140 Communication Library
2012 ギイ HappyBirthDay♪
5つの指 令
2.5 恋は盲目(彼らの場合)
あー。
っという間に終業式がやってきた。
試験の結果はまあ・・・。補習は免れました。はい。
ギイはどうやら、誕生日前日まで寮にいて、一緒に帰るつもりだったみたいなんだけど。
僕は一度家に帰ることにしたんだ。
荷物もあったし、なにより。待ち合わせとか。してみたかったし。
終業式の前の夜、三洲君と僕が将棋をしているところに
真行寺君が訪ねてきた。
「こんばんは〜」
『なんだ。最近見ないと思ってたのに。』
「こんばんは。真行寺君。」
部活っす。といいながら部屋に入ってきた真行寺君。
『真行寺。例のデートの件だがな』
「え!ぼぼぼ僕、席外そうか!?」
『いや、すぐすむから構わないぞ。な?』
『はいっス』
自分の時をまざまざと思い出してしまったから、
誘われる真行寺君がものすごく浮かれちゃう・・・。って。
それは意外と日常茶飯事見てるかもしれない。
『・・・で、いいか?』
『かまわないっすよ。アラタさんの予定に合わせます』
『当日は前に買いに行ったあのシャツ着て来いよ。』
『わかりました。』
『海に連れて行ってくれるよな?』
『・・・。はい。』
『食事は絶対にイタリアンだぞ。』
『探しておきます。』
僕が自分の時を思い出している間に、二人の約束は着々と進んでいた。
僕にとっての立山連峰は、三洲君にしてみたら砂場の山ほどもないようだ。
『アラタさんのとこから海って言ったらどの辺スかね』
図書館のシールが貼ってある関東近郊の地図を広げて
真行寺君がニコニコと三洲君に話しかける。
『どこでも構わんが。そう遠くないところにしろ。』
『泳がないなら横浜あたりに行くのはどうっスか?』
『イタリアンだぞ。真行寺。』
『そこをなんとか!中華にならないっすか?』
『もういい。お前の好きにしろ。』
三洲君が・・・。浮かれている・・・。
真行寺君は地図を目にしているので気が付いていないが。
僕だってもう何か月か三洲君と一緒に生活しているのだ。
あからさまに笑顔。とかではないんだけど。
『やりー!アラタさん。中華街っすよ!』
ものすごい笑顔で顔をあげた真行寺君を見て、
三洲君は少し目を細めて
『あんまりはしゃいで前日に熱とか出すなよ。』
と、言った。
『葉山。おまえもな。』
三洲君の静かな思いを知ってか知らずか
大はしゃぎをして怒られ、真行寺君は部屋を追い出された。
追い出したあと閉めたドアに手をついて
『まったく。高校生にもなってキャンキャンとうるさい犬だ。』
あれ。真行寺君。地図おいて行っちゃった・・・。
手ぶらで。こなかったっけ・・・?
あの地図は・・・。三洲君が?
『ん?なんだ?葉山。』
「ううん。」
自分の学習机に向かって帰省の準備を始めた。
そんな三洲君の背中に僕は、心の中で
「恋は盲目」とつぶやいた。
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