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ゲームの2日後、私の家に1つの荷包みが届いた。送り主はコナミ株式会社。中には手紙が入っていて、かのゲームの賞品らしい。そういえば、勝者には豪華賞品とか言っていたか。賞品は、大量のカードだった。いやに重いのも頷ける。小さいダンボールではあるが、それが2つある。その中にカードが隙間無く詰め込まれていた。 手紙を詳しく読むと、それらはゲームに使用されたカードであるという。道理で《混沌帝龍 −終焉の使者−》が沢山あるわけだ。全てを見たわけではないが、大体全種類揃っているのではないだろうか。嬉しくないわけではないが、処理に困る。 家に置いておくのは流石に場所を取るので、私はカードショップ「THIEVES」に寄付することにした。私はそこまでカードに貪欲ではないし、それに損をするわけでもない。私が事情を話すと、アキラさんは快く貰い受けてくれた。その事を父に教えると、父は苦笑しつつ「らしくないな」なんて言っていた。 あのニュースについてだが、あれは簡単なトリックだった。実はあのニュースは、コナミがでっち上げた映像を汐崎家、中里家、須藤家、佐藤家のテレビに割り込んで放送していただけのことだった。ユウリとタクヤとアキラさんは、すぐさま連行されただろうから他人と話す機会など無いため、でっち上げでも問題は無い。私でも、あまり他人と積極的に話す性格ではないからやはり問題は無い。色々と考えた策だったのだろう。 そうまでしてコナミは何がしたかったのかと言うと、やはり商業上の目的があったと言う。詳しくは企業秘密だと言うが、まあその内公開される日が来るのだろう。そうなったら、私は父から分け前を貰おうかと算段している。 イツキについてだが、彼もまたこの計画に加担している身だったと言う。彼から聞いた話を要約すると、「『金をやるから手伝え』と汐崎聡に言われた」、ということになる。法律上危ないような気もするが、まあどうでもいい。 さて、父はあのゲームの最後に、私の時間を返すとかなんとか言っていた。詩的な表現ではあるが、つまり「見返りはあるよ」と言いたいのだろう。それに関係してか何か知らないが、私は今ある場所にいる。あれがあった1週間後の土曜日、父は私をここに連れてきた。 「どうした?」 「なんでもない」 父に心配されるほど、どうやら考え事をしていたらしい。ちなみに今いるのは私と父だけ。イツキとユウカはお留守番だ。イツキが何かしないか非常に心配だが、まあ何かあったときは永久追放するだけだ。 父が扉を開けた。その先には、広大な土地が広がっている。スクランブル・ゲーム。かのゲームが行われた、その場所だ。 最終話 エピローグ―Epilogue―「広いのね」 「ああ。映像とはいえサイズは1/1だからな。埋立地だ」 広大な、と言うだけでは足りない、広すぎる土地だ。しかも、何も遮蔽物が無いものだから、より広く感じてしまう。下はコンクリート。ただ白い平地が、延々と続いていた。 「――で。こんな所に連れて来てどうするつもり?」 「そう焦るなよ。まあ、待ってろ」 と言って、父は扉の中に戻った。私は何のことかと扉の中を覗くと、父は何やら機械を操作していた。終わると、今度は私に向けて、「後ろを見てみろ」とでも言うように、顎で私の後ろを示した。私は振り返ると、その光景に絶句した。 「すごい……」 「だろ? 今度は都会バージョンだぞ」 そこには、東京の都心を丸ごと切り取ってきたような景色が広がっていた。今まで何もなかった平地には、ビルが建ち、車が走り、そして人々が歩いていた。これが、フィールド魔法のプログラムを利用したというアレか。映像だと言うことを示すように、その切れ目、つまり私達の手前で、車や人は消えていく。 「他にも色々ある。この前のは孤島だったが、無人の荒野とか、あとは砂漠とか」 「それをして、どうするというの?」 「バーチャルリアリティを知ってるだろ?」 仮想現実。それがどうかしたのか。 「バーチャルリアリティ、っていうのは、人間の脳や感覚を刺激して行うから、実際に何かをしているわけじゃない。でも、実際にその人が動いて、それで仮想現実を楽しめたら、面白いとは思わないか?」 「限りなくリアルに近いバーチャル?」 「そうだ。それが出来たなら、それは商売になる。遊園地みたいなものだよ」 なるほど。そういう目的か。なら、あのテストプレイ云々というのは……? 「あれは1つの案に過ぎない。面白いとは思ったが、いささか簡単すぎたみたいだな。バランスを取るのは難しい。ちなみに、あのデュエルディスクは一種の媒体だ。あれからの刺激を受けて、プレイヤーは映像を触っている『ように』感じる」 「へぇ。でも、高くついたんじゃない? 元は取れるの?」 「全部が全部そうじゃない。実際に媒体として働いたのは、お前達部外者のディスクだけだよ。削れるところは削らないとな」 「ふうん……。で、これが見返り? 企業秘密を知っても嬉しくも何とも無いのだけれど」 「ま、これがメインではあるが、ちゃんとお前が喜びそうなのも用意してある。付いて来い」 言われたとおりに私は付いて行った。扉を閉めるとき、既にそこはただの平地に戻っていた。 着いたのは、1つの部屋だった。部屋の中には大きなガラス窓があり、その向こうはまた広い部屋になっていた。 「ここはカードの映像をチェックするところだ。デュエルディスクにはめてみて、そのカードの立体映像がどうなるのかを確かめるんだ。ガラスの向こうの部屋に、立体映像が映し出される」 「ふうん。それで?」 「まあ、見てろ」 父は、やはり何やら操作している。暫くすると、ガラスの向こうに立体映像が表示された。端的に言うなら、ドラゴン。それもかなり大きい。東洋に見られるようなものではなく、よくファンタジーで使われるような、2つの足で立つタイプ。ティラノサウルスに翼が生えた感じだ。色は眩いばかりの純白。そして所々には金色の模様が描かれていた。私には、見覚えがある。 「これって……」 「その通り。《無限龍−その力、未知数−》。そのレプリカだよ」 幻神龍5体は、真星学園が保管しており、私の切り札だった無限龍も手元には無かった。なるほど、見返りと言うのは、コレか。嬉しい嬉しくないで言うと、物凄く嬉しい。事件に巻き込まれるきっかけになったとはいえ、ずっと闘ってきた仲間だ。それに、これが無ければイツキに出会うことも無かっただろう。 「ほら」 父は機械にセットしていたレプリカを、私に放った。 「っと。……ありがとう」 「らしくないな。お前が俺に『ありがとう』なんて。もっとお前らしくしろよ」 ふっ……。と私は笑ってから、言い直した。 「このぐらいしてくれて当然よね。バカ親父」 言った私の声は、少し震えていた。 この作品はフィクションであり、実際の人物、団体、建造物等とは一切関係有りません。 ――あとがき―― お久しぶりです。執筆者の南瓜です。前回に引き続いてあとがきを書きたいと思います。 この物語は、前回執筆途中から考えていて、前回が終わったのと同時に執筆を開始しました。話は前回の1ヶ月後の設定です。前回より進歩した点で言うと、話数が前回よりちょっとだけ増えました。逆に悪くなった点で言うと、デュエルがかなり雑でした。これは話の展開上仕方の無いことですが、まあ少し急ぎすぎた感じもありました。 実はこの話を書いている最中にも、次回の構想を練っています。次はより長い話を、そしてちゃんとデュエルをしたいと思います。次回は主人公はレイカちゃんではありませんが、関連した作品にはしたいと思っています。一応この話の中にも少しだけ、次回作への伏線が張られていたりするんですがね……。 次回はデュエルメインで、そしてオリカ満載で行きます。これは変えません。ただ、長編になるかは保障できません。一応目標は30話ですね。これ以上行ければいいな、と。 さて、執筆する過程で色々とお世話になった方々、そしてサイトの数々へ感謝を申し上げます。ありがとう御座いました。 それではまた次回のあとがきでお会いしましょう。 |