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上野紗江子に出会ってから三日後。紗江子さんは、それから三日間ずっとさくらんぼ(バーディとも言う)にえさをやったりしていた。ここの近所におばあちゃんたちの家があって、そこに泊まりに来ているのだと言う。でも、学校を休んでまでもさくらんぼの事が気になるなんて・・・。紗江子さんにとっての「バーディ」はどんな存在なんだろう・・・。とかいろいろ考えちゃって、さくらんぼを返したらいいのか、分からなくなってしまった。
あたしは――――返したくない。
山村さんと仲良くなれたきっかけは「さくらんぼ」出し、「さくらんぼ」はあたしにとって、大親友な気がしてくる。でも・・・紗江子さんは?
4日目の放課後、やっぱり紗江子さんはいた。あたしは、紗江子さんに聞いてみた。
「あの、紗江子さん。一つ聞きたいの。何で学校休んでまで、バーディに会いに来るの?」
すると、紗江子さんはちょっと笑ってからこう言った。
「あたしね、引越しばっかりで友達もできてなくて、今学校に行ってないの。パパやママは、すっごく怒ってるから、おばあちゃんたちのところへ逃げてきたの。バーディさえいれば、友達なんか、いらないって思ってたから・・・。バーディに会えるなら、学校なんて行かなくてイイもん」
その話を聞いて、山村さんは紗江子さんを見た。そして、何か決心したような目で、さくらんぼを見た。
次の日♪
「きめたっ!!あたし、紗江子さんに『バーディ』返すよっ!!」
山村さんが叫んだ。あたしはビックリして、山村さんを見つめた。
「えっ!?本当に??」
「うん。決めたの。紗江子さんのたった一匹の友達だもん。返さなきゃ」
山村さんの瞳はキラキラ光っている。あたしは、コックリうなずいた。
「よし。じゃ、放課後に行こうかっ!」
そして。あたしと山村さんは、公園に向かった。すると、一人でブランコに乗っている紗江子さんに声をかけた。
「さえこさんっ!!あの、あたしたち、紗江子さんに『バーディ』返します!!」
すると、紗江子さんはビックリしたようにあたしたちを見つめた。すると、泣き出しそうな瞳で「いいの?」と聞いた。
「うん。いいの。だって紗江子さんのお友達だもんね」
「そうだよ。すっごく仲良しだもんね、一人と一匹は」
紗江子さんは、バーディを見て泣き出した。バーディがそのナミダをペロペロなめる。
「ありがとう・・・」
紗江子さんが言った。山村さんが息を吸って、
「紗江子さんも、友達つくりなよっ!きっと良い友達できるよ♪」
紗江子さんが「うん」とうなずいてから小さな声で言った。
「実は、仲良い子が3人いるの。一緒に遊んだりして。・・・あの、あなた達、何て名前なの?」
あたしと山村さんは同時に言った。
「桜っていうの!!」
紗江子さんは、またビックリしたような顔になった。そして、ニッコリ笑った。
「いい名前だね。二人一緒で、おそろいだね」
それからは、紗江子さんは杉上町の家に帰ったようだ。バーディは、おばあちゃんの家に置いていったらしい。
「あたしのおばあちゃんの家の住所と、あたしの家の住所教えてあげる。手紙書くよ。それに、バーディにも会いに来て」
紗江子さんとも仲良くなれて、一件落着。もう、桜の気は完全に緑色になっていた。
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