It is you and two people sometime 8
結果、俺たちは勝った。
勝ったんだ、ニナ。
魔族と、人間の混血。この眞魔国で、堂々と生きていけるようになったよ。
そうしたら、きみを迎えにいくはずだったのに。
きみをもらいに、ロイエンタール卿に頭を下げて、母に祝宴を用意してもらって。
きっと、綺麗だったろうな。
何色のドレスだったら、きみの蜂蜜色の髪に合うだろう。
いや、髪に合わせなくても、きみの瞳の色でもいい。
・・・何色でも、きっと綺麗だったろう。
俺のために、着てくれるドレスを、見たかった。
高原で、全てが終わって眞魔国に戻った夜、俺はニナを。
骨になってしまったニナを抱いて、立ち尽くしていた。
もう、どうでもいい。
俺は、全ての感情を捨ててしまっていた。
そんな俺に、眞王廟から遣いが来た。
次代の魔王の魂を、運べと。
異世界に。
その魂は、・・・ジュリアのものだった。
この戦争で、俺はいくつ大切なものを失ってしまったのだろう。
ジュリアは、いつもニナと俺を案じてくれていた。
「言葉に出さなければ、分からないこともあるのよ?」
「ニナちゃんは、頑張ってるわ。さあ、誰のために頑張っているのかしらね?」
「私、意地悪だから。ニナちゃんが焼きもち妬く態度の空気が、好きなのよ」
可笑しそうに笑うジュリアの姿を、思い起こして。
球体になってしまった彼女を、地球へと運んだ。
命令だから。
仕方なく。
ニナ、きみはジュリアと俺の関係を妬いてくれた。
ジュリアは、それが好きでわざと意地悪をしたと言った。
俺も、きみに意地悪をしてしまった。
嬉しかったんだ。ジュリアとの仲を疑う、きみのその気持ちが。
俺を想い、嫉妬してくれるのを、心地よく思っていた。
だから、きっと罰を受けたんだな。
きみが今いるのは、眞魔国の空だろう。
遠い異世界の日差しの下で、俺はカフェで空を眺めていた。
雲ひとつ無い、澄んだ青空だった。
「・・・うっそぉ!?」
「ホントだってば!信じられなくてもいいよ、でも記憶にかすかにあるんだもん!」
「なになに?アルベルト?」
「違うなあ、ええと、アル・・・ノル・・・なんだっけなあ?」
俺はぎくりとして振り返った。
まだ年若い、ハイスクールくらいだろうか?
3人の少女が、賑やかにはしゃいでいる。
その中に・・・
紫の瞳の少女が、目を輝かせていた。
「好きな人がいたんだよねー。名前は覚えてないないんだけどさ、でも、目が印象的なんだよね。
ほら、こう王子様みたいにさ、キラキラ光っててね。
私ね、守られたくなかったんだよね。守りたかったんだよ。生きてて欲しくて・・・あれ?」
「やだ!ニナ、何で泣いてるの!!」
「あれあれ?変だな、ごめん、別に悲しくないのに・・・」
ジュリア、きみの目的が分かった。
だけど、彼女は「ニナ」じゃない。
分かってる。
でも・・・物語を、教えよう。
「ごめん、もう少し、その話を教えてもらってもいいかな?」
突然話しかけた俺に、少女達は驚いて・・・・ニナと呼ばれた少女は、俺の瞳を見て、固まった。
始めよう。
きっと、きみの思いを聴けるだろう。最後のきみの思いを。
そこから、俺はやっと歩き出せる。
俺とニナの繋がりは、永遠に途絶えることはない。
俺が一生に一度だけ愛した女性。
それを、彼女に伝えて、もし恋に落ちたら。
それこそ運命かもしれないな。
地球が、少しだけ好きになった。
ニナ、俺は生きている。生きていくよ。
これから先も、ずっときみへの想いと共に。
END