It is you and two people sometime 6
コンラートは何度も私に唇を寄せて、そしてたくさん、
「愛してる」
そう言ってくれた。
とても痛かったけれど、でもとても幸せな時間を過ごした私とコンラートは、静かな部屋で抱き合っていた。
「お願いだから、ニナ。家に戻るんだ。もう、これ以上は・・・」
言わせない。
それから先は、あなたの口から聞きたくない。
だって、私は覚悟を決めたのよ。
あなたの傍で、あなたの役に立ちたいの。
だから、私はあなたの唇を塞いで、そして・・・また涙が零れてしまった。
「何があっても、付いていくから。・・・だから、それ以上、言わないで・・・」
情けないけれど、それが精一杯の言葉。
コンラートは、私をぎゅっと抱き締めて、それからは何も言葉を発さなかった。
きっと、それが彼の優しさ。
だから、私はあなたの優しさに甘えたい。
もう、止めないで。
私は、今、幸せなのよ。
アルノルドへの道は、もう少し続いたけれど、コンラート・・・いえ。
隊長は、それから私に対してきつい言葉を言わなくなった。
急変した隊長の態度を不思議がる隊員に、私は微苦笑を浮かべて、
「諦めたんでしょう、私があまりにも役立たずだから」
と言っていたのだけれど。
でも、ヨザックにはそうはいかなかった。
夜、テントの中に彼が来て、そして私の肩を掴んで。
真剣な、ヨザックの表情。久し振りに見た。
「ニナ、コンラッドと・・・隊長と思いが通じたなら、戻れ。
今なら、間に合うから。本当に危険なんだ。オレも隊長も、お前をどこまで守ってやれるか分からない」
ヨザックの言葉に、私は思わず笑ってしまった。
ごめんね、ヨザック。
でもね。
「私は、守ってもらうつもりなんかないわ。そのために、魔術も剣術も、頑張ってきたのよ。
自分の身を守れないのなら、ただ死ぬだけ。それだけよ」
冷たい言葉だったかもしれない。
でも、そういう時代だから。
それに、私は守ってもらうために、ここまで付いて来たんじゃない。
コンラート・・・彼の手助けをしたいから。
だから、私は周囲の反対を押し切ってまで、彼の傍にいたいと願った。
私は、ヨザックの瞳をじっと見つめた。
優しいのね、ヨザック。
私を案じてくれる気持ち、すごく伝わる。
ずっと、きっと私の気持ちを知っていて、コンラートと結ばれるのを願っていてくれたのね。
だけど、ごめんなさい。
私は彼の妻になるよりも、彼の傍で力になりたい。
強欲な私を、許してね。
そして私達は、決戦の地・・・・・
アルノルドへ到着した。
思っていたよりもずっと凄惨で、思っていたよりもずっと敗色が濃い、この地で。
私はどれだけのことが出来るのだろう。
数名同行していた衛生兵と共に、私は戦場を駆け回る。
癒しても手当てをしても、怪我人は減ることはない。
でも、あなたに心配掛けたくない。
ことあるごとに、私に気遣うコンラートに、私はきつい言葉を発してしまった。
「隊長は、ご自身のお仕事を全うされてください。私の仕事は、私が一番理解しています。
邪魔をされては、迷惑です」
そんなことを言うつもりなんか、無かったのに。
でも、切なそうな眼差しを私に向けて、そして人目も憚らず、鎧姿のあなたは・・・コンラートは。
私をきつく抱き締めた。
ああ、これだけで、充分よ。
ありがとう、コンラート。
最後まで、優しかったあなた。
あなたの力に、少しでも貢献できることを、誇りに思う。
だから・・・
私は全ての力を、この地獄のような戦地に捧げることを誓った。