水無月のある一日


サヨコ:
昨日の抜けるような青空と違って今日は曇り空

ベランダから地面を見て驚いた
濡れてる・・・
月曜から梅雨入りかとは言ってたけれど、悲しすぎる
それにしても昨日、サイジョウ君をせかして洗濯をさせていてよかった
大量にあった洗濯物(どこから湧き出したのかと思うほど大量だった!)
このまま梅雨入りしてたら大変な事になってた・・・。
 今は午前7時半。
仕事がなくてもこの時間には起きて動くようになった。
秘密だが、毎日6時に目がさめる。
目覚ましがなくても、休日でも、目がさめる。
とても年寄りくさくてサイジョウにはいえないけれど。

いつもはしないが、こんな朝は特別だと冷蔵庫を開けた。
ブロッコリー、新玉ねぎ、新ジャガイモ、ベーコン、卵・・・。
昨日サイジョウ君と補給した冷蔵庫にはたくさん素材がある。
さてさて、彼が起きてくる前に、何を作りましょう。

ドアの向こうで健やかな寝息を立てている、たっぷり眠れる子どものようなサイジョウに、たっぷりの朝食を。
料理は気持ちが作る。
きっと今朝もおいしい朝食ができるに違いない。


 シホ:
今日はコンビニに寄って帰った。
コンビニで入浴剤を買った。
疲れたのよね、今日は。
晴れたから張り切って仕事をした。
また新たな年度末を迎え、書庫に書類を持っていった。
梅雨入りした6月の空気はたっぷり湿気を含んでいて、盛大に汗をかいた。

だから、入浴剤。
この入浴剤はぶくぶく泡が出る様子が気持ちがいい。
暑いからクール。
ライムスカッシュの香り。

ポトンとお湯に落とすと、ぶくぶくと幾千もの泡が出る。
それと同時にハワイアンブルーが広がった。
おお!涼しげ。

お湯につかる。
どんどん濃くなるブルー。
一日中会社にいるため焼ける事のない肌に泡がボツボツついていく。
爽やかなライムの香りがする。
コレはアレだな。
ウォッカのソーダ―割に入っているライム。
    
おお!ウォッカ風呂!

シホは自分の想像に思わず
ふふふ
と笑った。
笑った拍子に肌についた泡がパチパチとはじけた。


ナカムラ:
何がどうなってこんなに部屋がもので溢れてしまうのか分からない。
大体今週は忙しくて部屋にほとんどいなかったのだ<。
寝に帰るだけだったのだ。
それなのに、それなのに・・・自分の周りはモノで溢れている。
一体どうして!
右を見ると電気使用量のお知らせの紙、コンビニのビニール袋、手帳、文房具。
左を見るとたたむのが面倒くさくてそのまま放置された洗濯物、帰ってきてからそのまま置かれた鞄。
見ない振りをしているが電話もテレビもうっすらほこりをかぶっている。
面倒くさい・・・。
このまま寝てしまいたい。
だけど・・・。
ナカムラは携帯メールをあける。

「明日はいなりです。上手く出来たから楽しみにしててね。 ミカコ」
明朝、ヒヤマがいなり寿司を持ってくる。
きっとお重に入れて、いなりの上には木の芽なんて彩りに沿えて持ってくるに違いない。
料理教室の先生とお母さんにたっぷり鍛えられたヒヤマの料理の腕は中々本格的だ。

いなり・・・美味いだろうな・・・。
だけどここはごみ貯めだな・・・。
うおおおお。
ナカムラはごみの中をごろごろ転がってみた。
少しほこりが舞い上がり、ナカムラの背には色んなものがごつごつ当たった。
 しゃーない、ヒヤマのためだ。
ココは男を見せないと。
ナカムラはハンカチを洗濯物の山から取り出し、ちまちまと膝の上でたたみ始めたのだった。
夜11時40分の出来事である。
きれいになるのはいつのことやら。