固定資本と流動資本とでは、回転の仕方も回転時間も異なること、また、同一事業における固定資本の構成諸部分も、それぞれ寿命も回転の仕方も異なること、を見てきた。
このように、それぞれが寿命も回転の仕方もことなる生産資本の構成諸部分の総回転は、固定資本の回転と流動資本の回転をあわせた「平均回転」として規定される。
とくに同一事業における固定資本の構成諸部分の、量的にばかりではなく質的に異なる特殊な諸回転を、回転時間の長さでのみ分析できるようにするために、生産資本の構成諸要素を、貨幣資本循環形態G…G'の回転形態に還元する。すなわち、「貨幣形態への復帰が回転の終結となるように、この資本の要素をすべて貨幣形態に固定させる」。すると、たとえば、つぎのような例をあげることができる。
総資本 10万ポンド・スターリング〔ps〕
固定資本 8万ps、再生産期間10年 年間8000psが還流
流動資本 2万ps、年に5回転
年間回転量 固定資本8000ps+流動資本10万ps、計10万8000ps
年間回転数 1.08回転
この例の前提によれば、年度末に資本家の手にもどるのは、新たに流動資本に投下する2万ポンド・スターリングと、摩滅によって固定資本の価値から分離した8000ポンド・スターリング。そのほかに、これまでどおり生産過程に存続する固定資本価値、7万2000ポンド・スターリング。固定資本が生産物形成者としても価値形成者としても機能しつくして更新されなければならなくなるまでには、なお9年を要する。固定資本が寿命を終えるまでの(この例で言えば10年にわたる)資本の諸回転の全体は「回転循環」と規定される。
資本主義的生産の発展は、固定資本の物質的摩滅の度合いをますます小さくし、寿命を長くする一方、恒常的な変革によって社会基準上の摩滅のために補填される必要も増大させる。この物質的摩滅と社会基準上の摩滅とを総合した固定資本の寿命は、大工業の主要産業部門においては、(マルクスの時代において)およそ10年と想定できる。
この固定資本の寿命によって決められる回転循環に、周期的恐慌の物質的な基礎がある。この回転「循環のなかで、事業は、弛緩、中位の活気、大繁忙、恐慌、という継起する諸時期を通るのである」。資本が投下される時期は、個々まちまちではあるにしろ、恐慌は新投資の巨大な出発点をなすのであって、次の回転循環のための新たな物質的基礎をつくり出すのである。
流動資本の異なる構成部分の回転における現実上の相違と外観上の相違について。個々の資本家において支払期限や信用関係によって資本の構成諸部分の周期にちがいが生じるが、これらを資本の本性から生じる回転の区別と混同してはならない。流動資本の回転に区別が生じるのは、「流動資本の個々の要素が他の要素よりも長く生産過程の準備段階……にとどまらなければならないときである」([188])。
この章のさいごの段落部分がよく分からない。以下引用します。
……信用制度は、商業資本と同様に、個々の資本家にとっての回転を変化させる。信用制度が社会的規模で回転を変化させるのは、信用制度が生産ばかりでなく消費までも促進させる限りでのことである。[188]