Ewige Wahrheit
一縷の此方 永久の彼方
一時の夢
カウントダウンの日々
確定した未来が決まっていた私達・・・
だからこそ、忘れない様に必死に思い出を紡いでいた
「煙草・・・止めてくれる?」
コンラートは済まなさそうに笑って、煙草を取ろうとした私にそう言った。
小さなテーブルに向き合って、コーヒーだけの朝食の時の事。
彼が私のアパートメントに泊まるのが常と言っていい程・・・それ程、私達の関係が強くなって愛しあっていた。
「ごめんなさい、煙が苦手なのね。」
今まで遠慮をしてくれていたんだ・・・気づかなかったな。
これからは彼が居ない時に・・・・
「、俺は煙草を吸うのを止めて欲しいんだ。・・・今後一切。」
そう言って私が手を離した煙草を取り、掴んでいる。
そっか、そうなのね。煙草を吸う女性は嫌いだったんだ・・・そうよね、あまりいい事では無いし。吸わなくても匂いが染み付いているもの。
嫌われたくない。だから・・・
「・・・うん、頑張ってみる。」
私の言葉に嬉しそうに微笑み、インスタントのコーヒーを美味しそうに飲みはじめた。ゆっくりと掴んでいた煙草をポケットに入れて。
あーあ・・・私の嗜好品だったのに。
そう、ヘビースモーカーと言っていい程の愛煙者。
そうなったのには理由がある。
煙草を吸っていると、寂しさが紛れるからだったの。心が平穏を保てると言った感じかな。
だって・・・
・・・・・・でも、もういいや。
ほっ――・・・と、溜息をつきコーヒーに目を落としていた私。ふと、視線を上げるとコンラートがじっと見ていた。
?
「どうしたの?・・・あ、まさか禁煙宣言に疑惑を?」
失敬な。
不貞腐れた顔をして、私はコンラートを見た。そしたら、彼・・・目を細めて顔を崩して笑った。
何で?
「違うよ。ごめんね・・・禁煙って辛いんだろう?俺も協力するから。」
だから頑張ろう?と。
ありがとう。
そうよねえ〜、食事の後は無償に吸いたくなるもの。これをどう乗り切るかだわ。
ああ、ニコレットを始めようかな?それとも禁煙パッチ?
駄目駄目!あれ、高いんだもん・・・私のぴーぴーのお給料ではピンチよ。ああ、叔母さん・・・給料少ないと嫌味を言っているんじゃないからね。
「口が淋しくてしょうがなくなるけど、飴を舐めれば大丈夫よ。・・・でも・・・」
私の困惑な言葉と顔にコンラートが、ん?
言ってごらん・・・と、待っているコンラート。私はこの言葉を出すのが恥ずかしくて躊躇したけど、観念してカミングアウト。
コーヒーがもう、冷めちゃったわ。
「禁煙した人って・・・太るの。吸えない分、何かを食べちゃって。私も類に漏れずそうなったらどうしよう。」
ぷっ!と、笑いを漏らした。でも、真顔・・・逆に嫌。はっきり笑ってくれたらいいのに。
本当にどうしようか・・・
後、1年ちょっとの期間限定のお付き合い。その間に私、ぽっちゃり系に大変身☆
やだ。
長身で細身のコンラートの横で歩く私は、小太りの丸々・・・・なんて、悲しいんだろう。
そんな事を思いながら飲んだコーヒーは、冷たくて不味く味がしない。
こんな時、煙草が吸いたくなる・・・ほんと。
「今、煙草が吸いたい?」
何故判るの?そんな顔をしてたかしら。
正解よ・・・と、視線で答えた。
そしたらコンラートが、私の手からコーヒーを取りそのまま手を握って来た。
「言ったろ?俺が協力するって。」
ええ・・・だからどうやって・・・
いぶかしむ私の手を自分の方へ引き寄せて、私は上半身がテーブルに前のめりになった。何をするのだろうか・・・そんな事を思っていたら、顔を包み込まれていた。
大きな手で・・長い指で・・・私を掴まえて。
「俺としてはが太っても一向に構わないんだ。でも、吸いたいもどかしさを紛らわせてあげたい。・・・・・口、淋しいくてしょうがなくなるんだろ?」
ええ・・・
言葉に出さない私の頷きに、コンラートは笑う。
「だからね?飴を舐める事をしなくていい様にしてあげる。」
近づく銀の星に見惚れながら、私は彼のなすがままに唇を奪われた。
呑み込まれて、唯、翻弄されるキス。淋しいとか、物足りないとか、そんな事を一切感じさせないぐらい甘く、激しい愛撫を。
絡み合い、溶け合い、交じり合う・・・熱も雫も。
「ふぁ・・ん・・・」
喘ぎを漏らし、呼吸を無心にしている私にコンラートの低く囁く声が。
「吸いたくなったら、こうして・・・ずっとキスをして忘れさせてあげる。」
口が淋しく無い様に、満たしてあげるから・・・飴なんていらないよ?もっと甘いのをあげる。
うん・・・コンラート。
でも、こんな淫らなキスを毎回?駄目よ・・・私、もたないわ。
だって、これで済む筈が無いもの。
ほらね?
昂ぶる欲に支配され、コンラートが私にこっちに来てと。誘う眼差しに囚われて・・・なすがままに。
椅子に座るコンラートの膝に跨り、熱いキスの続きを。それだけで終わらない事は承知。
「が今日、仕事が休みで良かった・・・」
ほんと・・・だってこんな事をしていたら遅刻だわ。あれだけ昨晩は激しく求め合ったのにね。
ま、いいっか。
だって気持ちがいいもの。何もね・・・考えられなくなるわ。
・・・愛しい・・・
俺の上で淫らに揺れて、舞う君。
煙草の煙など、どうってない。それどころか、からはそんな匂いはしないよ。
「ん・・・ん・・・」
唇を噛み締め、目じりに涙を溜めて・・・ああ、何て綺麗なんだ。
薫って来る、とても。
甘い熟れた果実のような香り、俺を惑わせるようなそんな香り。
肌を合わせている時はその香りを酷く感じる。
俺の・・・
「ちゃん、まだあの煙草を吸っているのか・・・」
の店の常連客の呟き。相席をしていた俺は意味深な言葉にぴくりと反応した。
年配の男が切なそうに、休憩をして煙草を吸っているを見ている。俺は我慢がならずに聞いた・・・聞かなければよかったと思った。
「ちゃんは元々、煙草は吸わなかったんだ。でも・・・亡くなった彼氏が吸っていてね?」
知っている・・・前に聞いた。
には付き合っている男がいたが、3年前に事故で他界したと言う事を。
「きっと同じ煙草を吸う事で、彼が居ない淋しさを紛らわしているのだろうね。」
・・・・・・・・・・・・・・・。
心に感じたのは嫉妬。死してもの心を離さない見た事が無い男への。
「・・・」
痙攣をして硬直をしているに、俺は獰猛にキスを。
ぴくっ――・・・と、跳ねる身体を強く抱き締めて、荒い息をしている唇を蹂躙して。
吸いたいと、淋しいと思う事などさせない。
だからもう、煙草は止めて?変わりに俺が一杯のキスをするから。
口が淋しくて飴を・・・・なら、俺を味わって。
「あ・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・」
潤む瞳は揺れて、紅潮した頬は艶かしく、あどけなく開かれた唇から零れる雫・・・・・
全てが愛しい。
俺の・・・・
俺の・・・・
居なくなる俺がこんな事を望む資格は無いのだけど・・・でも、今だけは独占をさせて。
「吸いたくなったら言って・・・聞いてる?」
聞こえているわ・・・でも、答えられないの。コンラートがまた私を抱くんだもの。
そうだ・・・買い置きの煙草を捨てなくちゃ。
激しい乱舞の後、ソファーで休んでいた私は起き上がり、引き出しを開けた。
あれ?
其処に在る筈の煙草1カートが無い。
「・・・・・・・・・・・・・。」
コンラートね。
呆れて笑えたっけ。
彼が居なくなっても、煙草はもう2度と吸う事は無いだろうと思った。
そう、2度と吸う事は無い。でも・・・こんな形でとは思わなかったわ。
別れが来る・・・・覚悟をしていたのに、それはあっさりと覆された。
だって、私は今・・・・あなたと此処にいるもの。あなたの世界・・・故郷に共に在る。
別れの時は、創まりの時になった
別離の時が来て、それを覚悟していたのに。
コンラートは私を強引に自分の世界に連れて来た。何度も謝る彼・・・・謝らないで?
私ね・・・嬉しかったの。
未知の世界で不安は山程あったけれど、でも・・・あなたの傍に居られる。それもずっとよ。
幸せよ。
ずっと・・・ずっと・・・・
でも、違った
「何を考えているの?」
「ん?ちょっとね。」
怪訝そうに横で寝ている私を見るコンラート。私の髪を撫ぜる彼の手にはお揃いの指輪。
結婚をした私達。お互い1年の時を離れていたけど、今こうして傍にいられる。
もう離れる事は無い・・・怯える事も無いと・・・
でも・・・
やっぱり変わらなかった
「え?!コンラートって100歳を越えているの?」
衝撃な事実。
弟のヴォルフラム君を紹介して貰った時に、彼が70歳を越えていると聞いて驚いた。
じゃあ、待って?
コンラートは何歳なの?と。
「、魔族は長寿なんだ。そうだな・・・・5年で見た目は1歳ぐらい歳を取るかな。」
人間100歳、魔族500歳?
剣と魔法の世界で、地球とは全く違う所と聞いていたけど・・・いやいや、私の国と酷似してる。
高齢社会!
馬鹿な事しか考えられず、ほけぇー!としていた私。いけないと、気をしっかり持ち気丈に振舞っていたが、この事は今でも心に突き刺さる。
今、幸福の中でも・・・
コンラートにおでこにキスをされ、うっとり目を閉じていた。
でも心は穏やかでは無かった。
私は今・・28歳。これから歳を取っていけば・・・
一人老いて、コンラートは変わらず。
私が58歳の高齢になっても、コンラートは30代前の容姿のまま。
私が88歳の米寿を迎えた、よぼよぼおばあちゃんになっても、コンラートは30代前半。
過酷な現実が在った。
もう二度と離れる事は無いと思っていたのに・・・でも、違うのだと。
「・・・」
コンラートに掠れた声で呼ばれて、涙が零れそうになる。
これ程、愛されて・・・これ程、求められて・・・これ程、恋われて・・・
これが・・・この幸福に終わりが在る事に恐怖を。心はまた、カウントダウンを数え始める。
僅かな時。
だからこうしてあなたを・・・コンラートを求める。求めてくれるあなたを忘れない様に。
「あ・・あ・・・あ・・・・ああ!」
思い出を身体に刻むの。何時か来る悲しみに耐える為に。
「コンラート・・もっと!もっと愛して・・・」
刹那の一瞬を一時を刻むの。だってまた・・・地球での時の様に不安に怯える毎日だもの。
一時の夢・・・
カウントダウンの日々・・・
確定している不幸な未来
コンラート・・・・
快楽の狭間で、が何に怯えているのか判る。嫌、今だけで無い・・・何時も。
それは時の流れだ。
魔族である俺と、人である・・・
ねぇ、?
君は俺に言ったよね。 死なないで と。
愛する者に置いていかれた悲しみを、孤独を知っている。
永久の不在に怯える君。
俺は君の死が訪れるまで共に在り、その時まで寄り添う。
離れる事は無いよ・・・君が悲しむ事は一切無いんだ。ねぇ・・・判って?
「・・・ずっと・・ずっと・・傍に・・」
「あああ!」
そう・・・は俺より早く逝くだろう。俺はその時、全てが終わり意味無き生の始まりだ。
でもいい。
君が居ないんだ。
それでいいんだよ・・・・・・
まだ先の事・・・だから、今はもうこの幸福に浸っていよう。
永遠など存在しない事は確かだけど、でも心は魂は君と在り続ける。
俺は自分自身の傲慢な思いに逆らえず、君を無理矢理に眞魔国に連れて来た。その罪は果てなく深い。
だからこそ贖罪に命をかける。
この俺の命と心は・・・君に・・・・
俺の全てを―――・・・
あたたかい
あたたかいわ・・・コンラート。あなたの熱を全てで感じる。
ねぇ・・・今ね、幸せよ。
確定している残酷な未来。だけども素敵な事も確定している。
あなたが私をずっと愛してくれると言う事よ。
それでいいの
一時の夢――
カウントダウンの日々――
確定した未来が決まっている私達・・・
だからこそ、忘れない様に必死に思い出を紡いでいた
「コンラート・・・私って童顔なのね。」
「・・・そうかな。」
そうよ、10年経つのに何も変わっていないもの。鏡に映る自分は30代後半には見えない。此処に来た時のままで、コンラートもそう。
若作りだ、私・・・
クス――――・・・気づいて無いの?
の時の流れに疑念を感じていたのは前から。そして今、嬉しい確信になった。10年経ったんだよ?一向に変わらないのはどうみても可笑しいだろう。
まぁ、いいか。後10年経てばも判る筈だ。その時まで狂おしい程、俺を求めて貰おうか。
思い出を必死に刻む君、愛を惜しみなく歌ってくれる。
終わりを覚悟している君・・・終わらない事を教えてあげるよ。
何も終わらないんだ・・・
二人は永遠に在る
地球でも眞魔国でも覚悟をしていた別離・・・・だが、もう終わりだ。
一縷の此方と違い、ここは永久の彼方
うつろい、迷い、悩み、泣いて、苦しんだ俺達は、これから永遠の安息を得る。
不変に君を・・・
「ずっと一緒だ・・・愛しているよ。」
「私も愛しているわ。」
離れず、別れず、恋燃ゆり、愛に生きて、夢を見ん・・・・それが二人の
永遠の真理
To dear Sari.
Congratulations 20000Hit!
Please pardon the presentation of poor sentences.Respect, friendship, and love are put in you.
It was from
Miya.
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