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その日、ののはいつものように学校へ向かった。教室に入ると、いつものクラスメートの顔が揃っている。ののは自分の席に座り、机の中に教科書を入れようと、机の中に手を入れた。
「アレッ?なんだろ、この紙・・・・」 見ると、1枚の紙切れが机の中に入っている。
ののは、その紙切れをそっと開いてみた。中には、女の子のきれいな字でこう書いてあった。
『赤坂ののさんへ。アナタ、最近調子にのってるんじゃない?たかが、あんなCMに出ただけで、チヤホヤされると思ったら大間違いよ。あたしは、アナタがアイドルには向いてないと思うわ。もし、本気でアイドル目指しているのなら警告しとく。あきらめた方が利口な考えよ。』
・・・・・えっ!?コレって・・・何なの???
ののは、何回もその紙切れを読み返してみる。コレは、多分、ののにたいして「アイドルをあきらめろ」というイヤガラセだ。ののは、ふうっと息をつくと紙を折りたたんだ。
(あたしと裕子ちゃんと美香ちゃんがあんなに頑張って作り上げたCMなのに・・・・。「あんなCM」だって!ひどすぎるよ!)
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「えええっ??こんな手紙が着ちゃったのぉ?」 「こりゃ、不幸の手紙よりタチ悪いね・・・」
裕子と美香が口々に言う。ののは、劇団アジサイが終わった後に、この2人に今朝もらった手紙を見せたのだ。
「でしょ?・・・・あ〜ん。あたしがアイドル目指すのに、なんで知らない人からこんなこと言われなきゃいけないのよ!!」
「そうだよね・・・。このさ、殴っちゃえ、コレ書いた犯人に!」と裕子。
「ソレはやりすぎ。・・・こんなのはどう?上履きに画鋲入れたり、教科書に落書きしたり、ランドセルの中にゴミを入れたり・・・」と、美香。
「そっちの方がヤバイって!!!!」と、ののと裕子。
「ねえ、2人は、こんな手紙もらった事ある?」
「うぅ〜〜〜ん・・・そうね〜・・・。確かに、3通もらったよ。今でも持ってる。結構ヒドイ文だった。ブスだのブリッコだの書いてあったよ」と、裕子。
「わたしなんかさ〜。10通はきたよ。ほら、あたしと竹宮るのが姉妹だってことが、結構話題になっててさ、『アンタって、本当にるのちゃんの妹なのぉ!?』とか書かれてて・・・。ま、あたしのトリエは強気な事だけだからさ、『あんた達みたいなブスに言われたくないね』って言ってやったけどね!」と、美香。
「でもね、のの。コレだけは、忘れないでね」
裕子が真剣な口調で言った。
「他人がなんと言おうともさ、ののはすっごく可愛くて、優しいステキな女の子だよ。あたし達は悪口とかには慣れてるけど、ののは慣れてないような気がして。だから、こんな手紙よこすバカな他人の事は気にしちゃダメ。ののは、自分を信じて歩いていってね」
美香も、続いて言った。
「うん。ののは、すっごくステキな女の子だから、こんなの気にしなくてもいいよ。知らんぷりして、あたし達と最高のアイドル目指そうよ」
「・・・うん。ありがとう!」
ののは、毎日学校で顔をあわせるクラスメート達よりも、週に3回しか顔をあわせない裕子たちの方が大切な友達に思えた。 |