『参加者が揃ったようですので、これからゲームの解説をしたいと思います』

 ゲーム……だと?



第3話 待っていたもの

―Waited What―




『今皆さんが居るのは、とある無人島です。面積は広めで、自然も豊富です。この島には、「我々が連れてきたデュエリストおよそ200人」が居ます。そのほぼ全員が参加者……即ちゲームのプレイヤーです』
 と言うことは、今この伝達をしている者、及びその仲間・上司――何でもいいが、とにかくそいつらが「デュエリスト消失事件」の主犯であるらしい。早々と警察に突き出したい所だが、まずはその「ゲーム」とやらの解説を聞くことにしよう。
『それでは解説を始めます』
 一拍置いて、その声は続けた。

『これからプレイヤーの皆さんにして貰うのは、「―Scramble Game―スクランブル・ゲーム」。略して「SG」です』

 スクランブル――、奪い合い……か?
『プレイヤーには地図と、ブースター第2期以降のカードから、ランダムにこちらが選んだ80枚のカードが配られます。プレイヤーには、80枚のカードで40枚以上のデッキを組み、デュエルをして貰います』
 それがデュエリストを集めた理由……か。
 ふと横を振り向くと、「何故か紙袋が置いてあった」。こんなのあったか? とりあえずその袋を手元に引き寄せた。その袋の外側には、明朝体で「No213 汐崎麗華」と書いてあり、中を覗いてみると、カードの束となにやら分厚い冊子が入っていた。これがその地図と80枚のカードだろうか。
『デュエルに勝利したプレイヤーは、敗者から1ポイントを奪い取ることが出来ます。最初は3ポイント持っています。また、ポイントが相手より多いプレイヤーは、そのデュエルを拒否することが可能です』
 ポイントが多いプレイヤーが有利というわけか。
『ポイントがゼロになったプレイヤーは、強制退場となります。その時、所持していた物は全てそこに置いて行きます』
 所持していた物……、つまりカード・地図・デュエルディスクか。
『なお、同じプレイヤー同士が連続でデュエルすることは禁止とします』
 まあ、それはそうだろう。どちらかが1回勝ってしまえば、もう片方に拒否権は無いため、連続でデュエルできる。ある程度強いプレイヤーが、絶対有利となってしまうためだろう。
『また、ゲーム中の食糧確保についてですが、島の各地に係員を配置しましたので、彼らに言えば出してくれるでしょう。また、ゲームで分からない事があったら、彼らに訊いて下さい』
 島に冷蔵庫でも置いているというのか。まあ、どうやって、という情報は必要ない。
『次に、各プレイヤーに配布されたデュエルディスクについて説明します』
 私は、自分の腕にいつの間にか嵌っていたディスクを見た。
『そのディスクには液晶画面が付いていますが、その機能は大きく分けて3つあります』
 1つは……と前置きしてから、その声は続けた。
『プレイヤーのポイント数の確認です。各プレイヤーにはナンバーが当てられています。そのナンバーと共に、その人が何ポイント所持しているかが表示されます。0ポイントのプレイヤーは即ち脱落者、ということになります』
 私のナンバーは……恐らく袋に書かれた213番だろう。
『次に、レーダー機能です』
 レーダー?
『近くに居るプレイヤーは赤色、係員は青色で表示されます。また、座標入力機能もありますが、こちらで入力した座標は黄色い点で表示されます』
 座標入力か……。使う機会はあるのか。
『最後に、現在地の確認です。自分の地点の座標を表示することが出来ます』
 試しに自分の座標を確認してみた。「χ=100・γ=20」。どうやら、O地点……つまり「χ=0・γ=0」の地点を南西の端にしているようで、私は南の海岸に居るようだ。例の座標入力で座標を入れてみたが、丁度中心に黄色い点が表示された。
『次に勝利条件についてですが……』
 私は耳を澄ませた。ここは重要なポイントだ。勝利条件によって、これからどう動くかも決まってくる。その声は、以下のように述べた。

『現在は伏せておきます。島のどこかにヒントがありますので、そちらを参照してください』

 勝利条件を非公開……だと? どうしろと言うのだ。
『勝者には豪華商品が授与されます。頑張って下さい』
 ブチッと放送が途切れた。はあ……と溜息を吐こうとした瞬間、忘れ物を思い出して慌てて取りに帰ったような口調で、不意打ち的に再び放送がかかった。
『えー、忘れてましたが、制限・禁止は"なし"です。それでは、健闘を祈ります』
 同じ音と共に、また切れた。今度こそ溜息を吐き、まずすべきことは何かを考えた。答えはすぐに出た。



 まずは、この孤独じょうきょうをなんとかしなければ。




この作品はフィクションであり、実際の人物、団体、建造物等とは一切関係有りません。


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