140 Communication Library
2012 ギイ HappyBirthDay♪
5つの指 令
7. かえってきたイタリアン(あ〜んしてね)
次の朝。僕が起きた時、珍しくギイはまだ眠っていた。
おでこにかかる金色の髪をそっと払って触れるだけのキスをする。
起きだしてシャワーを浴び、ふとテーブルを見る。
指令の紙が目に入った。
五番目・・・。僕はなんて大胆なこと・・・。
思い出すだけで顔から火が出そうだ。
テラスに続く窓を開けて、外の空気を吸い込む。
しばらく外を眺めて部屋に戻る。
『託生。起きてたのか?』
「ごめ。おこしちゃった?」
『いや・・・。いいよ。』
まだ寝転んでいるギイのベッドに腰掛ける。
もうもうもう。恥ずかしくて顔見れないし!
『託生。ブランチを食べて出かけよう。』
「あ。うん。そうだね。」
さっと起き上ったギイ。思わずうつむく。全裸って…。
いいけど。いいけど!かくせよ!いいけどっ!
シャワーを浴びて戻ってきたギイはいつの間に入れたのか
クローゼットからスーツを取り出した。
『託生。着替えて。』
スーツというよりも少しカジュアル。
ギイはジャケットを着ずにベストのみ。
僕は一応薄い麻のジャケット。
『思った通りだ。すごくよく似合ってるよ。』
「ギイの見立てがいいんだよ。」
『そういう時は謙遜せずに着る人間がいいんだよ。って言う決まりなんだぜ』
「知らないよ・・・。そんな決まり・・・。」
『チェックアウトしてくるから。』
そういってフロントに向かう。
スーツみたいな服を着てると本当にかっこいいんだ。ギイは。
『さて。仕方ないな。夢の国はここまでだ。』
「え?」
ホテルの入り口には大きな黒塗りの車があり、ドアが開かれている。
『乗って。』
「え・・・?」
『中で説明する。』
音もなくするりと車が発車してすぐにギイは
『託生。すまないが途中で少し仕事を入れていいか。』と
いいだした。
「仕事・・・?」
『託生にも悪い話じゃないから誘おうかと思っていたんだが、』
話によればそれは、某所で行われる
ジャズの祭典なんだそうで、市内各所、様々な場所で
有料・無料の演奏会が行われているらしいのだ。
『挨拶に行けと言われていたんだ。託生の希望によってはまた後日と思っていたんだが。』
『海も見れるし、音楽も聞けるし。俺は義理も果たせる。一石三鳥だろ?』
ギイが、そういって僕を見る。
確かに僕は音楽が大好きで、普段クラシックが多いが
もちろんジャズも聞くし、日本のJ-POPも聞く。
特に寮の部屋では好みのわかれるJ-POPよりは、
耳なじみのいい洋楽やジャズを流すことも多い。意外と好きなのだ。三洲君も。
「だからスーツ」
『ああ。あっても困らないし、いいだろ。』
「え・・・。もらえないよ?」
『残念だったな。バイオリンの付属品なんだ。』
とんでもないギイの言い訳に何も言い返せずに僕はいつまでも笑っていた。
会場ではギイと少し別行動。いろいろな音楽に触れ、
バイオリンを持っているのに気が付くと気軽にセッションを申し出てくれる。
「これは友人のものなんだ。」と、断りつつ。
ギイが戻ってくるのを待っていると、なぜか周りがザワザワ。
『託生ー。』
なんていうのか。こういうの。
ある程度人が混雑しているのに、彼の前には道が開ける(後ろはすごいけど)
あ。モーゼだ。モーゼ。
「モーゼ・・・」
『モーゼがどうした?』
「あ。なんでもないよ?ご挨拶終わった?」
『おお。待たせたな。託生は楽しめたか?』
「とっても!」
じゃあランチでもするか。と、会場を後にして、近くのホテルに入っていく。
いやいや。レストラン街もありますよ。ギイ。
いいから早くと僕の腕を引きやってきたのは某ホテルのイタリアンレストラン
抜かりなく個室。まさか・・・
『ぜ〜ったいイタリアン。だろ?』
記憶力のいいギイ・・・。そのあとの( )も覚えているだろう・・・。
運ばれてくるパスタと、本格石窯焼きのピザ。期待に輝くギイの目・・・。
「っ。ぎ・・・。ギイ。」
『なんだ〜?託生。』
ううう。美男子がニヤニヤしてますよ!
「ギイの。ギイのパスタ。おいしそうだね。ちょっとちょうだい?」
『ん?』
「うう。えっと。あ・・・。あーん。して!!」
ギイはうれしそうにフォークにまかれたパスタを僕に食べさせてくれた。
『ふー。ふー。託生。あーん。』
もう。目をつぶって口を開ける。モグモグ。
「おいしい。」
『だろ。じゃあ、託生のも一口プリーズ。』
まさか。あーん。をしろというのか!!ギイを見るとすでに口が開いている。
あぁ。ぽっかりあいた口の中に「Wellcome」の文字が見える・・・。
僕はパスタをくるくる巻いて、冷ますと
「はい。ギイ。」
と、口に入れようとした。とたんギイは口を閉じて、
『あーん。だろ!』
ああ。こういう男でした。羞恥心が決定的に不足してるよ!(今朝の全裸といい・・・)
「ギイ。あ。あーん。」
『あーーーん』
満足げにパスタをほおばりニコニコ。
やっぱりギイはかっこいいな。さっきのビジネススマイルもかっこよかったけど。
この笑顔は僕専用・・・。とか。うぬぼれすぎ?
★★★★★
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