Without you

 

 

ずっと、見守ってきた。

 

 

たった5歳で、一人地球に降り立ち、憧れていた「普通の女の子」として生活を始めたレーリア。

 

 

嬉しいときも、悲しいときも。

 

いつも、傍にいたいと思ってた。

 

 

きみは、名前を「彩花」と変えて、仮のご両親に愛されて育った。

 

アステリアの記憶をなくしてしまっていても、きみの面影は、変わりはしない。

 

魔力を失っても、溌剌とした笑顔はあの頃のままだった。

 

 

彩花が選んで就職した会社へ、潜り込むことになった日。

 

俺は密かに、誰もいない彩花の部屋にいた。

 

 

ある歌手のアルバムを手にし、俺の仮の名を決めた。

 

 

安直だったか。まあ、いい。

 

何より大切なのは、彩花が俺を受け入れてくれるかどうかだから。

 

 

ゆっくりと・・・だが、時間がもう、あまりない。

 

 

俺は、きみを護りに来たんだよ、彩花。

 

レーリアとしてのきみも、彩花としてのきみも。

 

どちらのきみも、護りたい。

 

 

次の日、俺を見て、驚いた顔をしていた彩花に、俺は限りなくさりげないように、挨拶をした。

 

 

「おはよう、藤森さん」

 

 

抱きしめたかった。

 

だが、許されないことだと分かっている。

 

それに、彩花は弱度の男性恐怖症なのも知っている。

 

怯えさせたくない。

 

だから、自然に、柔らかい笑みになるように。

 

 

 

 

きみを失ったら、俺はもう生きてはいけない。

 

だから、全力できみを護る。

 

 

 

幼い日に、きみと交わした約束を守るためだけじゃない。

 

きみが記憶を取り戻したら、伝えたい。

 

 

「あなたに、護ってもらいたいの」

 

そう言ったレーリアの言葉が、今の俺を支えているんだ。

 

 

 

俺と彩花の地球での運命は、その日からゆっくりと動き出した。

 

 

 

 

Clap novel Menu         Main menu