140 Communication Library
2012 ギイ HappyBirthDay♪
5つの指 令
0.5 託生。罠にかかる。
『葉山』
食堂の出口で三洲君に声をかけられた。
『この後何か予定あるか?』
「ううん。特に見たいテレビもないし、宿題もないし。」
『葉山が知る限りで、一番将棋が強いのって誰だ?崎以外で』
「え〜。やっぱり赤池君かな。いつも利久とやるけど、利久は弱いし。」
『そしたら赤池を誘って部屋にいてくれないか。ついでにワンコも』
「え・・・?あ。うん」
『なんだよ。』
「ううん!なんでもない。わかった。」
『すぐに行くから。』
えぇ。将棋をしたいのかな。確かに僕じゃ相手にはならなそうだけど、
真行寺君も呼べなんて・・・。めずらしいな。
そう思いながらも僕はとりあえず赤池君の部屋に向かう。
『すまんが、これから4階に行かなきゃいけないんだ。問題があってな。』
「そうなんだ。」
『ポケット将棋は貸してやるから。三洲には明日お相手頼むと伝えてくれ。』
「うん。がんばってね。」
『しかし三洲は今日この件で話し合うって知ってそうなのにな』
「生徒会長は関係なしなの?」
『まあ初犯だし、風紀委員止まりにしてやろうってとこかな。』
「へぇ。何?たばこ?」
『いや。酒。っと、今のほかのやつに言うなよって、葉山は言わないな』
「どうせ友達少ないですから!」
『そんなこと言ってないだろ。短いながらも付き合ったうえでの「信用」だよ』
「あ。ありがと。」
『じゃーな。』
まさに部屋を出ようとした赤池君に声をかけた。
将棋だけ借りて、まあ事情が事情だから分かってくれるだろう。
しかし真行寺君は部屋にじっとしてるだろうか。
3階まで行ってもぬけの殻はちょっとなぁ。
「あ。葉山サーン!」
ああ。真行寺君。君はいつもどうしてそんなグッドタイミングなんだい。
三洲君センサーでもついてるのかな。
「真行寺君。今から暇?」
「特に用事はないっスよ!夕飯もいただきました。」
「部屋で将棋するんだ。真行寺君も来て。」
「いいっスけど。いいんスか?」
「本人が連れてこいっていうんだから、いいんじゃないの。」
「え・・・。アラタさんが・・・。来い・・・?」
沈黙が流れる。
『何やってんだ?まだ行ってなかったのか。』
「三洲君・・・。」
『将棋借りてくれたのか。赤池は?』
「吉沢君に呼ばれてるから、明日お手合わせしてって。」
『そうか。じゃあいくぞ。葉山。真行寺。』
「うん。」
「はいっス。」
『頭の体操と気分転換にいいかなと思ってね。』
パチン。と三洲君が駒を置く
「そっかぁ。僕じゃ頭の体操にならないね。」
『いや。気分転換には十分だよ。』
今夜の三洲君はなぜだかニコニコだ。
気分転換・・・必要?
『考え事はよくないな。葉山。王手。』
「ああ〜。また負けちゃった。」
まあ三洲君に勝てるわけもなく。
すると三洲君が不意に真行寺君を見遣る。
「アラタさん?」
僕に向き直って
『葉山は真行寺の味方なんだよな?』
「は・・・?」
『ふむ。俺も自分で認めるが素直ではない。』
「み。三洲くん?」
『だが、葉山は受験生である俺に、もっと真行寺に構え。というわけだ。』
「えー。そんな言い方はしてないと思うけど・・・」
「アラタさん。何が・・・」
『葉山と真行寺が勝負して、真行寺が勝ったら、文字通りデートしてやるよ。』
「え?三洲君。ほんと!?」
『ただし!』
「「ただし・・・?」」
『葉山が負けたら、葉山。俺の言うこと聞いてくれるよな?』
「・・・。それ、僕にメリットなくない?」
『葉山が勝ったら俺と真行寺を好きにしていいっていうのはどうだ?』
「好きにって・・・。」
『まあ。葉山が勝てばいいことだろ。』
「アラタさん・・・」
「うーん。それもそっか!」
「ええ!?葉山サーン・・・ムグッ」
『じゃあ、もう時間ないから、一回勝負な!真行寺。文句ないだろ。』
「まあ、勝てばデートですし、負けても葉山さんはそんなにひどいこといわなそうっスけど・・・」
『じゃあいいよな・・・』
「(アラタさん・・・目が笑ってねぇっス) はい。」
「やっぱり僕のメリットが少ない気がするなぁ。あ。そうだ!」
『?』
「デートでは写真を撮って、あとで見せる!って言うルールは!?」
『写真ね。まあいいだろう。』
「いいんスか!!」
『はいはい。ふたりとも。席について〜』
こうして僕と真行寺君の真剣勝負が始まった・・・
★★★★★
★★★★★