
折れた竿先が…。
枠いっぱいの写真で呑まれてた方が大きくなったが、重さにしたら20:1近い。食べかけながら、サンマ餌が降りてきたからって、よっぽど強欲なんだな。アブラコの潜ろうとする強力な抵抗もないくせに、ただ重いだけでなぜ竿を二度折られたのかが腑に落ちない。駆け引きがなく、段階を踏まえて構えないせいだろうか。
竿呑み穴でアブラコ一匹から移動してまもなく、アタリか不明が巻くと重い。これはだいたい海藻かカニ。ただカニにしてはズシリ感がある。
見えたらカジカ君だわ。気負った途端、半月前に兄貴に貰った軽量の竿先がポキリ。ドラグがきつかったし、糸に持ちかえるのが遅かった。去年も長年愛用のをカジカにやられてる。ハリをはずそうとすると、ぬ?口からシッポが出てる。こいつ、他のを呑みこみながらサンマ餌にも食いついてきたのか。この三時間後に納竿、別にしてある蟹を底にいれるためクーラーの魚を出したら、覚えのない12、3pのカジカがいる。共食いって本当だった。とんでもないやっちゃ。で、小カジカを放ったら目敏いゴメがパクッ。大カジカは晩飯に私が汁でバクッ。
実は私前日まで北方領土歯舞群島の志発島への自由訪問なるものに参加していて、船中二泊三日の中日に五時間だけの上陸で、どちらかというと、島ルーツの親睦会でしたが、その早朝、新船エトピリカ(約1200t)の艫に人影が…。なんと私がもくろみながら諦めてしまった釣りをやっているようで、それも同じ沖根婦育ちのT兄弟と私のイトコの三人で、同室なのだった。ちょうど弟のHが巻いてるところで、カジカがかかっている。
「禁止じゃなかったの?」病疫上動植物の持ちこみ持ちだしノンと聞いてたからである。
「資源調査なんだよ。カジカしか釣れない」嘘か名目か、Hの足元にはカジカばかり五、六転がっている。確かに釣ってもリリースすれば問題はない。
私が加わるには遅く、上陸に備え、ちょうどやめるときだった。Hが竿を縮めると40pもない位、小さいバッグから先っぽが出るだけに。こんな便利なのがあるとは知らなかった。サンマ餌が見えた。カジカはレジ袋に入れ、どうするのか気になっていると、同じ三階の食堂兼集会所の奥=調理室に入っていった。メニューに割り込んで晩飯の汁に出てくるわけはなかったが、捨てるはずはなく、船員たちのため貯蔵されたとは考えられる。
釣り経験ほとんどなしのイトコも試しにやらされて一匹あげたという。携帯に収められた写真も見させられた。
そのときからカジカがくすぶっていたのだ。私はナベコワシが大好物で、帰省するときの食の一番の楽しみだった。同じ食べたくても花咲蟹は東京でも朝から動けば夜にはありつけるが、北海道の海のカジカとなるとそうはいかない。もっとも、そうでなければならない。流通してもらいたくない。都会でメジャーにされてしまったらたちどころに品薄になり、とんでもない高値になるだろう。安くて極上の味は地元に隠しておくべきなのだ。
沿岸で釣れるカジカはギスカジカ=イソカジカで、トゲカジカ=マカジカ=ナベコワシとは違い、一段味が劣るとされる。漁村に住んでれば買うことはなく、漁をしているどこそこから水揚げまもなくのが流れてきて新鮮なのにありつけるわけだが、この魚は足が速く、スーパーなどで売られてるのより、釣りたてのイソカジカの方がずっと美味だと聞いたことはある。逆にこっちは沖合いで獲れないので魚屋にもない。
志発のカジカは沖根婦まで私を追って来たのではないか。
※九月に引っ越してから、試しにひと月頼んだ根室新聞で知った。市役所に勤めるHは、根室市お魚普及委員会委員長なのだった。どおりで去年のさんま祭にいた。資源調査もあながち言い逃れだったのではない。エトピリカ食堂の飲み会でイソメ捕りの話をしたときも聞いてくるので、けっこう好きなんだなと思っていたが。
さてここから。同じ穴で花咲蟹連発。釣りで禁漁とは聞いてないが、タモの持ちこみは許されていない。カニ君水面から出る途端爪で挟んだ餌を離すので、たまたまハリが刺さるか、糸が巻きつかない限りは難しい。防波堤でモタモタ垂らしてようものならすぐ落ちるので、水面に見えたらいっそシャクリあげるのが去年の戦法で、確実に仕留めたいなら、岸まで引っ張ってゆくか。しかしここはテトラ、かろうじて付いてる程度なら角にぶつかればソレマデヨ。でもこの穴は運よく水面まで下りられる。それで、手の届くところまで引き寄せて脚をつかまえる作戦にしました。捕獲マニュアルもなく、手袋を濡らしたくないので素手で、初めての試みだから敵の弱点を知らず、トゲだらけとの格闘だから多少のキズは。それより、なるたけ足場を低くするため波が来て長靴ジョップリ。ここまで来たら男子たるもの資源調査から一歩進め毒見調査も遂行しなけりゃならん。五ハイとなるとよく来るオマワリに見つからないかとハラハラしながら(磯でイソメ捕ってたら職務質問?された)、クーラーではなくレジ袋へ。一緒にしておくと魚が弱りやすい感じがするし、去年違法な釣りでこの堤防で逮捕されたと聞いてるから。何が違法か逮捕も分からないが。そもそも釣りの必需品といっていいタモが禁止されてるから竿は折るし、無理な体勢とってテトラの穴に沈没墓穴になったらどうしてくれるんだ。
※その後灯台のところで幼馴染のK彦にバッタリ。タモも許されているのだった。K彦は振興局に確認した。そのあたりの詳しいところは、私が蟹密釣?でオマワリに尋問された日の話に回そう。