「――それで」
「ん?」
「手を組んだは良いのですが……」
 日光が切れ切れと差し込む中、私とレンは種類のわからない木に、もたれ掛かりながら向かい合っていた。
「具体的に、何をするんでしょうか」
「そうねぇ……」
 周りに虫は1匹もおらず、聴こえる音といえばお互いの声と息遣いぐらいである。
「とりあえず、カードね」
「カード?」
「そう」
 私は、紙袋からカードの束を取り出した。デッキ以外の、40枚のカード群である。
「私たちには80枚のカードしか配られてない。デッキを作るにも限りがあるわ」
「ああ、そういうことですか」
 レンも、カードを取り出した。
「ええ。トレードしましょう」



第6話 勝利の為に

―For Victory―




「えーと、デッキも……ですか」
「当然よ」
 私はデッキと余ったカード、合計80枚をレンに手渡した。
「混ぜちゃダメよ」
「分かってますよ」
 レンも私に倣った。私はカードを受け取り――と、ここで気付いた。
「あなた、1人脱落させたの?」
「ええ。丁度1ポイントのプレイヤーがいましてね。まあ、その後1回負けたのでポイントは変わりませんでしたが」
「ふうん……」
 まずは、40枚であろうデッキから物色することにした。
「除去カードが多いわね」
「ええまあ」
 《抹殺の使徒》を筆頭に、《シールドクラッシュ》、《地砕き》、《地割れ》、《炸裂装甲》など、魔法・罠の除去カードを含め計10枚以上。資産の違いというものだが、羨ましい。
「基本はアンデットみたいね。《ピラミッド・タートル》3枚積んであるし」
「まあ、運が良かったのもありますね。最初から2枚ありましたし、手に入れたのに1枚あったので」
「なるほどねぇ……」
 私はカードを流し見していき、ところどころで指を止めて抜き出し、紙袋に置いて分けていった。
「そのカードは?」
「ああ、欲しいカード。大丈夫、デッキは弄ってないから」
 レンはそうですか、と言って、またカードをめくる作業を再開した。まだデッキには手を付けていないようである。それにしても、ペースが遅い。どうやら、じっくり吟味するタイプのようだ。
「特に欲しいカードはありませんね……」
「でしょうね」
 彼のデッキはアンデット。アンデットには闇属性が多いのだが、私の所持する闇属性モンスターは全てデッキの中にある。と言っても、デッキにアンデット族モンスターがあるかどうかは分からない。
「デッキを拝見しますね」
「どうぞ」
 レンがデッキを見始めるころ、私は160枚全てを見終わっていた。レンを待つ間、抜き出したカードを見ながら、必要と不要を分けていくことにした。適当に8枚に絞った時、彼も丁度デッキを見終わったところだった。
「カオススタン……ですね。いわゆる」
 レンが、私のデッキを眺めながらそう言った。
「スタンダードではないけどね」
「はは……」
 40枚の束の中から、レンは1枚のカードを抜き出した。
「これ……ですかね。欲しいのは」
 レンが示したのは、《魂を削る死霊》だった。
「他にも《魔導戦士 ブレイカー》とか、候補はあったんですが、さすがにダメでしょう?」
「まあね」
 そう言って、私は抜き出した8枚のカードをレンに差し出した。
「光と闇……ですね。デッキ外でしたら、別に構いませんよ」
「それじゃあ……」

「成立ですね」「成立ね」



「問題は、これからどう動くかね」
 ぱぱっとデッキを組み替え、ディスクにはめなおしてから、いつかのモノローグを繰り返すように私は言った。
「いや、考えてなかったんですか」
「目先の目標は、とりあえず誰かと組むことだったから」
「そう……ですか」
 ここで、私はさっきから気になっていたことを口にしてみた。
「ていうかさ」
「はい?」
「さっきから胸元ばっか見てるわね。そんなにおっきい?」
 レンはふっ、と笑って、
「素晴らしい観察力です。よく気付きましたね」
「そんなことで私を試さないでくれる?」
「ちなみに……」
 レンはワンテンポ置いて続けた。
「見てたのは鎖骨ですよ」
「ロリコンだもんね」
「もういいです」

 閑話休題。

「こんなのはどうかしら」
「何ですか?」
 私はレンへ意向を伝え、レンも頷いた。
「そうですね。それで良いと思います」
「それじゃ、行くわよ」
 私は画面を確認しつつ、体を起こして歩き出した。無言でレンも付いてきた。


 行動開始――



この作品はフィクションであり、実際の人物、団体、建造物等とは一切関係有りません。


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