舟転覆からコマイ爆釣




  カワガレイは眼が反対向き。

  小雨。左の竿は初めて使う。二本とも弟のオサガリ。

タイトルでは私が釣り舟に乗ってたと勘違いされそうだ。ある昆布漁船が横波で転覆して、歯舞漁協所属の全船が操業停止になったため、釣りに出たということだ。人間の行動というのは他によって左右されている。もし私が防波堤から落ちて死んだとして、転覆事故が起因になっても、事故を起こした者のせいではない。因縁をつけたらきりがない。他を見過ごしている。舟が転覆しなかったら、たとえば昆布を積んだトラックが交通事故を起こして死者三人なんてことだってある。生き死には、生命誕生からそれを続けてきた。コラコラ、また釣りページで哲学しがかってしまったわい。ただ私は頭が弱くて、それを追究して結論づけられないままトンズラする。

五時頃Sの電話で起こされて昆布干しを頼まれる。寝たのが一時過ぎで酒も残ってつらいが、義姉の弟で人手がないのは知ってるので断れない。月ヶ丘6時40分発。それが友知あたりでまたかかってくる。呼び出しがすぐ聞きとれずに出られなかった。何だろう、中揚げが早いからすぐに来いという催促か?双沖まで五分ばかりだし、バス車内はけっこううるさいのでかけ返さない。
 降りてすぐはSにつながらず、実家玄関でつながる。
「舟がひっくり返ったから全船あがった」へ?そういえば中揚げには早い三艘ばかりが戻るのがバスから見えた。つまり手伝う必要がなくなった。歯舞か珸瑤瑁か知らぬが、事故があると舟の全部が操業停止になる。ところが転覆したのは双沖の舟、U.Rだとウチヤマのおばさんが伝えてくる。
 舟を曳いてきて人だかりがある。聞くとRは怪我もなく無事という。船腹が寄せられている。おかげで知る顔をまとめて見られた。警官、組合からも三人ばかり来ている。ここは写真にしとかないとと、携帯を取りに実家に戻る。それがバカ!ジャンパーのポケットに入っていた。舟揚げ場に戻ると裏返った船体は直され、水をかきだしたり、船外機のあたりを確かめていた。クレーンで吊って表返す作業を見られなかったのが残念だ。半月休漁で水揚げの少ないのは厳しいはずなのに、そこから三日続いたので骨休めしたかったのか、ほどよいハプニングだったのか、集まった顔はどこか楽しげである。今日の海は穏やかだった。そんなときでも、信じられない高波が来ることが稀にあると誰かが言っていた。
 四時間半の操業が40分で終わったということは全船水揚げ総量をかなり減らしたことになる。しかし帰船時に雨が降りだしたので、つまり生のままの昆布を乾燥機にかけなければならなくなり、後日聞いたところでは、早く揚がって助かったという声が多い。海が相手だから休漁だったと思えばなんのことない。
 このRというのは小学の頃川釣りがうまく、ただ釣り方がズルいと聞いたものだ。二つ上で野球部でもなく、どこか人種が違うというか話したことがない。次兄と同級になるが、安否がハッキリしないのに、次兄は知ったことかと朝飯を食べていた。自分の学年42人で死んだ者はまだいないと自慢するのだが、晴れて第一号誕生(コラッ!)になったかも知れないというのに。

さて、呼び出されたのにすることがなくなった。こりゃもう。盆のイソメが少し残っていた。動いてるのもある。洗ってエビ粉をまぶした。
 十時前。青空が隠れてしまった。舟揚げ場から人影も消えた。西防でカレイに徹するつもりが二人いるので灯台にする。Rがオダブツだったら釣りなんて許されないところだった。
 今日は昼間の満潮のない日。意外にコマイが来る。ただポツポツと降りだした。風は嫌だが雨は困る。雨具なんてない(100円のは物置)。ほどなく寄せたらカレイらしき。それが黒ガシラでなくゴソで27,8p。この竿は弟が三日前に置いていって初めて使う。もう一本は一昨年から使っていて、てっきり長兄のものと思っていたが、盆に弟のものと判明した。どおりで兄貴も口にしなかったわけだ。昔隣だったKといつか一緒になって「その竿太いんでないの?」と言われたことがある。それを話したら弟が答えるには、あえて硬いのにした理由はカレイに向けたもので、長年のバトル経験からのカケヒキにあるのだった。これに比べると今回置いてったのは先が細い。アタリの点で家族では評判が悪い竿だと教えてくれた。仕掛けもいいのを何組か残していき、それでの初ガレイになった。先月の四人組のゴソのランクで母と弟と話したこともあり、いつになく姿形を見る。なるほど黒ガシラよりは口が大きいので恐い顔だ。でもヒレに縞模様があるのは悪くはない。ただスーパーのに模様の覚えがない。ハリを外すのに、弟の言ったとおりテグスで簡単にクチビルが切れると確認できた。
 ところがエラを裂くときにいつもとは違和感を覚えたのだったが、帰って図鑑を見ると、それもそのはず、裏表が違ってたからで、眼が左側にあるヌマガレイ=カワガレイだった。地方で呼び方は変わる。図鑑ではイシガレイの地方名として北海道東部でゴソガレイとなっていて、それはスーパーで見た。しかし母がゴソと言ったように、釧路の釣りブログでのゴソガレイの写真は、母と同じくカワガレイである。図鑑のヌマには地方名としてカワはあってもゴソとは記されてない。この図鑑はカジカでも文句をつけたことがあるが、どうも私には信用できないところがある。プリントミスでもカレイ科がカイイ科になっていたり。そもそもクロガシラは載っていて、クロガレイがないのはおかしいではないか。まあネットと違って書き加えられない。クロガシラの地方名としてオキガレイ(根室)となってるが、私は耳にしたことがない。万人向けのものだから、一人一人が納得できるはずなんてない。盆のとき弟はゴソガレイとイシガレイを区別していた。そして両者の雑種のオショロガレイなるものもいると教えてくれた。産卵期と産卵場が重なったケースで、新種とされた時期もあったようだ。書いてる私が説明にこんがらかっているのだから、釣り人でない者にはサッパリわからないだろう。まとめると、図鑑とスーパーはイシ=ゴソ、ブログと母はカワ=ゴソ、ということにしておこう。

小雨になってから、まったくアタリの途絶えた一時間があった。一時半頃のバスで帰るつもりだった。次のは二時間後になる。コマイはもう及第点だ。雨は強くもならず気にならない。また釣れだして、時計を見ながらもう一投とやるうちに、ついにバスに間に合わなくなった。まあ、こうなるのは、それを望んでるところがあるからだ。これだけ食いつきがいいのだから、クロガシラだって当たるだろうと。35p大が。
 私が立つのを阻んだ二人が消えた後しばらくして、西防にはカレイおばさんらしきが現われた。眼鏡視力0.7の私に顔の判別は無理でも間違いない。一昨年はカレイの当たり年で毎日必ずといっていいほど現われた。ただ去年は見なかった。赤い雨具を着ている。相変わらずつきあいのダンナは、釣りそのものには無関心な姿勢を取っている。しかし二時間ばかりで帰った。
 結局クロガシラはなし。二時半で打ち切り。雨も強くなってきた。
 裏口でクーラーから出すのに数えたらコマイ64匹だった。サイズはバラバラ。一日あたりの数では最高だろう。その都度弟から教わったハリの腹を押すを試してみたがうまくいったのは三度ばかりに過ぎない。義妹が弟にイチャモンつけた気持ちも肯けた。確かにハリの腹か背か分かりにくい。こだわると指を突っ込んだ拷問みたくもなる。一方の竿にすぐアタリがあるので忙しいせいもあった。手っ取り早く割り箸で回してしまう。弟の域には遙かに遠い。  

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