吉田くんの秘密

 

 

 

まるでメンズファッション誌から飛び出したような、そんな彼。

 

切れ長の目元は涼やかで、無表情でいるとすごく冷たそうに感じるけど。

 

でも、私を見つめてくれるその暖かい微笑みは、温度差が激しくてどきどきしてしまう。

 

 

 

そんな吉田くんと、毎日営業に回っては、昼食はファミレスでのランチタイム。

 

大抵わたしは、お得な日替わりランチ。

 

そして吉田くんは、ハンバーグとかオムライスとか。

何だかお子様ランチみたいなのが好きみたい。

 

ドリンクは、いつも決まってオレンジジュース。

 

 

でもね、食べ終わっても、いつまでもメニューを見ている吉田くんに、

わたしはこの日、ずっと思っていたことを聞いてみた。

 

 

「もしかして、足りないの?」

 

 

声を掛けたわたしに、びくりとし(何もそこまで驚かなくても・・・)、

吉田くんは照れたようにメニューを元へ戻した。

 

 

「いや、お腹は一杯なんだけど・・・」

 

 

だけど、名残惜しそうにメニューを見てる。

 

そして、隣の席のカップルの女性に視線を移した。

 

そこから、眼差しが離れない。

 

きっと吉田くんのことが好きな女の子だったら、怒り狂うシュチュエーションだろう。

 

でも、わたし、分かってしまった。

 

だって、目線は女の子じゃなくて、彼女が食べているケーキに注がれているんだもの。

 

 

可笑しくなって、わたしはメニューを開いて、ミニチョコレートパフェを指差した。

 

 

「吉田くん、わたし、これ追加したいの。でも一人で食べるの、何だから。

よかったら、何か頼まない?」

 

 

わたしがそう言った後の、吉田くんの嬉しそうな顔ったら。

 

思わず、噴出しそうになってしまった。

 

 

その後、わたしの前には、ミニチョコパフェが。

吉田くんの前には、プリン・ア・ラ・モードが。

 

 

二人揃って、デザートタイム。

 

実はわたし、あんまり甘いの、得意じゃないんだけど。

 

でも、吉田くんが、幸せそうに食べているから。

 

たまには、付き合ってあげようかな。

 

 

 

女子社員たちから、人気の的の吉田くん。

 

そんな彼の意外な好みは、わたしだけの秘密にしておこう。

 

 

 

 

 

 

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