140 Communication Library

 


2012 ギイ HappyBirthDay♪


5つの指 令





8.寄り道


その帰り。今日はギイの東京の実家にお泊りすることに なっている。
ギイの会社の車で移動中。

『託生。寄り道するぞ。』
「寄り道?どこへ?」
『いきに大きい観覧車見たろ?時間的にちょうどいいし。乗っていこうぜ。』
「ほんとう!?やったぁ。」

あんまりはしゃいだからか、運転手さんの肩が揺れている。
ギイはニコニコしながらいつものことだと見守ってくれているけど・・・。
もうちょっと大人になろう。うん。

「うわぁぁ。」
夕暮れにそまる公園をゆっくり歩いて観覧車の足元。
真下まで来ると本当に大きい!
ギイの手を引っ張って走り出す。

「早く早く!」
『走ると転ぶぞ。』

言われたそばから芝生に足をもつれさせて引っ張っていたはずのギイに
腕を取ってもらう。

『まったく。お約束はキッチリするな。託生。』
「えへへ。ごめんね。ギイ。」
『三洲とのお約束も全部守れたもんな。』
「え?」
『五番目も言えたしな。三洲には完遂したと報告できるぞ!』
「ちょ。ギイ!!」
『ほら。チケット買ったぞ。乗らないのか?』
「・・・。のる・・・。」

いんだよ。いいんだよ。どうせギイには敵わないんだから。

とりあえず向い合せに座って出発する。
東京湾に沈む夕日がすごくまぶしい。でも。

「綺麗だねぇ。ギイ。」
『一周17分かぁ。キスくらいしかできないな。託生?』
「もっと長かったら何する気なんだよ。ギイ。」
『今度は俺が五番目をおねだり。だな。』
「ギイ!」
『暴れるなよ。揺れるだろ!』

確かに。結構揺れる。ちょっと・・・。怖いかも?
その時ギイがなぜか立ち上がろうとする。

「ちょちょっと!う。動かないでよ!!」
『隣行くだけだって。ちょっと怖くなっちゃったんだろ?』
「わぁぁ。」

さっとギイが隣に移動してきて肩を抱いた。

『託生ほら見て。昨日泊まったホテル。』
「あ。本当だ。ちょっとしか離れていないんだね〜」
『川を挟んだだけだからな。』
「こっち側の丸いのは?」
『水族館だよ。また今度来るか?』
「うん。そうする!」

ギイが遠くを指さしてあれこれ言ううちに怖さを忘れる。
海は一面にオレンジの光を映して、一枚の布が揺らめいているようだ。

『もうすぐ頂上だな。』
「この辺に来ると止まってるような気がするよね。」
『だな。』

目の前に広がるのはオレンジの海と、同じくオレンジに染まる東京の街並み。
昨夜は恥ずかしくてバイオリンだったけど。
僕は小さくハミングで、HappyBirthdayを歌う。
ギイの肩に寄りかかって。

「おめでとうギイ。今日のギイを僕にくれてありがと。」

ギイは何も言わずにキスをする。

最高到達点。117mです。
アナウンスで頂上まで上がったことを知る。

『託生。ありがとう。今までで最高の誕生日だ。』

観覧車が下に降りるまで僕たちはぴったりと寄り添って
東京の街並みを眺めた。

到着の前にギイは僕の前の席に移動していたけど。

薄暗くなった公園をゆっくり歩く。
子供連れが多いのか、はたまた広すぎるのか
あまり人に会わない。差し出されたギイの手を取って、
昨日の花火はすごかった。とか、観覧車は昇りと降り、どっちが怖いかとか
とりとめのない話をする。

『そういえばあの指令。三洲たちもやってるんだろ?』
「うん。三洲くんの命令。って言う感じだけど。」
『だろうな。三洲も五番目、いうのか?』
「しらないよ!そんなこと。」
『でもあいつら面白いよな。立場的に言ったら三洲が託生だろ?』
「やめてよ!そんな生々しい話!!もう、ぎいのばか!!」
『あはは。悪い悪い。』
「知らない!」

ギャーギャー言いながら車に到着する。
ほらほら!運転手さんがあっけにとられてるじゃないか!

『悪いがコンビニ寄ってくれ。家のそばの』
「かしこまりました」
『これはハーゲンダッツでも買わないと機嫌が直りそうにない。』
「ラムレーズンね!」
『コンビニにあるのか?』
「知らないっ。」
『・・・。スーパーにしてくれ。』
「用意するよう手配いたしますか?」
『あー。俺が買うことに意義があるらしいから。』
「それじゃ僕が我儘みたいだろ!そもそもギイが・・・」
『あー。わかったわかった。俺が悪い。そういうことだ。悪いが寄ってくれ』
「・・・かしこまりました。」

それでも笑うまいとする運転手さんの忍耐力は素晴らしい。
結局スーパーに寄りアイスを買って、ギイの自宅についたのは9時過ぎだった。





 





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