| 「ごめんごめん、心配かけちゃって〜。あのね、お医者さんが言ったんだけど、ちょっと強いダボクショウだったんだって。一週間位シップを貼ってれば大丈夫だって」
「なぁんだ。山村さんがあんなに痛がるから、本気で心配したのに・・・」
あたしはフゥっとため息をついた。そして、キャッチボールをしていた男の子達とその親御さんが数名来て、山村さんに短く謝っていた。あの男の子達もしょんぼりしながら、山村さんに謝っていた。
「大丈夫ですよ。あたしも、よけてればよかったのに。それに、あそこの公園はちょっと狭いから、もっと広い公園で遊んだらいいんじゃないかな」
山村さんは何事もなかったように話している。あたしはホッとして足元にいるさくらんぼをなでた。
そして、それからまる十日後。あたしと山村さんはさくらんぼの世話をしに公園に行った。すると、あたし達と同い年くらいの子が、さくらんぼを見て駆け出してきた。
「・・・バーディッ!!バーディ!!あたしよ、紗江子よ!!」
さくらんぼは「バーディ」と呼ばれると、その「紗江子」と言う子に飛び付いていった。
「何?あのこ・・・。誰だろ・・・」
あたしが聞くと山村さんは不安そうな顔で言った。
「・・・さくらんぼの・・・飼い主・・・だと思うよ」
すると、紗江子があたしたちに気づき、こっちに近づいてきた。そして、小さい声で話し始めた。
「あのね、あたし上野紗江子。この犬は『バーディ』って名前付けてて・・・。でも、あたしのパパの仕事の都合で、アパートに引っ越したの。だから、バーディを他の人の家に預けていたんだけど・・・。あたし、諦め切れなくて。だから、わざとバーディをこの公園に逃がしておいてたの。それでエサとかあげてたんだけど・・・。また引っ越して・・・今杉上町に住んでるの。電車で二時間以上もかかるでしょ?だから・・・」
ここまで話すと、ウッと息に詰まって話をするのをやめた。・・・ってことは、この人に返さなきゃいけないってことだよね。
でも・・・あたし、そんなのイヤ。でも、紗江子さんは・・・?
山村さんを見ると、悲しそうな目でさくらんぼを見ていた。さくらんぼは、紗江子さんだけを見ていた。
続く♪
=あとがき=イヤ〜もう8話です。頑張って、終わらせたいです!!読んでください。 |