| 「ルン♪ルン♪ルン♪」
ののはゴキゲンで学校へ向かっていた。教室に入ると、朝香が話しかけてきた。
「おはよっ。ちょっと、昨日さぁ、テレビ見てたらののが8回もでてたよぉっ!いや〜パパとママがビックリしてた。あたしも、劇団アジサイはいろっかな〜♪」
「エヘへ♪またCM出演が入ってくればいいなァ〜なんて」
のの達が出演したCMは予想以上にヒットした。もちろん、裕子と美香のファンが多かったみたいだが。でも、新たにののにもファンがついたようだ。たまに、「あの裕子と美香と踊っていた女の子は誰!?」という質問が殺到するそうだ。
「あっ。そうだ、ののンとこの机にさ、悪口のかかれた手紙入ってたでしょ?アレね、1組の、村井菜穂が書いたんだって」
「えっっ!?」
村井菜穂、といえばすっごく可愛くて、モテモテで、お父さんはお医者さん、お母さんは有名小説家のお金持ちのお嬢様、成績優秀、運動神経バツグンのスーパー・ガールとして有名だった。ただ、性格に少々問題があったのだが。
「あのコ、メッチャ感じ悪いよ.それに、学校にメイクセット持ってきてるんだって」 朝香がコッソリ言った。
「・・・ってウワサをすれば・・・・」と朝香が廊下をチラッと見て、「菜穂が来たよ!」
村井菜穂は、ののと一瞬目が合うと、すぐ教室に入ってきた。そして、整った顔をこわばらせてののに言った。
「・・・赤坂さん。テレビで何回も見たわよ。裕子ちゃんと美香ちゃんの立派な『引き立て役』になっていたわね」
この言葉には、ののはすごくムッとした。朝香も菜穂をギッとにらむ。
「ねえ、村井さん。何でののにこんなヒドイこと言うわけ?ひどいじゃん!!!」
「ヒドイのはそっちの方じゃん。・・・・赤坂さん。アイドルって言うのはね。あなたみたいな凡人がなれるものじゃないわよ?そんなこともわからないバカなの?コレ、常識よ」
理路整然と言い続ける彼女に、ののはガマン出来なくなってきた。ののは思い切り叫んだ。
「バカなのは・・・そっちの方だよ。アイドルになるには、美人ならなれるとかお金持ちならなれるとかじゃないと思う。アイドルになりたいって、頑張らなきゃどんなに美人でお金持ちでもアイドルなんかなれっこないと思う」
菜穂はもう絶えられないという風に言った。
「アンタみたいな凡人がアイドル目指すとか1000年早いよ!」
クルッと菜穂はきびすを返して、教室へ帰りかけた。そのあと、思い出したように笑った。
「あたしもね。劇団アジサイはいることにしたわ。・・・赤坂さん。せいぜい、脇役で頑張ってね」
隣でずっと利いていた朝香は、「ムッカツクゥ〜〜〜〜〜〜!!」と叫んだ。
(村井さん・・・・あたしにとってのライバルなのかも) |