あいどる★でいず

作:ひまわり☆(中1)

R

 

菜穂が劇団アジサイに入団して一週間が過ぎた頃。ののは、少し早めに家を出て劇団アジサイに向かった。と、劇団アジサイの前には哲人がいた。

「あれ?なにしてるの??」

ののは哲人に話し掛けてみた。哲人は、「しっ」と唇に指を立てて言った。わけがわからない、とののは思いながら静かにした。すると、哲人が口を開いた。

「美香のこと知ってるか?」

「え??美香ちゃん?しってるよ」

「そっか・・・美香の母さんって、美香のこと捨ててったんだよな。それが、美香の母さんが、美香を取り戻しに来たみたいなんだ。ほら、あそこにいるぜ?」

哲人の指を指す方向には、髪の長い女の人がいた。きょろきょろとあたりを見回していた。まるで、誰かを探しているようだ。

「えっ!?・・・あの女の人が、美香ちゃんのお母さん・・・?」

「そうみたいだ。って、もうオレ塾の時間だ。まっ、美香がくら〜い顔してたら、裕子と一緒に励ましてやれよ。じゃな!」

哲人は、さっさと走っていってしまった。

(美香ちゃんのお母さん・・・。美香ちゃんのことを捨てたお母さん・・・なのに、なんで今更、美香ちゃんを取り戻しに来たの?)

ののは、思わず駆け出していた。そう。女の人の元に。ののは、女の人に声をかけてみた。

「あ、あの!すみません。だ、誰かをお探しですか??」

「え?・・・あら、CMに出ていた子ね!本当、可愛いわね。誰かを探す?アア・・・。美香って言ってわかるかな。劇団アジサイに入ってるの。アナタも入ってる?」

「は、はい!美香ちゃんとは仲良くて・・・ええっと、あたしがこんな事聞くのはヘンなんだけど、美香ちゃんのお母さんなんですか?」

思いっきり声が裏返った。美香のお母さんは悲しそうに笑った。そして静かに話し始めた。

「私が悪いの。美香を育てて行く自信を無くして・・・・。仕事で知り合ったほかの男性に夢中になってた。そして、まだ幼稚園にもいかない幼い美香を捨てていったわ・・・。今更だけど、美香に戻って来てほしいだなんて、勝手すぎるわよね」

ののは、言葉をなくした。沈黙が二人を包む。すると、美香の声が聞こえてきた。

「何よ!!今更お母さんが帰ってきたなんて!!勝手すぎるよ。あたし、ひとりぼっちだったのに・・・・。ずっとずっとひとりぼっちだったのにさ!!」

「・・・美香。ごめん、ごめんね・・・・」

「謝んないでよ!!あんたなんか、お母さんじゃないもん!!」

美香は泣いていた。裕子が後ろから走ってきた。ののは、そのまま立ちつくしていた。

「・・・・美香。ごめんなさい・・・・ごめんなさいね・・・」

 

 2006/7/1

次へ