まずまず快調。しかし昼から出かけても、秋の日は短くなり、写真は午後三時十八分と記録されているが、もう夕映えの気配が漂う。これは写真のイタズラ、実際はこれほど暗くなく、それでも陽の傾き加減は分かるだろう。地平線に隠れてからでも少しは出来るのだけど、釣りの仕掛けは細かく、餌をつけるのも、魚をハリからはずすのも容易くなくなってくる。老眼も加勢する。ライトを備えればいいとは思っても、そこまではなれない。
12年秋補足 実際、夜釣りに来る連中もいる。八月末、灯台のところに一度会った顔が夕方に現われた。前回は車体に<釣魚会 熊組>とペイントした人と話していたので、そのメンバーなのかも知れない。照明器具と簡易テーブルセットを作りだし、すぐにもう一人到着。時刻からこっちは帰りがけ、この日はサッパリだったのが、ちょうどクロガシラを仕留めた。聞いてみたら、夜から早朝がいい、炭を熾し(どおりでときどき残りカスが落ちている)、ビールを飲み、カップ麺を啜りながらキャンプ感覚で楽しむのだという。いいねー。いつか付き合おうと思うのだったが、家からは灯台と西防先端は倉庫の陰になって見えない。そして、沖根婦から移ってしまったし…。
さてと、ご覧の通り、一時間後でもこの通りで粘っている。そしてクーラーの魚を手で回したとき、後で思えばコンニャクみたいな感覚もあった。しかし自分がハリをはずしたアブラコたちに不審者がいるわけがない。
家に戻り、母が魚をツクリに裏口に行って間もなく。「変なのがいるよー」と。目つきがキラキラ鋭くて気づき、もちろん包丁で切るのだから、触ったらポニャーとしていては。おそらく、ハリが口に掛った程度で簡単にはずれ、夕暮れで色も大きさもアブラコに変わらなくて見逃してしまったのだ。写真ではけっこう硬そうに見えるが、骨のないような寒天質。
そこから正体捜しが始まった。エゾイソアイナメ。しかしアイナメの種類ではなく、一本髭があってタラの仲間。通称ドンコ。日高あたりでは釣れるらしいが、北海道では全くの下魚。ただ東北の地域によっては鍋物として御馳走とされているとか。
母は沖根婦に60年住むのに、初めて見る魚だという。結局捨てられたのか、食膳に現われなかった。そりゃそうだ。得体の知れない、焼けば溶けるような魚では。周囲で、そんな魚がいて、食べたという話でもあればまだしも。あるいは魚売り場で見たとかなら。「海幸殿、責任をもってイタダキなさい」と出されたら困っただろう。