ撲滅運動に署名することにするよ。うん?カンキョー保護ぉ?
まず、俺たちの命の保護運動に、こいつらが賛成の署名してくれたら考えても良いよ。
しかし、どうやら、コウモリ達は保護運動には関心を示さないタイプらしい。
群れの前の方の連中が翼を上げる。あれ、下げるっていうのかな。ともあれ、飛ぶ姿勢だろう。
あの凶暴な面構えは、もちろん、俺たちを狙っているんだろうなあ。
ちくしょう、『緑豆(グリーンピース)』に訴えてやるぞぉ。
「さ、下がって」
「どっちに?」
「とにかく、俺の後ろに行ってください」
「あのさ、このまま、後ろの音楽室にとりあえず入ってみるって言うのはどう?」
「のったあ!」
叫ぶのと、キツネちゃんが、それでも、けっこう、すばやく音楽室のドアに飛びつくのが同時だった。そして、それと同時に、咆哮をあげたケルベロスが階段を跳び上がり、バサバサという羽音をざわめかして、コウモリ達が飛びかかってくる。
正眼から、振りかぶっている隙はない。そのまま、右に片手突きを入れて、最初に駆け上がってきたケルベロスAの鼻先に掌底から気を飛ばし、牽制をいれつつ、そのまま、左手を添えて地擦八双からの逆袈裟で、正面に飛んできたコウモリの顔を叩き飛ばす。
もちろん、次に飛んできた、ケルベロスBの前足をかわしながら、木刀を横に薙いで、ケルベロスCの片方の頬に、気の固まりをぶち込むのもほぼ同時。
おっと、後ろから飛んできたコウモリも上体を5センチずらして、2ミリ差で爪を避けるのも、ほとんど同時だな。
いや、だからさ、もう、わけのわかんないくらい、いろいろなことを同時にこなしたんだ。
流れる水のごとし。
な〜んていったって、限度があるぞ!
これだけの数。
一度に相手にするのは分が悪すぎらぁ。次々に新手で、気を溜める余裕もない。だから、一撃で倒せない。倒せないから、敵が減らない。減らないから、気を溜める余裕が生まれない。
くそぉ、割り込みはマナー違反だろ。公共広告機構(えーしー)だって、そう言ってるぞ。
返す刀で、コウモリをたたき落とす。
そいつがどうなったのか、見定める前に、足は、そのまま、すり足で、右斜め前に出て、ケルちゃんの前足を3ミリ差で、よけざまに、次のケルちゃんの鼻先にツキをくれてやる。
くそっ、おまえら、どういう教育を受けたんだよ。順番、守りやがれ。
ヒーローモノなら、雑魚キャラは、順番にかかってくることになってんだぞ。
グチの一つも、イヤ、グチのマシンガン連射くらいしたくなる。
もちろん、その間も、身体は連中の牙をかいくぐり、足を弾き、翼を吹き飛ばしながら、懸命に戦ってた。
すこしずつ音楽室に向けて後退してるつもりなんだけど、逃げ込むための余裕がなかったんだ。
『キツネちゃん、大丈夫かな』
ちらっと、音楽室の方を向いたのがよくなかった。その瞬間、やっぱり、スキができたらしい。
ケルベロス(うん?おまえはAか、Bか、Cか?な〜んてどうでもいいけどさ)が、俺の脇腹をめがけて飛びついてくる。避けられない。かろうじて木刀の柄を片方の首に上からたたきつけて、防いだけど、あ〜あ、ブレザーの右側が、ごっそり破れちまったじゃないか。あとは、多分、折れた肋骨が2〜3本ってとこかな。
で、正面から来たコウモリを下からそのまま切り上げたら、変な手応え。
クソ、気を十分に流し込めてない。
「あっ」と思ったときには、木刀は長さ30センチのただの木ぎれになっていた。
ちくしょう、これで、ジ・エンドかよ。ああ、童貞のまま死ぬのなんてやだよ〜。
飛びついてくるケルを交わして、かわして、木刀の柄でコウモリを横になぎ払う。
クソ、限界だ。
その時だった。プシュっという、なんだか殺虫剤の音を大きくしたような音がして、白い煙。
ケルベロスが飛び退いた。
「鹿取君、こっち」
ああ、先生の声が天子の鈴のように聞こえる。もちろん、そんなモノを聞いたことはないんだけどさ。でも、ホントそう感じたんだ。
で、身体は、その声を聞き分けるやいなや、反応して、音楽室のドアへ。
白い煙がもうもうと立ちこめている。
消火器だった。
先生が、消火器を浴びせて、援護してくれたってわけだ。
その瞬間の先生の白衣が、天使の白衣に見えたね。ホント。これで背中に翼が突いてたら、アンタは天使だ。俺が認定証を書いても良い。
バカなことを考えている瞬間も体は、素早く動いている。
一瞬の隙をついて、先生を先に、音楽室に飛び込んだ。
バタンと厚い鉄製のドアを閉じたときには、すでに、奴らが殺到してくるところだった。
外側に開くタイプだったのが救いだった。まさか、ケルベロスがドアノブを回して引っ張るようなマネはできないだろう。
前足を揃えて、ニャオン、じゃなかった、わぉんって感じか。
おお、自分で言ってて何だけど、ちょっと可愛い光景だぞ。
まあ、もちろん、あのごっつい「ケルちゃん」達が、そんな器用なマネをするはずはない。一安心ってとこか。
しかし、用心のため、そこらにある机を、放り投げるようにして、入り口に即席のバリケードを築く。
さすがの、キツネちゃんも、今度は協力的だ。
「ふえ〜、助かった〜」
「助けた〜」
のほほ、って、勝ち誇った笑い声を立てる余裕があるんだから、考えてみれば、俺が思うよりも実は大人物なのかもしれないと一瞬、思った。
「すっごいじゃない。あんなにたくさんと戦えるなんて」
「ええ、まあ」
「でも、ま、私のとっさの判断で救われたボーイは、まず、私にお礼が必要なんじゃないかしら」
「ぐ〜っ」
「ほほほ、あなたも、少しは、がんばったのを認めるけどぉ」
歯ぎしりしそうなオレの表情を面白そうに見ながら音楽室をあちこち眺めている。窓の外は、ほんの少し明るくなっていたんだ。
それにしても、先生は、全然この事態に動じてないみたいなのは、すごいのかもなあ。
俺ときたら、すっかりのぼせ上がっちゃってる感じだもんなあ。
山ごもりしてましたなんて、恥ずかしくって先生に言えないよ。俺はチラッと修行を思い出す。爺ちゃんがいつも言ってた。
「おまえは、外気の利用の仕方を知らん。内気だけでは、大勢に取り囲まれれば、死ぬしかないぞ」
あの時は、今時、命がけで大勢と戦うなんてあるワケねーだろ、ってのがホンネだったんだけどなあ。あ、もち、言葉にしませんよ。じいちゃんは、俺を目に入れても痛くないほど可愛がってくれるけど、こと、修行に関することは鬼だからね。
もし、漏らせば、まあ、骨の一本ですめば上出来って所だ。
ただし、頭の中とは別に、身体はせっせと働いていたんだ。
その辺の机を10個くらい積んで、初めて、一息つく。
ドンドンと、外からぶつかる音が激しい。その度に、中の机もビリビリと震える。外が少し明るくなってきたのか、燐光のような淡い明かりが窓から差し込んでくる。それだけでも暗さに慣れた目には十分だった。
思わず横にいる先生の方を振り向くと、先生のぱっちりした目が、俺のことを見ていて、ばっちり目が合ってしまった。
あわてて、視線を外す先生。まるで、恥ずかしそうな乙女のような仕草に、俺の方がどきどきしてしまったぞ。
先生が下を見たまま、妙に明るい声で話しかけてくる。
「な〜んで、そんなに、人を襲いたいのかしらね」
「知りませんよ。ところで、中は大丈夫なんでしょうね」
「あら、知らないわ。そんなの私に分かると思うなら、どうかしてるわね」
はいはい。
とりあえず、二人で手分けをして、音楽室を調べたんだ。もちろん、ここに美久がいないのは、すぐにわかったけどさ。
結局、ここには何もないと言うことだけはわかった。
使えそうなものもない、非常口もない。まあ、これはあっても、出られるとも思えないけどさ。
もちろん、武器になるようなものはない。
ここまで相手が多いとなると、日本刀なら言うことないが、せめて短刀でも、いや、包丁クラスで良いから、気を鋭角で放てる、金ッ気のあるものが欲しかった。
「リコーダーならあるわよ」
先生、それは…… とほほ。
まるで、お約束のように、リコーダをくわえて一小節。
おお、アマリリスだ。
がっくりした俺の方を見ていたのか、いないのかわからなかったけど、先生が次にひょいって何かを取り出した。
「あ〜ら、そんな露骨にいやな顔しないのよ。ほら、これなんてどう?」
せ、先生、それ、指揮棒です。
がっかりする俺の顔を面白そうに見ながら
「あら、ガッカリしないでよ。よくあるじゃない。美しい魔法使いが、こんな棒で、エイってやると、魔法が使えて…」
先生、その『美しい魔法使い』っていうのは、あの、先生自身のことですよねぇ…と言おうとして驚いた。
キツネちゃんは、茶目っ気たっぷりに(この期に及んでもだ)ドアに向けてエイって、振って見せたんだが、その途端、ドアの音が止んだんだ。
「先生、いったい、これ」
「やあね、偶然よ、偶然。やあね、もう、あなたこそ普通のオタクじゃなかったなんて、なかなかスミにおけないぞ」
「先生、ごまかさないでください。そう言えば、さっきから、俺には、察知できない相手に、いち早く気づいてますよね」
「ドキ」
先生、ドキを台詞で言ってどうするんですか。
頭の中で突っ込みを入れつつ、それでも、先生がなんて言うのか待ってみた。
突然の、先生のマジの顔。
「あのね、どうやらね、アタシらしいの」
「へ?」
「今回の騒ぎの狙い」
はあ?
今日一日で何度驚いたのか、数えられないほどだ。
「さっきの保健室。貴田先生はどうやら、何かを知ってらっしゃったみたい」
「はあ」
俺は、ますます訳のわからん話になりそうだったので思わず、そこの椅子に座りこんでしまった。
肋骨が痛んだ。
結構、マジ、苦しい。
先生は、机越しに、椅子に座ると、頬杖を付きながら、こっちに身を乗り出してくる。
ああ、改めて近くで見るとやっぱり美人だよなぁ。
しかも、良い匂い。
このまま、つうっと先生に惹かれてしまいそうだ。
いかんいかん。俺は改めて頭を振って正気を取り戻そうとする。
でもさ、キツネちゃんの唇が色っぽくってさ。
思わず、唇をじっと見つめる。その唇はさらに動く。ああ、このまま、先生の唇に吸い込まれたい……
「ね、聞いてるの!」
そう叱られて、また、ハッと我に返った。
「う、うん、もちろん」
「直連家の伝承によれば、二十二代目の当主、ってこれが父のこと。には、美しい娘が生まれて、その娘が無垢のまま二十三歳になって『鍵』と出会うことで、直連家は、喪われた闇を統べる力を取り戻すってわけ」
ああ、先生の唇。なんだか光ってる気がする。ああ、あれにむしゃぶりつきたい。
アレ、ちょっと待って、なんて言った。先生。
「かぎ?」
「そう。どうやら、鍵となる男がいて、その人と初めての契りを交わすことで、封印が解けるんだって。要は、処女をその男に捧げれば、ご褒美に力をくれるってワケ」
「処女って」
俺は、先生が「処女を捧げる」だなんて、ナマなセリフを言うのにすっかりビビっちゃったんだ。
か〜、やっぱ童貞はだめだね。
急にどきどきが激しくなる。白衣の胸のふくらみが、妙になまめかしく見えてしまっていた。
「あら、処女に魔力を認めるのは洋の東西を問わないわ。日本だって、巫女さんは本来、みんな処女じゃなきゃいけないはずよ」
「はあ」
俺は、先生の思わぬ勢いと、それに、ああ、それに、白衣の間から立ち上ってくる、むわって感じのオンナくささに、正直、それどころじゃなかったんだ。
だけど、先生は、そう言う俺の態度を、信じてないと受け止めたらしい。
「あのね、私の名前」
「え?」
「あなた達は、キツネ、キツネっていう時、あの『ごん狐』の狐のつもりでいたでしょ」
『ハイ、その通りです』
とは言えないから、曖昧な表情でごまかす。
「あのね、それ、実は、あたりなの」
「へ?」
「私の名前は、あの、動物の狐からとったの」
「はあ?」
「日本霊異記って知ってる?」
「にほんりょーいき…ですか」
「そう、平安に入って、三十年もたたないころ、薬師寺の僧、景戒が『余人の迷執に陥って悪業を重ねるのをやめさせようとして、我が国の実話を集め』た本」
「それが、なんか関係あるんですか?」
まさか、数学の先生から、そんな難しそうな本が出たのが不思議だった。
「その中にね、『狐を妻として子を産ましむる』話が出てくるの」
「はあ」
いきなり、そんな話をされても。俺がぽかんと先生の横顔を見つめているのをちっとも気にしないように、先生は話を続けた。
「欽明天皇の治世にね、ある豪族が街で見かけた女を妻としたら、飼っている犬が全く、妻にはなつかなかったの」
「犬…」
「で、ある日、縄を解かれた犬が、妊娠中の妻を追いかけて、挑みかかると、妻は、正体をあらわしてしまうのよ」
「狐、ですか?」
「そう。でもね、この豪族がオモシロイ人で、もうおまえとは子どももできた間柄だ。これからも夫婦でいようっていうの」
いったん言葉を切ってから、そのきれいな唇をぺろりと湿らせる。まるで、軟体動物のような舌の動きに、またまた、童貞君の俺がどきどきしてしまうのを楽しまれている気がした。
「で、そのまま二人は仲むつまじく暮らしたんだけど、問題は生まれてきた子が普通じゃなかったの」
「ああ、カ○ワ」
ペしっ!
「すんません…」
「真面目に聞いてよ」
はぁ、一応真面目なつもりなんですが。
「故にその相生ましめし子を岐都禰(キツネ)と名付く。また、その子の姓(かばね)を狐の直(あたへ)と負わす。この人強き力多(あまた)あり、走ること疾くして鳥の飛ぶが如し。三乃国(みののくに)の狐の直等(あたへら)が根本これなり」
先生は暗唱するみたいに一気にしゃべる。多分、暗記してるんだろうけど、それって。
「つまり、キツネと名付けられたその子は、『キツネの直(ちょく)』つまり、キツネの直系の子孫と言う一族の始まりだったわけ。そして、その子は、スーパーマンみたいなすばらしい才能を持っていた、というわけ」
「直って、あの、先生の名字に使われている直の字ですか?」
「そうよ、ついでに言っておくと、直連(なおむら)の連は「むら」。それは「天皇の直臣(じきしん)」ってことね」
「じきしんって、マジかよ」
今時「直臣」なんて言葉が、歴史の時間以外で使われるなんて思っても見なかった。
「たぶん、歴史のどこかで、天皇の直臣になっていたのよ」
「まるで信田(しのだ)の狐だ」
「あら、理系のくせに、少しは知ってるのね、さすがヲタ」
「いくらなんでも安倍晴明くらい常識ですよ」
「そう、平安期最大の呪術師として知られる、陰陽師『安倍晴明』も、母親が狐ってことになってるのよね、でも、その晴明だって、私の一族からすれば、分家の血よ」
「清明が、ぶ、分家…」
ずいぶん、豪勢な分家もあったものだ。ところで三乃って言ったよな。
「でも、それが、あ、三乃って、まさか」
「後に「美濃」の字をあてるその土地は、私の一族の発祥の地」
ふと、目を覗き込まれると、吸い込まれそう。それなのに、俺のアレがさっきから、痛いほど元気なんですけど。
本当は三乃って聞いて、言わなきゃいけないことがあったんだ。でも、先生の唇が動くのをぼーっと見ちゃったんだよ。
「おかしいと思ったことない?戦国期、織田信長は、今川を破っても、駿河に行かず、美濃の完全制覇に固執していた。おまけに、信長、秀吉、家康。み〜んな、あの土地を出発点にしてる」
「それは、まさか」
「すくなくとも、私のご先祖サマ達は、とてつもなく迫害にあうか、厚遇されるのかの両極端だったみたいよぉ」
「天下を取るための何かの力を、本当に持っていた…」
「そうね、どの権力者も、最初は、半信半疑で、次は厚遇。次第に怖くなって、最後はやっかい払い、って感じのようね」
「安倍晴明もそうだったように。平安期の闇の力を仕切る力を持っていたはずの一族。でもね」
そこで、先生がきっと唇をかみしめたんだけど、美人のそう言う表情って、きれいだなあって改めて思ったぞ。
「いつの間にか『敵』に、力は封印され、後代に託すしかなかった。その一族の願いが、私なの」
「先生、それ、本当ですか?」
あんまりにもできすぎた話で、それを信じろって言うのが無理だ。だって…
「私はぜんぜん信じてないけどね」
「その、娘が鍵と出会うって…」
「あら『美しい』娘よ。間違えちゃダメ」
「先生、ちゃかさないでください」
「言い伝えがあるのは本当よ。だから、もう、私の一族は大変よ。私が男とつき合わないように、子どものころから監視付き」
先生は、ちょっと遠い目をする。
「でも、こっそり男の子と仲良くなると、なぜか邪魔が入るのよねぇ、あ〜あ、大学時代なんか、何度、合コンがつぶれたことか。そうそう、せっかく男の子と仲良くなったのに、帰り道で、酔っぱらいに絡まれて、そのまま救急車に乗っちゃったことまであったわ」
「え、先生、怪我でも?」
「ううん、その男の子がね、なんだか、酔っぱらいのおじさんに絡まれたと思ったら、途端に、気を失っちゃって、あ〜あ、気の弱い子はダメねぇ」
「せんせい、それひょとして…」
多分、ひょっとしなくても、偶然じゃないと思うケド。
「ま、思いっきり偏った家庭教育のおかげで、あんまり男の子とつき合いたいって思ったことはないんだけどさ、一度くらいはねぇ」
「せんせい、あの」
俺の言葉を遮るようにキツネちゃんは言葉を続ける。
「どうせ、さっき聞いてたでしょうから、言うけど、だから、私ってば、正真正銘の処女。でも、伝承では、今日までに『鍵』と出会うことになってるのに、やっぱり、言い伝えなんてダメねぇ」
「先生、今日が誕生日なの?」
「そうよ。オトコを知らずに、屈折二十三年。今日から、解禁!ってな感じになるかと思ってたのに、ヘンなとこには来るし、ヘンなコトされちゃって、おまけにそれを生徒に見られちゃって、ついてないわ」
そう言ってウインクする先生の目がとっても色っぽくって、そのままふらふらと、唇に吸い寄せられてしまったんだ。ひっぱたかれるって覚悟したんだけど、待っていたのは、先生の甘い香りのする柔らかい唇だった。
「むぅう、は、は、は」
ねっとりと絡みついてくる厚ぼったい舌。
美久とは全然違う匂いと感触。
本当は、
俺がボーッとなったのがわかったのか、先生は、唇を離してにっこりする。
『ああ、やっぱり先生って美人だよなあ』
あの、超高慢な普段の顔に、なんだか、目だけが違う色で輝いてる気がした。
「ふふ、どう?キス。上手かしら。けっこう練習したのよ。女子校だけどね。女の子同士でならけっこう自信あるんだけど、男の子とは初めて」
すーっと、なんだか吸い込まれそうっていうのは、こういうことを言うんだろうなあ。
俺は、先生の瞳から目が離せなくなる。でも、かろうじて声は出せたんだ。
「先生、どうして」
「あのね、なんだか不思議なんだけど、今年、この学校に来て、あなたを見てから、ヘンなの。おなかの下の方がキューンってなっちゃって、恋かしら、ふふ、まさかね。五つも年下の子に。でも、あなたときたら、いっつも横山さんの方ばっかり向いて」
そう言いながら、先生は俺の方に手を差し出すんだ。
「いらっしゃい。あなたも、女の子のこと知らないで死ぬのはいやでしょ。この後、どうなるかわかんないし、いいわよ。教えてアゲル。って、私も初めてだけどね」
戸惑う俺の手を取って、引っ張るんだ。俺も、ふらふらと机を回り込んで先生の側に近づいてしまう。突然、ガバって先生が抱きついてくる。ワオ、先生の身体が柔らかいぞぉ。で、でも。先生っつつつ… 先生、やっぱ、おれの肋骨折れてます。
「あのね、ほんとうは、もう、どうでもいいの。おねがい、鹿取君、抱いて」
いや、かなり特殊なシュチエーションでさ、おまけに肋骨が折れているんだ。
そんなんで、可能か?というとだね、ふふふ、十八歳の性欲を舐めてもらっては困る。
先生に抱きしめられた、瞬間に、ガチンガチンになりましたとも。ええ、どうせ俺はスケベですよ。たとえ、折れた肋骨が気の遠くなるくらい痛くても、この腕を離せますかってってんだ。
「先生、あの」
俺は、言いかけたんだけど、先生が頬を寄せてきたら、最後までしゃべることなんてできなかった。いいや、あとで話したって良いんだし。もう、どうなってもかまうもんか。
俺の欲望は爆発寸前にまで、大きくなってた。
さっき、美久にしてもらってなければ、きっと暴発してたんじゃないかな。
美久。
ちくりと胸が痛んだ。でも、不思議と霧がかかったみたいに、頭が美久のことを考えられなくなったんだ。
「もう黙って。…あの、私に、恥、かかせたり、しないわよね」
言葉は、高ビーの先生だったけど、口調はさすがに不安そうだった。だから、そっと、ゆっくりキスをしたんだ。
「むうう、脱がせて」
キスの合間にそう言うと、また、熱烈にキスしてくるんだ。先生の舌が俺の口の中に入ってくると、いや、これが溶けそうなくらい甘いんだ。
目の前がくらくらする感じで、先生とキスしながら、先生が来ている白衣のボタンをゆっくりと外していく。外は、さっきより、さらに明るくなっている。
むわって感じで甘い香りが、白衣一枚の下から立ちのぼってくる。
脱がせても何も、このボタンを外すだけだろ。
手探りで、胸のボタンを探す。布地一枚隔てて先生のオッパイ。ぼよん、とした感じの大きなオッパイ。
思わず、そのまま手が伸びてしまう。
『柔らか〜い』
こうして触ってみると、美久のとは、触り心地がまったく違った柔らかさだった。いや、オッパイなんてみんな柔らかいモンだって思ってたんだけどさ。全然違うぞ。
「ああぁ」
たったそれだけで、先生の唇から色っぽい声が出てくるんだ。
ああ、もうたまら〜ん!
俺は一気に白衣のボタンをはじき飛ばすように外したね。床に横たわる先生の身体は、白く輝いて見える。さすが大人だけはあって、美久のより、ずっと濃い茂みだけが、薄明かりの中に目立っている。
「ああ、良い匂い」
「ちょっと、恥ずかしいから」
先生が遮るように突き出してきた手を、逆手にとって、両手を万歳の形で押さえてしまう。
目の前にあるのは、巨大な胸。
これで、舐めないヤツは男じゃないと思うぞ。もちろん、俺は男だ。遠慮無くかぶりつく。
「あ、あ、あ、あう、ちょっと、あう、なにを、あう」
先生は、もうわけがわからなくなっているみたいだった。
そっと、押さえていた手を離しても、もう、俺を突き放そうとしない。いいや、かえって、俺の頭を抱え込むようにしてくる。
左手で、こぼれ落ちる大きさの胸を揉みながら、右手でグッと絞り出すようにして、先端をペロペロとすると、それだけで、先生は、もだえまくるんだ。
「あ、あ、だめ、それ、そんな風に、ああん、だめぇ」
先端をペロペロする度に、先生の色っぽい声が聞こえる。俺は、ぐっと両手でオッパイを真ん中に寄せ集める。二つの巨乳がピッタリとくっついて、先端がほんの数センチしか離れていない。
で、そこをぺろりとやると、軽く舌を動かすだけで、両方の乳首を同時に舐めることができるんだ。
オッパイをグッと寄せられてるのも感じるのだろう。二つの乳首はますます硬くなってくる。
「うっ」
俺のが、先生の柔らかい手で握られたんだ。絶妙の柔らかさ。
「う、く、く、先生、く、ちょっと」
まずい、出ちまう。
こすったりしないで、やわやわと握ったりゆるめたりしてるだけなんだけど、先生の柔らかい指が、亀頭の周りに沿って、ぴたぴたと当てられるのが絶妙なんだ。
さすがキツネちゃん…
なんて思ってる場合じゃあない。えっと、ケルベロス、コウモリえっと、巨大クモ、おうおう、手にクモをたたきつぶした感触を思い出す。
ふう〜、何とかしのいだ。背中を、あの感覚が登りかけちゃったもんなあ。
「あら、男の子も濡れるのね」
そりゃ、先生、そんなにされたら、我慢汁くらい、出ちゃいますって。
でも、このままではもたない。
『え〜い、攻撃は最大の防御なり!』
思い切ってオッパイから手を離して、一気に頭を先生のあそこに持って行った。ただ、先生が俺のを離してくれないから、ちょうど、逆さになるみたいな格好になったんだけど。
「あ、ちょっと、きゃ、鹿取君、だめ、恥ずかしいから、あん、あう、あん、だめだったら、そこ、あん」
俺は、先生の不思議な造形の「女の神秘」を、文字通り味わっていた。
先生は足を広げていたけど、薄明かりの中では、そこまで細かいところなんて見えない。ただ、ヌルヌルする場所に思いっきり舌を入れて、舐めまくっていたんだ。
「あ、あ、あ、だめ、だめったら、あう、あ、あ」
あっちこっち舐めてるうちに、先生の反応が強いところがわかった。
さっきの、美久の経験が生きてってわけだ。でも、美久の繊細な感じと違って、先生のク○ト○スは、小豆粒ほどにふくらんでる。
それに、下の方がドロドロになってて、もう、舌が、どこまでも奥に届いてしまいそうな感じだ。
ペロペロとク○ト○スを舐めると、先生の声が、激しくなって、だんだん、腰まで動いてくる。
「うっ!」
突然、先生に、また俺のを掴まれてしまう。そして、グッと先生の方に引き寄せられる。そりゃさ、それを掴まれたら逆らえないってこともあるけど、それなりに期待ってもんがあるだろ?
先生の誘導に乗って、完全に先生の頭をまたぐ形。
これって、AVで見た、シックスナインとか言う形じゃん。
先生は、期待に違わず、行動してくれる。
俺のモノが、ヌルッとしたものに包まれた。
「ああ、先生」
生暖かい舌が俺のモノをザラリとした感じで舐めてくる。全体がヌメッとした粘膜に包まれて、最高の気持ちよさだ。
生きててよかった〜。
いかん、いかん、でも、負けるわけにはいかないんだ。いくら何でも、一度出しちゃったら、この状態で、復活できる保証はない。
「先生、あの、限界が…」
「じゅば、じゅばっ」
だめだ、先生、全く聞いてくれない。いやらしい音を立てながら、俺のを飲み込んでる。
それなら「戦う」しかないてわけだ。
もう、なんとでもなれ!
先生のアソコに、再挑戦。
右手の中指で、ぷっくりしたク○ト○スを、高速でクリクリしながら、濡れてる真ん中をペロペロ、いやそんなもんじゃない、もう、ベロンベロンて感じだね。
それにしても、オンナの人のオシッコってどこから出るんだろ。
舌先で探っても、よくわかんない。
奥の方に、ズブズブって舌がめり込む部分がある。
『あ、ここだ』
童貞の俺にだって、ここに俺をのを入れるんだって場所がわかったぞ。
舌をそのまま、できるだけ伸ばして入れてみる。もちろん、指は動かしたまま。
「あぁ、だめぇ、あう」
先生が、俺のから離れて、そんな可愛い声を出してくれる。
え?もちろん、やめるわけがない。
舌の付け根が痛くなるまで入れて、ヌルッと出す。
「あうう」
また、入れる。
「あん」
もう、俺が舌を動かすたんびに、先生の可愛い声。
俺の危機も去ったわけだし、俺は調子に乗って、どんどん、舌を動かしたね。
先生のおつゆがとろとろ、顔中つゆだかけ。
つゆだく一丁!、って感じ。
「あ、あ、あ、あう、だめ、かとり、クン、だめ、もう」
お!これは!
おれは、もう、確信して、指先にも気合いが入ったね。
俺の舌が、先生のやわらかい穴の中の、それでいて、ヒダが、ピーンとしている部分に届いたときだった。
「あ、イク、イク、もう、ああ!だめ、ああ!もっと、ああ!」
先生は腰をヒクンと派手に突き上げてから、身体が硬直してしまう。
一瞬の間。
それから、ふ〜って感じで、力が抜けていったんだ。
年上なのに、その時のセンセイの顔は、取っても優しげで、可愛らしく感じたんだ。
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