|
うう〜〜〜・・・。頭がガンガンする〜・・・。腫れてる?もしかして・・・。
ずきずきずきっ。頭の痛みが全身にひびく。あたしは、布団を一気に頭からかぶった。
隣には、ナツカが寝ているはずだ。ナツカも、布団にもぐっている。チラッとあたしはナツカの事を見てから、目を閉じた。
―――なんだか・・・自分の体じゃないみたい・・・。こう、ぐったりするって言うか。なんだか・・・ヘン。
バサッ。
布団がこすれる音がして、あたしは、隣のベッドのほうを見た。ナツカが起きたんだ。な〜んだ、無事だったんだ。あんなヤツ、死んでも良かったのに。
あたしは、ナツカを見たつもりだった。でも、そこにいたのは・・・「あたし」だった・・・!!
そこにいたのは「ナツカ」の姿じゃなくて、「杉野チカ」の姿だった・・・!?え??
あたしとナツカは、保健室を出ると、鏡のあるところへ走っていった。・・・鏡に映っていたのは、「杉野チカ」の顔ではなく、にくったらしい「高橋ナツカ」の顔だった・・・!!!
あたしは、ナツカ(見た目はあたし)に向かって話しかけた。
「ね・・・ねえ!!アンタがナツカよね・・・。何で、こんなことになっちゃったのかな・・・?あは、あはははは・・・」
「もしかして、あの時ぶつかったからかな?」
ナツカは、以外に冷静にいった。じょーだんじゃない!何よ、その漫画みたいな設定は。あたし、アンタみたいなヤツと入れ替わるなんて、人生最大の汚点よーーー!!
あたしたちは、教室の中へ入った。あ、カナだ。あたしは、カナの元へ走っていった。
「カ〜ナ〜!聞いてよ!!実はさ、さっきナツカと思いっきり頭ぶつけちゃってさ!!んで、保健室で寝てたんだ。授業、まだ始まってないよね・・・?」
そういいながら、あたしはカナに笑いかけた。・・・でも、カナは、「は??」という顔で、あたしの事を見ている。
「ナツカ、いつからあたしと友達になったの?あたしの友達はチカなんだけど。ナツカ、頭ぶつけて頭fがおかしくなったんじゃないの?」
・・・・がーん。そうだ、あたし、今は「ナツカ」なんだ・・・。カナ、結構ひどいヤツだったんだ・・・。ううん、そうじゃない。あたしが、カナに言ったんだ。「ナツカのこといじめない?」って・・・。
あたしは、うつむきがちに自分の机まで歩いた。ただ、あたしが座ったのは、「チカ」の席だということに気づくまで1分かかった。
「ちょっと!!ナツカ、そこチカの席よ!!あ、チカそこにいたの?こっち来てよ〜。ほら、ナツカが、チカの席に・・・。後で消毒しといたほうがいいんじゃない?」
・・・。ねえ、カナ。あたし、中身は「チカ」なんだよ?いつもみたいに、おしゃべりしようよ。いつもみたいに、さ。何で、あたしは「チカ」だよ。「ナツカ」なんかじゃないよ・・・。
あたしは、今日一日「いじめられる」体験をした。あたしが、前からみんなに「ナツカに対するいじめ」を考えていたのと同じように、あたしはいじめられた。仲が良かった、カナからも。
ノートはびりびりに引き裂かれ、落書きをされた。
かばんの中に、「死ね」とか「この世から消えてください」とか「学校にくんなバイキン!!」とか書かれた手紙を入れられた。
みんなから、一斉に悪口を言われた。
家に帰ってから、あたしはいつもと180度違う生活をした。ゲームも漫画もほとんどナツカは持ってなかったし、家はちっちゃい一軒家だし(あたしの家は、お店が1階にある三階建て)、1人っ子で退屈だった。ナツカのお母さんとお父さんは、夜中まで帰ってこない。だから、ナツカは、お母さんが仕事に出かける前に作った料理を温めて食べているらしい。そして、自分で作ったりしてるみたいだ。
あたしは、今までナツカにどんなんひどいことを言ってたんだ・・・。ナツカの両親が、ナツカを捨てていった、とあたしはホラを吹き、クラス中に広めたこともあった。
・・・あたしは、今まで、こんなに怖いことをやってたんだ・・・。
|