欲しがっていたのは 1
眞魔国に強制スタツアされてから、早くも1ヶ月。
でも、この世界はとても心地いい。皆優しいし、魂を包み込んでくれるようなコンラートの愛情も、ちょっと恥ずかしいけど嬉しい。
そう、コンラート。
付き合って1ヶ月にもなるのに、彼はキス以上を求めてこない。
桜としたら、別に求められたら拒否するつもりはないのだが、求められなければ自分からどうすることも出来ない。
そんなある日。
地球で言えば、真夏のような暑い夜だった。
桜は自室に変えると、すぐに洋服を着替えた。町で買った服をアレンジして、タンクトップとショートパンツを作ったのだ。
でも、それを着て城内をウロウロするとギュンターあたりに怒られるので、自室で着るにとどまっている。
「あー、やっぱタンクトップは涼しいなー」
ベッドに腰掛け、寛いでいるとドアがノックされた。桜は横着に、腰掛けたまま声を上げた。
「だれー?」
「俺だけど、入ってもいいかな?」
「コンラート?どうぞー」
扉が開き、見慣れた恋人の顔が覗く。と、その表情が一変し、素早く自らを室内に入れ、扉を後ろ手で閉めた。
その頬は赤く染まり、視線は桜のきょとんとした顔と、広く開いた胸元を往復している。
「サ、サクラ・・・その格好は・・・」
「あー、暑いから。部屋の中で着てる分には構わないでしょ?コンラートだってアメリカにいたんだったら、これくらいの格好で驚かないでよ。
ところで、どうしたの?」
桜は右手を団扇のように振りながら、いつもの調子で言うと、コンラートは片手で自らの顔半分を抑えた。まるで、何かに耐えているかのよう。
「話があったんだけど・・・今日はやめておくよ」
「え、何?別に私用事ないよ?いいじゃない、ゆっくりしていきなよ」
桜は立ち上がり、飲み物を取りに行こうと部屋の端にある冷蔵庫に向かった。
その背中に、暖かいものがぶつかる。
「コンラート・・・・?」
振り返ろうとするが、硬い力で抑え込まれる。
「俺を見ないで・・・サクラが望むような顔をしていないから」
「私が望む顔?私はそんなこと思ってないよ?」
桜は不思議そうに力を込めて体を彼に向き直す。
ちょっと両手で彼の胸を押せば、簡単に空間が出来た。こうでもしないと、コンラートの顔を正面から見れない。
コンラートは、真っ直ぐ桜を見ていた。その眼差しは、今までに見たことのない、熱っぽさを秘めていた。
その眼差しの意味が分からないほど、子供じゃない。
桜は、自分の気持ちに逆らわず、素直に彼の胸へ体を預けた。
「サクラ・・・」
その体を抱きとめ、コンラートは困惑したような表情を浮かべた。
大事にしてくれている。その思いが強すぎて、自ら感情を抑えている表情。
それを見上げ、桜は段々体が熱くなってくるのを感じた。気温のせいじゃない。
この人のせいだ。
「コンラート・・・好きよ」
その言葉がコンラートの耳に流れるや、彼は弾かれたように彼女を両腕で抱きしめた。
そして、いつものように優しいキスを落としていく。
髪、耳、頬、・・・そして唇へ。
「サクラ、愛している。ずっと、傍に・・・」
「傍にいるわ。あなたが私を嫌だと言う日まで」
「じゃあ、永遠に」
コンラートの口付けは、優しくそっと触れるだけだったのに。
次の瞬間から、今までにないほどの激しさを増していた。
するりと舌が入ってくると、桜の口内を満遍なく動き回り、とまどう桜の舌をも巻き取り蹂躙している。
「あ、はぁ、は・・・・」
桜は久しぶりのディープキスに・・・しかもあの、ずっと優しいキスだけだったコンラートの激しいキスに、
体と頭がついていけなかった。そして、体が流されていく。
コンラートの手が、頬から胸元へ降りてくる。そっと、タンクトップの膨らみへと触れる。
「嫌・・・?それだったら、そうと言ってくれないと。止められなくなる」
首筋を優しくキスしてくれる、それでも苦しそうに言うコンラートに、桜はくすりと笑って、彼の頭を抱き抱えた。
知らなかったの?首筋は、私の性感帯。あなたがこうして、私の首筋にキスを落とすたび、いつでもあなたを迎え入れる準備をしていたのに。
あなたは、私を求めていることを罪に思っているようだけど、本当は、私があなたを欲しかった。
だから、望もう。素直に。
「コンラート、私を抱いて・・・」