
「特に問題はありません。しかし……」
医者は沈痛な面持ちで話を切り出す。
「しかし?」
対するは少女。隣には母親もいる。
「正常な白血球がやや減少気味ですね」
医者は彼女のカルテを見ながら淡々と告げた。
「『正常な』白血球?」
少女は首を傾げた。
「はい。いわゆる『白血病』の兆候が見られます」
「白血病」という単語に、少女は表情を暗くする。
「大丈夫なんですか?」
母親が即座に訊き返した。
「大丈夫ですよお母さん。ですが、一応薬を出しておきますので。まだ大きな症状は出ないと思われますが、定期的に検査は行います」
医者は話し終え、カルテを机に置いた。
「わかりました」
少女が応答した。母親も同様に返す。
「はい。それでは今日は以上です」
医者は立ち上がった。つられて少女と母親も椅子を立った。
「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
少女――ユカと、その母親は診療室を後にした。
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