虜〜秘密の執事〜 02


  珍しくそう軽口をたたいた榊を上目使いに睨みながら、椿はスコアを繰った。
 その時、

「痛……っ!」

 そう叫んで指を押さえた椿の手を、榊が慎重に取る。
 人差し指の先から第一関節の間を、スコアの紙で切ってしまっていた。
 うっすらと血のにじんだそれは、気が付くと榊の口内にあった。
 跪いて椿の指先を己の唇に挟み、少し伏し目がちにされた榊のそんな姿が妙に婀娜(あだ)っぽかった。
 ぬるりとした舌に、指先をちろちろと舐め上げられる。


「……んっ!」

 小さい頃から榊にはこうやって止血されてきたのに、今日の椿は何故か舐められる度に背中にぞくぞくとした何かが這い上がる。

「……止まりましたね……お嬢様?」

 一分ほどして唇を離した榊にそう声を掛けられ、真っ赤になった椿はぱっと立ち上がった。
 榊が下から不思議そうな顔で椿を見上げてくる。


「す……好きでもないんだったら、もう、二度とこんなことしないで……」

「椿様……?」

 弱々しくそう言い切った椿は、跪いたままの榊を残し私室から出て行った。









「もう、榊ったらいつまでも子ども扱いするんだから!」

 熱くほてった頬を他の使用人に見られないように椿は庭園に出ると、薔薇の花壇の前に作られた東屋に収まる。
 痛めてしまった人差し指を見ると、榊に吸われたからか赤く色づいていた。
 ざあと風が通り抜け、椿の美しい緑の黒髪を巻き上げる。
 白磁のように美しい頬はまだ朱を湛えている。


(でも……気持ち良かった……)

 榊に指を舐められたとき、背筋がぞくぞくした。
 エステ等でもたらされる気持ち良さとは違い、腰が蕩けそうになるそれに椿は戸惑う。

(いっぱい、いっぱいキスしてくれたらいいのに……)

 椿も十六歳の女子だ。
 人並みに性に対する興味もある。
 しかし自分の初体験を捧げる相手は、もう既に決まっている――黒澤だ。
 互いの親はそこまで話をしているようではなかったがおそらく今年の夏、軽井沢で処女を捧げることになるのだろう。

「榊がよかったな……」

 あの広い胸の中に抱かれて、自分の全てを彼に捧げたかった。
 叶わぬ夢を抱えた胸がチクリと痛みを訴える。

(馬鹿ね、椿……もう吹っ切れたはずなのに……)

 涙が溢れそうになるのを、椿は突き抜けるような空を仰いで誤魔化した。









 榊とギクシャクとして過ごした七月。
 そして八月――椿の運命を変える事件が起こった。

 その日も椿は勉強の合間に榊に許しをもらい、カウチで昼寝をしていた。
 その様子を安曇の得意先――近藤エージェンシーの若社長が熱っぽい目で見つめていた。
 一月前、安曇邸にて行われた夜会で椿のことを垣間見て以来、ずっと頭から離れなかった姿が目の前にある。
 父が商談で安曇邸に訪問すると分かり、無理を通して同席させてもらったが、まさか本当に椿に会えるとは思わなかった。
 紺色のシャツワンピースの裾からすらりと伸びた白い足が、血管が透けて見えてしまいそうなほど美しくて目をそらせなくなる。
 椿のいる窓際まで歩み寄ったが一向に起きる気配はない。
 近藤は華に吸い寄せられる蜂のように自制心の利かぬまま、椿の太ももに自分の掌をそっとあてがった。

 もし起きてしまったとしても、直ぐ離れればバレない筈……そんな自分の浅はかな考えに励まされる様に、近藤はさらにスカートの奥のほうに侵入を試みる。
 しっとりと掌に吸い付くきめ細かい肌。
 我慢出来ずに傍らに跪き、白い太ももにそっと口付けると弱く吸い付いただけなのに、その柔肌は紅く充血してしまう。
 それはまるで本当の華のようだった。
 熱に浮かされたように自分を抑えられなくなった近藤は、自分のネクタイで眠ったままの椿の両腕をそっと後ろ手にくくる。
 シュシュっという衣擦れの音だけが広い部屋を満たしていた。
 その時近藤の目に自分の腕時計が入る。
 手洗いに行くと言い席を立ってから、もう十分が経過していた。
 早く戻らないとさすがに誰かが探し始めるだろう。
 このまま椿の白い肌をじっくりと堪能したかったが、そうもいかず、近藤は椿のショーツを慎重に指でずらした。
 あらわになったそこは貝が蓋をする様にぴったりと閉じられていた。近藤は両足を掴んで固定すると、椿の中心に舌を這わした。

「う……ん」

 椿が身悶える様に腰を揺らす。
 近藤は椿が少しでも濡れる様にこと秘芯を丹念に舐めていたぶる。舌を這わすたびに椿の太ももがぴくぴくと動き、秘腔からはとろりと蜜があふれ出した。
 それを潤滑油として人差し指に塗りたくった近藤はツプリと秘腔に指を指し入れる。

「ひゃあ……っ!」

 さすがにそれで椿は目を覚ました。
 最初は何が起こったのか分からず辺りを見回していたが、自分の下半身にいる近藤を見て、その漆黒の大きな瞳を見開く。

「貴方は……な、何?」

「セックスですよ」

 近藤はそう言うと、秘芯を舌先でくりくりと嬲り、秘腔の指を出し入れする。

「やあ……何? いやぁ……!」

 そこからむずむずと這い上がるような快楽に、椿は戸惑い逃れようと下半身に力を入れる。
 しかしがっちりと体重をかけて抑え込まれ、下半身はびくともしなかった。

「そんなに脅えなくても、直ぐにすみます」

 近藤は指を二本に増やし、そこを押し広げる様に愛撫する。
 それは初めての椿には秘芯を舐められているとはいえ、痛みを伴うものだった。

「いやあ、誰か!」

 半狂乱になって泣き叫ぶ椿がうるさくなった近藤は、拳を握りしめて白い腹に振り降ろした。

「ぐ……」

 低い呻きを漏らした椿は、あっという間に気を失ってしまった。
 我慢が出来なくなった近藤は自分のズポンのファスナーをおろし、熱くたぎった己を取り出す。
 そして数度掌でしごいた後、唾液と蜜で少しは濡れた膣口にそれを当てがい、一気に捻じ込んだ。
 気を失ったとはいえ椿の蜜壺は、ぎゅうぎゅうと侵入者を押し戻そうと締め上げてくる。
 近藤はその締め上げに眉間に皺を寄せて呻いたが、強引に出し入れを始めた。
 ずるりと半分出された雄は血を纏い、ピンク色になっている。

「やはり、初めてでしたか」

 近藤は満足そうにそう言うと、己が気持ち良くなるため挿入を加速させる。
 ぐちゅぐちゅという卑猥な抽挿の音が、部屋に響き渡る。
 そして近藤は何を思ったのか、椿の頬を二三度軽く張る。


「椿さん……起きてください」

 苦しそうにうっすらと開けられた椿の瞳は、目の前で下卑た笑みを浮かべながら動く近藤を捉えた。
 ぐちゅぐちゅという水音と、パンパンという肉のぶつかり合う音。
 そして否定しようのない、自分の下半身からもたらされる内臓を引きずり出されるような鈍痛。

「いやあっ! 抜いて! ぬいてぇ……っ!」

 後ろ手に縛られ、下半身を抱え込まれた椿は必死に叫ぶことしかできなかった。
 近藤はその叫びにも興奮したように、抽挿を早める。


「い……イく……っ!」

 極限まで叩きつけられたそれはいく直前に抜きだそうとされたが、間に合わずに椿の浅いところで己の欲望を吐き出された。

「いやぁ〜……っ!」

 絶叫しぷつりと自我の糸が切れた椿は、もう叫びも抵抗もしなかった。
 大人しくなった椿を抱え上げた近藤は繋がったまま後ろから椿を抱えてカウチに腰を下ろす。
 近藤はうっとりとした顔で椿の両胸を後ろから揉み上げながら、下から突き上げる。


「ああ……凄い締めつけだ……」

 人形のようにぐったりとした椿は、そんな辱めを受けていながら何も反応することは無かった。
 また近藤が高みに登り始めた時、










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