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俺の腕は、箱の鍵だと知っていた。
だけど、それが何だ。俺には、関係ない。
ただ、ユーリを護り、サクラの笑顔を守り・・・それだけを望んでいるのに。
ユーリを、見つけることが出来た。
彼は、大きな水の魔力を使い、そして大地のクレバスに落ちそうになって・・・
間一髪で、ヴォルフラムに救い上げられているところだった。
俺とヴォルフは、途中で偶然出会って、行動を共にしていた。
思いは同じ。ユーリを探し出す。
ユーリを引き上げようとしているヴォルフを手伝い、何とか彼を救い上げた。
「陛下、ユーリ・・・よくぞご無事で」
やっとの思いで俺がそう言うと、ヴォルフは深く溜息をつき、いつものようにユーリにへなちょこと責めている。
だけど、その場にいた者が皆知っていた。
どれほど、ヴォルフがユーリを心配していたかを。
ユーリは肩で息をしていたが、やがてその動きが微妙な震えに変わる。
俺はユーリを覗き込み、その背中をさすった。
「ユーリ、もう大丈夫だ、大丈夫だから・・・」
「・・・違う、コンラッド。ごめん、おれのせいで・・・」
俺は最初、ユーリが何を言っているのか分からなかった。
「絶対、死んでない。だから、探そう、コンラッド・・・桜さんは、絶対生きてる。
ごめんな、コンラッド・・・」
ああ、ユーリ。
あなたが自分を責める必要などないのに。
でも、優しいあなただから・・・俺の目を見ないで、自分を責め続けている。
サクラは、幸せ者だ。こんなにも、思われている。
今すぐ、伝えたいよ、サクラ。きみがこの国で、どれほど大きな存在になっているのかを。
そして、俺がどれだけきみを愛しているのかを。
抱き締めて、口付けて、艶やかな髪に顔を埋めて囁きたい。
たくさん、たくさん・・・
眞魔国から遠い、このカロリアの地で。
俺は一人、ただ星空を眺めた。
ユーリを見つけたよ、サクラ。
褒めてくれる?サクラ。あの、優しい笑顔で。
そして、俺に囁いて。
愛してるって。
まさか、きみにあんな場所で再会すると思わなかった。
まさか・・・・。
どうしてだ、サクラ。
なぜ、きみがそこに立っている?
表情を、驚きに包んだまま。俺を一瞬でも見ることがない。
見せてくれ、あの暖かい笑顔を・・・。伸ばした俺の手に、触れてくれ・・・。
天下一武道会に出ることになってしまった俺たちは、順調に勝ち進み。
最後の決勝まで上り詰めた。
知、速、技。
今まで、この知と速は俺を省いてくれた。
ユーリもヨザックも、俺に気遣って。
だから、この最後の武道会場での戦いは、絶対に勝ちたかった。
そして、サラレギーの見ている中、ヨザックは敗北し、俺は勝ち、最後ユーリの番になって。
ユーリとアーダルベルトのいる場所だけが、俺の目の前で競りあがっていく。
「ユーリ!!」
「ユーリくん!?」
俺の声に被せるように、響いたその懐かしい声。
俺は弾かれたように、その声の先を探した。
いつの間にか、一人で座っていたサラレギーの横に、双黒の女性が立っている。
口元に手を当て、遠目でも、眉を潜めて心配げに。
「サクラ!!」
俺は声の限り叫んだ。
その声が届いたのだろうか、サクラ。
だが、彼女は身動きをしなかった。
どうしてだ、サクラ。
俺を見て。
俺に気付いて・・・!
どうして、ユーリくんがあんな舞台の上にいるの。
あんな高い場所に・・・!
思わず叫んだ私の声と、被ってあの人の叫び声が聞こえる。
ああ、ここまで来たのね、コンラート・・・
そしてあの人の声は、私の名を呼んだ。
コンラート、あなたを見たい。
あなたのその瞳を、間近で感じたい。
だけど、私は下を向くことを許されない。
「サクラ、あの男に返事をしてはいけないよ。契約だからね。お楽しみは、これからだ」
そう、喉の奥で笑う男。
私は、この男と契約を結んだ。
私はどうなっても構わない。
だけど、あの人の命は守りたかった。
間違っているのかもしれない。
だけど、だけど・・・。
そして、その晩、私は契約を守るため・・・
あの人の。
コンラートの寝室に訪れた。