「お久しぶりです。それと……よろしくお願いします」
 お辞儀をした肩口から、長い金髪がすり抜けていく。フランス人形のような少女は、顔を上げて、その透き通るような碧眼で少年を見据えた。対する少年は、怯むことなく視線を受け止め、無表情の少女とは反対に微笑みを浮かべた。
「こちらこそ」


「…………」
 少女は目を丸くして見上げていた。金色が舞い、金色が散る。どうしてか、自然と笑みがこぼれてきた。体の力が抜けて、壁に手を付いてしまう。少女は、自分でも驚くほどに、呆れていた。
「ははっ……。何ですか、それは……」
「悪かったな。変で」
 少年は苦笑い。少女は、そんな少年の仕草に一層呆れてしまった。
「でも……楽しかったです。ありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとう。それと……」
「?」
 少女は微笑んだ表情のまま首をかしげた。少年は横目で何かを見てから、意を決したように言い放った。
「笑ったほうが可愛いな。たまには笑顔も見せてくれよ」
「……余計なお世話です」
 少女は無表情に戻って、片づけを始めた。


 その瞬間、少年の私刑が決定した。