運命の恋・・・・・・なんてあるわけない  〜美夜様に捧ぐ〜









ねえ、運命って信じる?

初めて出逢ったその日に、恋に堕ちて。
その人のことしか、考えられない。
私の全てが、彼になるの。



そんなの、信じない。



私が信じるのは、私が愛するのは、腕の中にいるこの子だけよ。







アパートのシンクで、の身体を洗ってた。
まだ生後2ヶ月のは、首も据わっていない。
あぶあぶ言うこの子は、あまり泣かなくて手が掛からない。

「ほらー、気持ちいいね。泡流すよー」

そう言いながら、湯沸かし器のお湯をゆっくりと掛けていくと、とても気持ちよさそうに目を細めた。
それを見て、私も幸せな気持ちになる。

男なんていらない。
浮気をする生き物なんて、この世から消えてなくなればいい。

も男の子だけど、絶対一人の女だけを愛する男に育てるんだ。

密かに心で決意をした私が、に仕上げの湯浴みをさせようと、シンクに溜めたお湯に浸からそうとした、その時。


なんで。どうして。
なんでシンクの底が見えないの。張っているお湯が、どうして渦巻くの。

「ひゃ・・・・・・!?」

叫び声が上がりそうになるけど、私はあばあば言うから決して手を離さない。
そしてがお湯の渦に巻き込まれ・・・・・・自然と私も吸い込まれていく・・・・・・!?

「うひゃああああああ!!」

「あばー」

私の絶叫と、の呑気な声が、木霊した・・・・・・ような気がした。



気を失っていたらしい。
目が覚めたら、どこの撮影スタジオ? と思わせるような。はたまた、どこの外国に拉致された?と思わせるような。

天蓋付きのベッドに、寝かされていた。

しばらくぼんやりと目線を彷徨わせていたんだけど、はっと気がつく。
は!?

「!!」

叫んで飛び起きると、すぐ傍から、聞きなれた気の抜けた声が聞こえた。

「あぶー」

ぐるんとそちらを見ると、を抱いた人が、びくんと身体を震わせた。

私の寝かされていたベッドのすぐ隣で、椅子に腰掛け、を抱いたその人は。
何ていうか・・・・・・カーキ色? そんな色の軍服みたいな時代錯誤の衣装に身を包んだ、割といい顔の男だった。

「び、びっくりした。目が覚めた? どう、具合悪くない?」

多少引き攣った顔をしていたけど、私を見つめながらにこりと浮かべた笑顔が爽やかになる。
・・・・・・胡散臭い。

私の中で、危険信号がピコーンピコーンと鳴り始める。
こういう男には、近寄らない方がいい。

私は無言で手を伸ばし、彼からを奪うように取り返した。
全く、いくらなんでも知らない人に抱かれた時くらいは泣けばいいのに。
ちっとも泣かないで、むしろご機嫌な様子だ。

「あばー、だっ!」

・・・・・・。

思わず無言になる私の傍に、ふいに気配を感じ。はっと顔を上げると、目の前にいたはずの男がベッドにずうずうしくも腰掛けた。
そして私を覗き込み、僅かに息を呑んだような顔をしている。

「・・・・・・誰? てか、ここ、どこ」

きつい口調になったのを自覚しながらも問いかけると、男は表情をあの胡散臭い笑みに変え、佇まいを直した。

「俺は、コンラート。ここは、眞魔国」

明快に答えてくれるようだけど、さっぱり意味が分からない。コンラート? 外人? だよね、髪の毛も瞳も茶色いし。
てか、瞳の色、へん。何か光ってる。・・・・・・病気?

私が彼を凝視しているのが気に掛かるのか、コンラートとやらは私とを見比べた。

「えーっと、順番に説明したいんだけど、それは後でギュンターが詳しく話をしてくれるだろうから。俺からは、端的に」

そう言った彼の説明は、


はこの世界の未来の王様ならしい。
王は王でも、魔王ならしい。

で、この世界にが召還されたんだけど、彼も私も離れるわけには行かない状況だから・・・・・・
そりゃそうよ、はまだ、私のおっぱいを飲んで育ってるのよ。殺す気か。

そんな訳で、私も一緒に召還されたらしい。

「・・・・・・」

「どう、理解出来たかな? すまない、俺、説明するの、あまり得意じゃなくて」

そういう問題じゃないと思う。
ちょっと病院に行った方がいいと思う。

そう思ったら、コンラートとやらは、私を真剣な眼差しで見つめ、とんでもないことを言いやがった。

「ねえ、運命って信じる?」

バカだ。絶対こいつバカだ。気の毒だけど、残念なくらいおバカだ。

私が無言を貫いていると、コンラートとやらはふいに手を伸ばし、の頬をつんつんと突っついた。

「魔王の護衛である俺が、魔王のご母堂に恋をした・・・・・・ら、禁断なのかな・・・・・・」

知るかっ!

ていうか、認めない。私の可愛いが魔王? よりによって、悪魔の王者?

一番は素晴らしいことだけど、君臨するって響きもいいけど。
でも何で寄りによって魔王なのよ。
その妄想、絶対ヘン。

と、私はこの時、コンラートとやらの妄想だとばかり思っていたんだけど。

会う人会う人、みんなを崇め奉り、次代の魔王だと言い放つ。

そしてこの世界は、地球じゃないと知らされていく。




結局地球へは帰して貰えないまま、一年が過ぎた。

の傍には、常にコンラートとやらがいて、護衛と言っていたのは本当らしい。
そして私は当たり前だけど、から離れる訳にはいかないから、必然的にコンラートとやらと一緒に過ごす時間が多い。

そしてやつは、ことあるごとに「運命」という言葉を振りかざす。

「運命だと、思ったんだ」

「きみを見た瞬間、運命を感じた」

・・・・・あほか。あんたはベートーベンの信奉者かっての。


「俺を見て?」

「少しでもいいから、俺のことを知って欲しいんだ」

「好きだ。最初に出会ったその日から」


そんなことを言われても、絶対私は応えない。
男なんて、浮気をする生き物だ。だからもう、絶対男は信じない。

だから、私は言ってやった。

「が私よりもあんたに懐いたら、少しは信じてあげる」

母親よりも他人に息子が懐くわけがない。

それが分かっていての、意地悪だった。
が稀に泣いたりして、私に手を伸ばしたら、こいつももう諦めてくれるだろう。

そう心の中でほくそ笑んでいたら。

コンラートとやらは、僅かに目を見開き、そして嬉しそうに笑いやがった。

「そう。それで、俺を信じてくれるの?」

「を魔王だと信じてるあんたが、を裏切るわけないから。それがに伝わっているんなら、あんたに一番懐くでしょ」

もっともらしいことを言って、私が唇の端を上げると、コンラートとやらは「なるほど」と呟き、

「陛下、こちらにおいで」

そう部屋の隅で一人遊びをしていたに手を伸ばす。
陛下と呼ばれ、振り返った。その呼び名に、慣らされてしまったようだ。しまった、私の知らない隙に。

ようやく覚えたよちよち歩きで、コンラートとやらの方に歩み寄る。
彼を抱きしめて、コンラートは嬉しそうに頬を緩めた。

「よく出来ました。さあ、陛下。俺を呼んで?」

俺を・・・・・・呼んで?

まだ、満足に喋れないこの子に?


ぽかんとしている私の耳に、信じがたい声が聞こえた。




「あー・・・・・・だ・・・・・・ぱぁぱ」




なにぃーーーーーーーーーー!!


パパ!? パパだと!?

私ですら、まだママと呼んでもらっていないのに!?

いつの間に仕込んだ! 何ていう言葉をしかも仕込んだんだコノヤロー!!


怒りで声が出ない私に、コンラートとやらは振り返り、にっこりと笑いやがった。

「陛下は、もう俺を父親と認識してくれているみたいだ。これで、きみも俺を信じてくれる?」


違うだろ! それって違うだろ、絶対違う!!

キーッ! と足をバンバン踏み鳴らした私を、を片手に抱いたコンラートとやらが抱き寄せて・・・・・・
耳元に、唇を寄せて囁いた。

「もう諦めて、俺のものになりなさい」

ぞくり、とした。


「ぎぃやぁああああ! やめて、囁くなんてずるい、この卑怯者!!」

すごい形相で喚く私に苦笑して、コンラート・・・・・・・は、を床に下ろし、「陛下はちょっと目を閉じていてね」と言いながら。
私に顔を寄せて、甘く切ない声を放った。

「愛してる。俺は絶対、浮気しないよ」




うそつき。

男なんて、浮気をする生き物でしょ。
は別よ。私が浮気しない男になるよう、育てるんだから。


だけど、一度裏切られたんだから、二度裏切られても同じかな。

もう一度、信じてやってもいいかな。


ほだされてしまったのが悔しいから、私はコンラートが唇を重ねてくる前に、私からキスしてやった。

主導権は、私が握る。それが絶対条件よ。



驚いたようなコンラートだったけど、素直に私にされるがままになっていて。
唇を離すと、「やっぱり運命ってあるんだな」ってアホなことをほざいてた。

だから、私は言ってやった。

「バカね。運命なんかじゃなく、ただあんたが私に一目惚れしただけでしょ」

その言葉に、コンラートは目を丸くして、そして苦笑を浮かべてた。



運命なんて信じない。


だけど、浮気をしない男がいるかもってことくらいは信じてもいいかも。




と私の異世界ライフが、この日からリスタートした。








END




 
 

A Miya state, a site and real coexistence were fatigue states for a long time!! And I let you have dream that there is a lot of it and thank you heartily.

I am difficult, and ... ... is difficult, but get along well from ♪ this which is a feeling of "Thank you" as much as possible of w me!                                                           From   sari