二年ぶり 10.3,4

もう釣りは諦めていた。
 去年春に腰を痛め、それが足に来て歩きがおかしくなった。脊柱管狭窄症なんて聞いたこともなかった。市立病院の医者は手術しないと治らないと釧路の病院の紹介状を書いてくれた。しかし釧路の医者は画像から手術の必要はない、運動して治せと言った。市立の医者は手術してこないので不機嫌な顔になった。何のアドバイスもなく、一月分の薬だけで次回予約をしない。対処できない者は相手にしない胎である。それが七月のことで、100メートル歩いては休まねばならず、足底を30秒でも浮かせないと駄目になった。スーパーまでは200メートルないけれど、広い店内の買物で腰を落とすわけにいかず、狭いコンビニばかりにした。前屈みになって伏せるつもりが後ずさりしたりした。そんな状態で防波堤には立てない。特に運動したわけでもなく、歩行が長持ちするようになったのは十二月に入ってからだ。

二年ぶりだから釣果は二の次。
五時になった。やめよう。西防に粘る人がいる。

祭で二月以来の沖根婦に行った。しかし山車の変更から時間ができた。部屋を出るときにして小雨で天気は悪かった。神社を見にいき、雨もやんだ。釣りをするにも竿とリールも仕掛けもどうなってたかはっきりしない。冷凍庫に兄貴が盆に使ったらしいイソメがあり、母にサンマを切ってもらい餌はできた。二時頃に港にゆくと祭なのに天気のせいか大漁旗を掲げてる船がない。ともあれ二年ぶりの防波堤に立つ、正しくはクーラーに座る。定位置だった南防灯台わきである。釣り人はたいがい西防に集まるのにここなのは、満潮なら海面に手が届いてカニがつかめたのと、背にテトラ帯があってアブラコの穴釣りに移れたからだ。ブランクが長くて第一投が不安で、それでもなんとか普通にいった。釣れようが釣れまいが問題でない。釣り人になれればいい。しかし妙なもので、二本の竿先を見てるうちに最後の釣りが二、三日前だったような感覚になる。

月曜のうえ天気も悪く西防にも一人しかいない。ともかくアタリがあるか、何か忘れて間違えてる気もする。20分ほどで竿先が揺れた。これよこれ!しかし竿を持つと反応がない。その後も餌だけ取られた。ようやくクイクイ抵抗するのには二年ぶりで感激した。25センチ近いコマイ。その後小さいカレイがきた。リリースするにも針が深い。小雨になったりやんだり、五時を過ぎて暗くなるまでやった。コマイ三匹の型はよく、黒ガシラの小さいのが四枚。釣果より釣りのできたのがよかった。つまり釣りが可能と証明できた。もっとも家に歩きながら腰が痛くなる。一杯飲んでから祭の余興に向かった。

アブラコが小さく申し訳ない。
この後風が強まる。わが原風景は友知の崎。

翌日。天気はいい。しかし台所から見る海は高い波が走っていて、港内もいそがしく動いている。この条件でまともな釣果はない。しかし、いつまた釣りに来れるだろう。十時半頃に向かう。港内には鮭釣りが二、三いる。
 昨日からしてコマイのいないのは分かっている。思った以上に波が激しく風も強い。仕掛けやら入るバッグと出した餌が飛ばされないか注意がいる。やはりアタリなし。西防には誰もいない。それで一本もってテトラを試すことにする。今の体力では高いところに上るのがきつい。狙いの穴はあるがどこだったか、けっこう先なので適当なところに餌を落とす。そのままにして灯台に戻るとコマイがかかっている。そしてテトラに行くと、あれ?ハマオトコが。コマイ狙いであわよくばカレイなのだがテトラに切り替えるかと思う。ところが灯台に引き返すとゴソガレイがビクンときた。とここまではよかったのだが、風がますます強くなってくる。これまでこんな風のなかで釣ったことはない。投げるのもおぼつかなくなる。まともに飛んでいかない。ときどき波が吹っ飛んでくる。釣ってるより風に時間をとられる。針がズボンに引っかかって外れないのでズボンを鋏で切る。仕掛けを駄目にしたら、あると思っていた予備が見当たらない。防波堤元まで退散する途中二本の竿の仕掛けがからんでしまう。梯子もあるので、そこのテトラにしようとしたわけだった。穴釣りは単純に一本針でいい。しかしからんだのを使えるようにするにも時間がかかりそうだ。家に戻れば手っ取り早いがその気にならない。体が飛ばされそうな強風に足場の狭い高いところは危ない。諦めがついて一時にやめる。この二日で釣りができる見通しがつき、来月はアブラコ釣りだと思う。

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