夢のような現実14話


カーテンの隙間から日が射し、小鳥の鳴き声が聞こえる穏やかな朝。

そんな朝に似合わぬ足音、そして地響き。


「お姉ちゃん!起きて!修行しようよ」

「う゛…。起きるから退いて…」


がそう言うと、の腹部に乗っていた雲雀は現代の雲雀からは想像できないくらい素直に退いた。

重い瞼と体に鞭をうちふらつきながらも起きると、そこにはこれまた現代の雲雀からは想像できないくらい素晴らしい笑顔の雲雀が居た。

そんな不意打ち攻撃を受け、肉体的にも精神的にも(ショタ疑惑的にも)打撃を受けながらも口を開いた。


「恭弥君、今日は祝日だよ。こんなに早く起きてどうするの?」

「修行するんだよ!昨日約束したでしょ?」


そうワクワクしながら答えた雲雀。

さすがはバトルマニアはそう思いながらもしぶしぶ着替え朝食を作る事にした。


朝食なんて後回しと言う雲雀を説得し二人そろって朝食を食べる。

はいつもより視界を低くしなくては見えない雲雀の顔に違和感を感じながらもそちらに視界を向け話しかけた。


「修行って何がしたいの?」

「ただ戦うだけでいいよ。とにかくお姉ちゃんと戦いたい」


パンを必死にかぶりつく子供の姿を微笑ましく見ながらは考えた。

戦う場所だ。この家の庭は一般家庭の家よりは大分広い、しかしそこには雲雀母が植えた可愛らしい花が咲き誇っているのだ。そのような場所で戦い、花を踏んでしまったら雲雀母に怒られかねない。

かと言って公園で子供と高校生が戦っていたら虐待に思われかねない。だが、そのほかにはこの町に思いっ切り戦える場所など思いつかない。骸に頼んでヘルシーランドを借りようかと思ったが足場が危ないうえ、骸はイメージ的にショタコンっぽいので止めた。「クフフ、堕としてさしあげましょうか?」「…ご遠慮しときます」


「うーん、どこでする?」

「公園は嫌だよ」


雲雀はそう即答で答えた。そんな言葉に疑問に思いはその疑問をそのまま言葉に乗せた。


「どうして嫌なの?」

「群れが居る」

「どうして群れが嫌いなの?」


その疑問はがずっと…この世界に来る前から疑問に思っていた事だった。

だが、その言葉を聞くと無邪気だった表情が一転した。

その表情はどちらというと現代の雲雀に近いものがあった。


「…群れでしか力を出せない弱い奴は嫌いだ。けして強くないのに強くなって気でいる。そして偉くなった気でいる。だからそんな奴ら大嫌いだ」


その言葉はけして子供の口から吐かれるものじゃない。否、吐かせてはならない物だった。

はその事に罪悪感と寂しさを覚え俯きぎみになってそっかと呟いた。


「あ!でもお姉ちゃんは好きだよ。最初は草食動物だと思ったけど強いし、それにね…うん!強いし」

「そう?ありがとう」


そう感謝を述べると雲雀ははにかみながらえへへと笑った。

そんな姿にかるく胸キュンしながらは話を元に戻した。


「えっと…じゃあ、場所どうする?」

「僕良いところ知ってるよ!だからお姉ちゃん早く食べて」


いつの間にか食べ終わってる雲雀は食器を台所に持って行きながらを急かした。

そんな様子を見ては慌ててパンを詰め込むと食器を台所に持っていった。




***



「あれ?昨日までは更地だったのに…」


雲雀がそういう目の前には大きなスーパーが広がっていた。

考えてみれば今の雲雀は10年前から来たのだ。町並みが変わっていても不思議は無い。

は不思議そうにしている雲雀をどうしようかと考えていた。

その時、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。


「あれ?じゃん。ー」

「おい!馬鹿!でけぇ声出すんじゃねぇ!」


その声にが振り向くとそこにはボンゴレ雨の守護者と嵐の守護者が居た。


「あ!もっさんにごっきゅん」

「おー久しぶりなのな」


もっさんこと山本がそう言うとごっきゅんこと獄寺はまるで不審者を見るかのような目でを見た。


「…お前、誘拐はまずいだろ」


その視線はチビ雲雀にあり、雲雀は獄寺を睨みつけていた。

その言葉には慌てると昨晩の事件を話した。


「たく、またあのアホ牛かよ」

「ハハ、あの玩具か?よくできてるよなー」


呆れてる獄寺に勘違いをしている山本。

まるでリアクションが違う二人を雲雀は訳ガ分からなさそうに見ていた。


「お姉ちゃん、早く他のところ探そ?僕ここ嫌」


いつもと違う景色に知らない人、がその人と訳の分からない事を話しているのが気に食わないのか雲雀はそう言うとの服の袖をひっぱった。


「あ、うんそうだね。ねぇどこか思いっ切り動けて人が少ないところ知らない?」


は二人にそう聞くと山本が考えるそぶりも見せず口を開いた。


「並中のグランド使えば良いんじゃないか。今日は部活も休みだし、その子雲雀の親戚なんだろ?だったら雲雀も多少グランドで暴れても怒らないだろうしな」


それにしても似てるなーと言いながらチビ雲雀の頭を撫でようとし、威嚇されている山本を見ながらは感謝した。

の頭の中にはその選択肢が無かったのだ。もちろん、未だ中学校に入学していない雲雀も同様だろう。


と雲雀はそこで二人と別れると並中に向かった。


山本の言葉通り学校には誰も居なかった。(葉っぱを咥えたリーゼントは見なかったことにする)

二人はそこで修行と言う名のバトルを夕方までした。


勝負はやはりの勝ち。途中危ういところもあったが体格差は大きかった。


悔しそうにする雲雀には声をかけた。


「強くなりたい?」

「…うん」

「じゃあ、何か好きなもの見つけなさい。そして、それを守るために強くなりなさい。」


現代の雲雀との目の前に居る雲雀の決定的な違いはそこだった。

現代の雲雀は並中や並盛の風紀を守るため戦っている。もちろん、戦いが好きなのもあるが根本的にはそこなのだ。

だが、チビ雲雀はまだ守る物を持っていない。だからこそ、ただ好きだから強くなりたい。それでは限界があるのだ。


「…お姉ちゃんの好きな物ってなに?」

「え?うーん…ここかな?ここに居る人も物も空間も全部好き」

「お姉ちゃんもそれを守ってるの?」

「 うん。そうだね、皆を守りたいから足手まといになりたくないからね」

「そっか」


二人はそんな会話をすると、は雲雀の頭を撫で家に帰ることにした。



そして夜。

リボーンとツナがやってきた。


「バズーカ直してきたぞ」


そう言ってバズーカをもってるツナをリボーンは指差した。

何かを感じたのか雲雀はの後ろに隠れてしまった。


「これから何するの?」

「元に戻るんだよ。今までと同じに戻るの」

「…じゃあ、お姉ちゃんとは?」


そう首をかしげながら問いかける雲雀。

そんな子には寂しそうに見つめた。


「ここでバイバイだね」

「嫌だ!」


そう叫びのズボンにしがみつき俯いてしまった。

だが、その手を外しは雲雀の目線に合わせるとゆっくり話し始めた。


「今は、だよ。また絶対に会えるから」

「……絶対?」

「うん。絶対」


そう言うの微笑みに覚悟を決めたのか雲雀はに背を向けて一歩二歩と歩き始めた。

しかし、とツナとの中間地点で立ち止まるとに背を向けながら軽く俯き声を出した。


「僕、お姉ちゃんが好きな並盛とお姉ちゃんを守れるよう頑張るから!強くなるから」


そう言うと顔を上げ一歩前に出た。

そして、ツナを決心した目で見た。

そんな目を見て、頷くとツナはバズーカを発射した。



部屋は煙でいっぱいになった。



BACK NEXT

**************


…いつもの2倍以上ありそうですね^^;



web拍手を送る
↑10年前に戻った雲雀目線