パト襲来 密漁 12.7.14
久しぶりに昼前の釣行で爆釣でした。そして忘れられない日にもなりました。
コマイ24 ハマオトコ2 ホッケ2 カレイ2 カニ23 こりゃ三平も魚紳もビビる。ただ港での写真はきれいなホッケ一枚だけになった。どうもハマオトコとの違いが分からない。いつか隣り合った、自営で居酒屋に魚を卸しているという、ジャニーズっぽい若いのに斑点の色具合やら教えられたが忘れてしまった。きっと尻尾の形が全然異なると思うが比べる写真がない。どちらも滅多に釣れない。私の釣ったのと違い、ネットで見るハマオトコ=クジメ?も、ハゴトコ=スジアイナメ?も腹が白くないのだ。
釣りあげたのを写真にするのは幾分抵抗があります。もがいてる命を晒し物にするみたいだし、ナルシストが鏡に向かうのにも似てるからです。それをネットで自慢げに使うと。
カレイ親父
十時過ぎ灯台へ。先客一人。魚の反応良好。先頃から魚を生かしておくため家にあるスカリを使いだしたが、底に枠がなく丸くすぼまり狭い。それで魚干し用の平べったくチャック付きのを100円ショップで買い、本日初持参。それを岸壁に吊るし、コマイを入れるのに持ちあげると底にカニが付いてくる。カニは入れにくいので二ハイまでで、あとはこれも100円の藍色の袋に。カレイあげてまもなく、どこぞの親父の軽が乗りつける。話しかけてくるだけで帰るのかと思っていたら違った。
「今日はナマを買ってきたからな」100g800円のイソメのことだ。七十を過ぎると慌てることもなく取りかかる。先客が帰り、私は先端に移動し、二人きりになる。なにしろ釣れるし、カニもかかるので忙しい合間にいろいろ教えられる。
潮が動く時でないと魚は釣れない。これは経験積んで分かる。カレイは根魚のようなものだが、潮の動きによって動く。今日は潮見表でも動きのないダラ潮だから、魚はウスイ。
んー、私には最高部類に活性化してる状態なんだけど。
カレイ釣りで餌は経済しちゃいかんと繰り返す。やつらは食いつくのでなく吸い込むのだと。親父はチョイ投げでブラーを引き摺っている。このブラーは長年使っていて、これをなくしたら、この重さのが根室には売ってないから、釧路まで行かなければならない。二本バリなら塩イソメでもいいが、ブラーの場合はナマでないと駄目だ。大物はある程度大型船の通る船道にいるが、ここのはいい型があがるし、やはり太平洋のカレイはキレイで身も厚い。食べるならコマイの方が好きだが、ブラーのアタリの醍醐味に勝るものはない。等々よく喋る。チョイ投げでシコシコ巻いている。
なるほど五時過ぎ、100gパック存分に使い切ったと。五枚。「仕掛けで違うものだな」とコマイは4匹だけ。よほどカレイに関心があるらしく、私のスカリに収まったのまで見たがり、手にとって観察する始末。帰る前にさばいてるとき、スカリについたカニをハサミで捕ってやる。親父のスカリは丸細のせいか付いてきても落ちるそうだ。大漁ついでに自分にかかったのも一パイあげる。
「ありがとう。うまい鉄砲汁にありつける」親父が去り一息、続けるか、やめても三十匹の魚と二十パイのカニを積んで自転車を漕げるか心配になったり、嬉しい悲鳴ってやつだ。
パト襲来
余裕の心地で灯台根元に腰かけタバコに火を点ける。ふっと陸が目に入り、堤防元から車が。カレイ親父と入れ替わりの新客らしい。ところが、ん?白黒、まさか…。まずいぞこりゃ。ついにXデーが来たか。さんざん気をつけろと忠告されてたのに取り合わなかったのだ。パトに慌てる素振りは見せられない。悪いことしてるつもりはなくても、カニの四分の三はスカリ代役にくっついてきたのも事実。一挙に三つのときもあった。目と鼻の先の西防突端に五、六人いるので、通報されたのだろうか。
「どお、釣れてるの?」二人来た年配の方が聞いてくる。白々しい。
「まあ、まずまず」
「カニも釣れてる?」直入だね。
「釣れてるよ」
「見せてくれる」内心は観念状態で見ろよとばかりスカリを上げる。運よくカニはついてない。
「おお、すごいコマイ」と言いながら「岸壁にカニも寄ってへばりついてるね」だから何だってんだ。それを俺が捕獲してるとでも言いたいのか(その通りだけど)。
「でもカニがいないな」二ハイだけでコマイに隠れている。
「いや見えてる」遮るように若い方が言うと、見覚えある顔。気づかなかった。
「んーと、○○さんだったっけ」
「なんだ、あんたか」去年からよく会うポリなのだ。五月にカニが釣れるようになってから彼を警戒していたのに、この場面では味方を得たような。
「知ってるのか?」年配が聞く。
「去年こっちに戻ったきたとかで、よくアブラコ釣りをしてるんです」
「それまでどこにいた?」そんなこと、関係ないべや。
「トーキョー」言いやすいので答えてやる。
「…んー」
「○○さん、これも網類なのでまずいんですよ。不正になります。カニも釣る分には構いませんが、三バイ位までにしてください」顔見知りポリの説明が始まる。今思うと、釣り談義した間柄でもあり、手だれの年配ポリから庇うため前に出たのだ。ただこっちは横の袋に入ってる20パイのカニがばれるかしか頭にない。魚と違い、押し込められた窮屈な暗闇から脱出しようと、モゾモゾ動いてておかしくない。しかし目をやれない。
「俺もこれ使うの初めてなんだよ」
「カニは甲幅8センチ以下は逃し、メスも放してください」
「そんな小さいのかからないよ」そこで話が途切れ、私の横には膨らんだ藍袋と銀光りするでかいハサミ、バッグしかない。警官たるもの確認してるはず。いよいよかと覚悟したとき、千円のオモチャの竿がビクビクッと動いた。
「来てるんでないの?」と若ポリ。しめたとばかり竿に飛びつき、巻きながら袋の上に移動。これは袋を隠すのと、たいして重要物でないと示すため。相手も尋問中だからやめろとは言えない。あとは、魚釣りに来てるって証しを見せつけるだけ。ところが、なんと向かいの西防とのオマツリではないか。いやいや、かえって好都合だ。警官のことなど頭にない、つまり不正なんぞしてないから後ろめたくありませんよーというそぶりで、袋からは三、四歩横に移り、マツリ相手がゆるめてくれたのをはずす。
「いいよー巻いても。はずしたよー」うむ、邪念なき釣り人でないの。この数分、ポリがどう見てたかは分からない。
「それじゃ頑張ってね」年配ポリが口にした。おお、窮地脱出。パトが離れていくのを振り返らず、釣りに集中してるふりをする。
かれらは疑ぐるプロ。おそらく警告ですませ、袋は見逃してくれたのだろう。通報されれば来ざるを得ないが、漁港の番人ではない。取り締まる権限がどこまであるのか。そもそもこの根室自体が海のブラックマネーで経済を成り立たせてきた経緯がある。そして密漁の言い訳にはならないが、わが家は船はなくなったけれど、今なお細々と漁協の準組合員なのだ。近所のTちゃんなぞ、漁業権なんて知ったこっちゃねえとばかり、平気で防波堤から網投げてるわな。だからといって、オレもという意識は毛頭ないのは断っておく。ただし、かかったカニはいくらでも持ち帰ってやる。ことを荒立てるのを避けてるだけで、私には闘う覚悟がある。釣りごときで減る資源なんて資源じゃない。年間釣られる総量なんぞ、カニ漁船一艘一日分に遙かに及ばないのは明白だ。そもそも人類は神の目を盗んで地球生物を密漁しているようなものだ。
関連はないがふと思い出した。二十年も昔になり記憶も薄れたが、道東での鮭鱒密漁の現場がテレビに流された。取材陣は夜中に張ったのだろう。リポーターがつかまえたのはまだ中学生位の少年で尋ね始めた。少年は暗がりのどこか先にいる父親に「父さん、…父さん」と助けを求める。しかし父親は来ない。おかまいなくリポーターは続ける。また「父さん、父さん」と少年は呼ぶ。バカヤロー、親父見つけて話を聞け!腹が立つと同時に、悲しくなった覚えがある。生活のかかった密漁と読めたからなのか、少年と自分は置き換えられると感じたのか…。

いつか入れてスカスカだった魚箱もナントカ耐えられる。写真はボケた。

茹でたら様になる。脱皮期で身が詰まっていない痩せガニが多いのはやむなし。
後日談。再会したカレイ親父の話を要約。
―あの後、陸に向かったらパトカーが待っていた。一人は双眼鏡をつけている。何を釣ってきたか見せろと言う。カレイ五枚には感心しても、カニ二つ持ってるのを質され、やむなく灯台を指差し、あそこの人に貰ったと。カニがかかりやすい用にしてるかハリまで調べられた。それで帰してくれたが、カニまでくれて世話になったあんたがどうなったか心配だった。
それから双眼鏡を意識するようになった。防波堤で聞いてみると、海上保安庁のやつらが遠くから覗いてるのは釣り人として常識らしい。そして考えるまでもなく、昆布漁家なら自分ところの船を見るため、双眼鏡を備えてるのは当たり前ではないか。私が無警戒のお人よしのノーテンキだっただけ。
通報したのはTちゃんが有力とも聞く。通報の有無さえ、真相も分からないが、漁期に入ったせいもあるのか、いつも防波堤に現われて声かけてくれてたのが、とんと姿を見せなくなった。
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