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オーディションの日。ののは、オレンジのパーカーを着て、水色のデニム生地のスカートをはき、黄色いヘアゴムで髪を結んだ。
(今日が本番。落ちるとは思うけど、一生懸命やんなきゃ)
朝香と一緒に、試験会場へ向かった。朝香は、ブランドのパーカーにオシャレなジーンズ、カラフルなヘアピンをたくさんとめていた。
試験会場には、たくさんの女の子が集まっていた。みんな可愛い子ばかりだ。朝香でさえも、地味に見えてしまうほどの女の子もいた。
「みなさーん。この番号札を持って、会場へきてくださーい」
係りの人が叫んだ。ののは「44」だった。朝香は、26番。
(不吉な数字・・・・)
試験が始まった。まず、一番。
「1番、佐野マキコです!」
佐野マキコは、元気良くパフォーマンスをする。ののは、ますます不安になってきた。
朝香の番だ。朝香は、元気良くあいさつをし、バトンダンスをする。しかし・・・。
「あっ・・・・」
朝香は、手を滑らせて、バトンを落っことしてしまった。顔が引きつる。そして、朝香はすぐパフォーマンスを終わらせてしまった。
また数字が進む。そして、ついにののが呼ばれた。
「44番、赤坂ののです・・・」
声がかすれる。ののは、つばをごくりと飲み込んだ。そして、自分自身に言い聞かせる。
(今まで頑張ってきたもん。思いっきり歌うんだ)
ののは、課題曲の「スマイル◎ぱーてぃー」を歌いだした。
♪泣かないで、元気を出して、前を見て。
スマイルの魔法、かけてあげるよ。一緒に笑って、スマイル◎ぱーてぃー
眩しいくらいにスマイル。青空の向こうには、泣き虫のキミがいるよ。
泣き虫のキミには、サ・ヨ・ナ・ラ!
運動オンチで、勉強も出来なくて、内気でおとなしいあたしの得意な事は・・・歌を歌うこと!もう、これしかないよ!!
とにかく、気持ちよく歌いきった。ののは、始まった時の顔とは全然違う、スッキリとした笑顔で審査員の人たちに、おじぎをした。
そして、あっという間にオーディションは終わった。係りの人が叫んだ。
「この結果をかかれた書類を郵送します。なので、結果は後日わかることになります。合格された方は、第二次審査へ、残念ながらそうではないからは、またの機会に申し込みください。今日は、これで終わりです」
ののは、まだ心臓がドキドキしていた。思いっきり歌えることが楽しいって思ったのは・・・今日が、始めてかも。そう思っていた。
「いや〜あたし、失敗しちゃったわ。ののは頑張ったね〜」
朝香がほめてくれた。ののは、ちょっと照れながら、
「でも、落ちるに決まってるよ」
口ではそういったが、内心、少しは可能性があるんじゃないか、と思っていた。ただ、今日は思いっきり歌えたから、それでいい。ののは、そう考えた。 |