弟妹
母上のお腹が大きくなって、そしてやがて生まれた、オレの妹。
オレの血筋は、男ばっか生まれる家系らしいから、妹が生まれたのは奇跡らしい。
でもそんなことはどうでもいい。
妹か・・・可愛がってやろう。
剣を持たせるのは、何歳からでいいのかな?
そう父上に聞いたら、頭をはたかれた。何でだよう!
妹は、元気にすくすくと大きく育っていった。
「祝福の女神」とか言われてるけど、オレには関係ない。だってレーリアは、たった一人の妹だから。
可愛い妹。
可愛いのに。時折無性に妹と話すと、泣きたくなる。
そもそも弟からして、可愛くない。
すかした顔をして、いつも理屈ばっかこねている。
皇帝陛下の息子だからって、ちやほやされるのが好きじゃないオレは、城のワルガキ集めて、
いっつも探検とか、戦争ごっことか。
そんなことをして遊んでばかりいた。
そしたら、言いやがった。この可愛くない弟が。
「だから兄上は、いつまでたっても脳みそが発達しないんですよ」
・・・言うかこの8歳児!
何だよお前はいっつも本ばかり読んでいて。それでいて、しっかりと剣も使えてさ。
生意気すぎる。
「ぼくは将来、レーリアを全面補佐するつもりですから。兄上にはその筋肉を存分に使っていただき、
ぼくはそのほかを担当しますから、ご心配なく」
バカにされているような気がするのは、オレだけか?
くそー!むかついた!
そうだ。
こういう気分のときは、特訓だ!稽古をつけるに限る。
体を動かせば、うさも晴らせるってもんだ。
「ラディ!ラナディート!稽古をつけてやるぞ!!男は強くなきゃダメなんだからな!!」
オレの手下を呼びつけると、ラディは小さな身体全身で怯え、もう目を潤ませてやがる。
全くいじめ甲斐のあるやつだ。
「おら!剣を持て!刃を潰してあるんだから、しっかりと掛かって来いよ!」
ラディはもう涙を零しながらも逃げられないと悟ったか、オレにちゃんと掛かってきた。
声は情けないけどな。
「ふえーーーん!」
だがまあいい。
よし。
掛かってきたか。
大義名分が出来たぞ。反撃開始だー!!
そしてそのすぐ後。
「大きい兄さま、ちょっといいかしら?」
ああ、この冷静極まりない、だが鈴を鳴らすような声。
オレはせっかく気分よく城を歩いていたというのに。
びくりと体を震わせた。
恐る恐る振り返ると、憤然としたレーリアだ。
その背中に隠れるように、ラディがいやがる。
・・・チクったな。
そしてその後、オレは友達をいじめられて怒った妹と、そしてオレのその姿に、嫌味な毒を吐く弟に責められた。
全く、全く!!
兄なんて、本当につまらん!
あーあ、もっと素直で可愛い兄弟が欲しかったなあ・・・。
考えてみりゃ、ラディが一番扱いやすい。
そう気付いたオレは、その後レーリアがいなくなってしまってからも、ラディを集中攻撃・・・じゃない。
集中特訓させ続けた。
そのお陰で、ラディの剣の腕はいまや、アステリア全土で3本の指に入るといわれている。
どうだ!感謝しろ、レーリア!!
だけど肝心のレーリアが、過去の記憶を無くしているときた。
・・・何だか上手くいかないなあ・・・。
「だからあなたは、筋肉バカだというんです」
また、弟に言われてしまった。
あーあ・・・・・・。