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「デュエル!」 「私のターン、ドロー……」 ターン進行は私から時計回り。6枚のカードを見据え、まず1枚掴んで発動する。 「《手札抹殺》」 全員が手札を入れ替えていく。私が《手札抹殺》を発動する場合、その用途は様々だが、今回は「墓地肥やし」のために使う。墓地を覗くのは面倒だし、相手のデッキ把握する必要は無い。 「墓地の《魔導戦士 ブレイカー》と《異次元の女戦士》を除外し、《混沌帝龍 −終焉の使者−》を特殊召喚」 まず、ひとり。 第12話 混沌―Difference―全員が驚愕している。当然だろう。今効果を使えば、そのダメージは10500。余裕で致死量だ。 「1000ライフ払い、効果を発動するわ。対象は――」 全員が息を呑む。まず邪魔な者。私が一番良く知る、強敵。 レイカ:8000→7000 「――ユウカ」 グオォォォォォォ、という長く強い咆哮。そして閃光。凄まじい爆発が起こり、視覚と聴覚が回復した時には、巨大な龍は完全に消滅していた。お互いに何も持っていない、完全なる破壊だった。 「くぅ……」 ユウカ:8000→0 ユウカはその場にしゃがみ込む。その顔には悲嘆と安堵が入り混じったような、複雑な表情を浮かべている。 「ターン終了」 長いような、短いターンが終わる。いきなりの出来事に、まだ驚きを隠せていない者もいる。ともあれ、あと6人だ。 「俺のターン。カードを1枚セットしてターンエンド」 アキラさんは1枚セット。その後ユウリはドローゴー、ナナさんはモンスターセット、タクヤとレンは魔法・罠をセットし、再び私のターンが回ってくる。
「私のターン、ドロー」 ドローし、スタンバイフェイズ。ここで、発動宣言。 「《強欲な贈り物》を発動する。対象はレイカちゃん」 アキラさんだ。《強欲な贈り物》。相手にドローを与える、デメリットでしかないカード。私とアキラさん以外の全員が驚き、唖然としている。しかし、その中でレンだけは、唖然と言うよりは素直に驚嘆の表情を浮かべていた。 「奇遇ですね。僕も《強欲な贈り物》を発動します。対象はレイカさん」 「あら、ありがとう」 私はわざとらしく驚きながらカードを4枚引く。それでいい。 「ちょっと、あんた達。何やってるわけ?」 これはナナさんだ。まあ、部外者にしてみれば当然か。 「さあ、何でしょうね」 「何だろうな」 レンとアキラさんは、適当にはぐらかす。私は何も気付いていないかのように、プレイを続けることにした。ナナさんは腑に落ちない、といった表情だったが、これ以上情報は引き出せないと諦めたようだ。タクヤとユウリは、怪訝そうな表情を浮かべてこそいるものの、特に介入してくる様子はない。 「《強欲な壺》を発動するわ」 まずは2枚ドロー。これで手札は6枚に戻る。さて、どう攻めてくれようか。 「まずは《大嵐》を発動するわ。チェーンは?」 全員が首を横に振った。同時に《大嵐》のエフェクトが発動し、派手にカードが吹き飛んだ。 「墓地の《混沌帝龍 −終焉の使者−》と《ブレイドナイト》を除外して《カオス・ソルジャー −開闢の使者》を特殊召喚」 「まあなんと言うか、凄いわね」 ナナさんは素直に驚いた。いや、まだ終わりじゃない。 「2000ライフポイント支払い、《次元融合》を発動」 もう既に、全員の顔は驚きよりは呆れが勝っている。私は除外している4体を全てフィールドに置いた。 レイカ:7000→5000 「バトルフェイズ、《魔導戦士 ブレイカー》『以外』で攻撃」 私は、タクヤを指差しながら言った。 「オレかよ……」 タクヤはただ、苦い表情のまま4体のモンスターを見つめている。総攻撃によって、ライフはゼロになった。 タクヤ:8000→0 あと、5人。 「《魔導戦士 ブレイカー》でユウリに攻撃」 ユウリ:8000→6400 「ぐ……」 「ターン終了」 「俺のターン、ドロー」 場は圧倒的に私が有利だ。5体のモンスター。それも攻撃力3000が2体。ただ気を付けなければならないのが、《サンダー・ボルト》を始めとする全体除去だ。このゲームには禁止・制限が無いため、飛んでくる可能性は大いにある。 「カードを1枚セットしてターンエンド」 「あたしのターン、ドロー。モンスターをセットしてターン終了」 大きな動きはない。唯一、気を付けなければならないのが次のナナさんだ。何が飛んでくるのか分かったものではない。見えている恐怖よりも、見えない危険の方がよっぽど怖い。 「ドロー」 引いたカードを見て、ナナさんはすぐさまそれを発動した。見えない危険、か。 「《サンダー・ボルト》」 来た。《サンダー・ボルト》。初期から存在するパワーカードの一つで、効果は単純明快。「相手のモンスターを全て破壊する」。それだけだ。後に登場した《ブラック・ホール》でさえ禁止されているというのに、この威力ははっきり言って無茶苦茶だ。この状況でこれが通ると、私には莫大なディス・アドバンテージが発生する。通れば、だが。 「ライフを半分払い《神の宣告》。残念だったな」 「なるほどね……。面倒だわ」 アキラ:8000→4000 何がなるほどなのか。まあ、どうでもいい。恐らく次の私のターン、勝負は決まる。 「ターンエンド」 「僕のターン、ドロー。《闇の指名者》を発動します。対象はレイカさん」 《闇の指名者》か。普通使う分にはデメリットしかない魔法カード。タッグ戦においてはパートナーサポートに使えるが、バトルロイヤルでは普通と同じくデメリットばかりだ。だが、このゲームは既に普通ではない。 「指名は《雷帝ザボルグ》。ありますか?」 「ちょっと待ってね」 待っても何もない。あるに決まっている。私は数秒で探し当て、手札に入れた。 「ターン終了です」
「私のターン、ドロー」 手札は5枚。ただ、こんなに使う必要はない。邪魔なのは、ナナさんの場にあるモンスター1体だけだ。 「《魔導戦士 ブレイカー》を生け贄に《雷帝ザボルグ》を召喚。対象はナナさんの場のモンスター」 「ふん。チェックメイトってとこね」 ナナさんは全てを悟ったようにモンスターを墓地に送った。 「バトルフェイズ。3体の上級モンスターでナナさんに攻撃します」 ダメージは8400ポイント。ナナさんには手札も場もない。私の……勝ちだ。 ナナ:8000→0 ナナさんのライフがゼロになるとともに、他の3人――レンとユウリとアキラさん――が、全員同時に宣言した。 「「「 この作品はフィクションであり、実際の人物、団体、建造物等とは一切関係有りません。 |