<漸化式と特性方程式について(数学教育の観点から)>
<本論の目的>
高校の教科書、受験参考書、数学のこの方面の大学程度の教科書、
さらに専門書での漸化式の取扱いについて検討してみる。専門の数学
(差分方程式が妥当であろう)から観れば、漸化式は関数方程式に含
まれる。特に、解析学の立場、特に微分方程式論の立場に立てば、こと
線形なるものについては、数学的構造は微分方程式や積分方程式とまったく
同じである。その他の数学では少し事情が異なるように観える。
受験数学では、特性方程式なるものが好んで用いられいるが、これは本来の
数学や物理数学での意味と違うように観える。
以下このことについて、議論してみる。
ところで、漸化式(差分方程式)と微分方程式あるいはもっと広く線形な関数方程式
(差分微分方程式、微分差分方程式、編微分方程式など)
な関する数学的構造や名前は共通である。
●例えば、次のような記述がある。
| <隣接2項漸化式;離散型の1階の差分方程式とも呼ばれる> 特性方程式 漸化式 an+1=ban+c に対して、x=bx+c を特性方程式という。 解説; もとの漸化式が an+1−α=b(an−α) の形になれば、an−α が等比数列になるので、まず、この形にすることを 目指す。上式のカッコをはずして、 an+1=ban−bα+α 係数を比較して、 c=−bα+α α=bα+c となり、αは方程式 x=bx+c の解となる。 つまり、特性方程式の解を、もとの漸化式の両辺から引くと、等比数列を導ける。 |
|---|
ここでの
| 特性方程式 漸化式 an+1=ban+c に対して、x=bx+c を |
|---|
は誤りである。
ここでのαは数列の平行移動である。あるいはこの数列の
均衡点(不動点)である。
また、関数方程式観れば。αは特殊解でもある。
詳しくは以下のサイトを参照してください。
漸化式の特殊解と一般解について
ある漸化式の特殊解と一般解を用いた解き方
それに対して次の記述は妥当である。
<隣接3項間漸化式;離散型の2階の差分方程式とも呼ばれる>
特性方程式
漸化式 an+2=ban+1+can に対して、x2=bx+c を特性方程式という。
解説
もとの漸化式を
an+2−αan+1=β(an+1−αan)
の形にすることを考えます。カッコをはずして、
an+2=(α+β)an+1−αβan
係数を比較して、
b=α+β、 c=−αβ
よって、2次方程式の解と係数の関係より、α、βは2次方程式
x2−bx−c=0
の解となる。逆に、特性方程式の解をα、βとすると、もとの漸化式は
an+2−αan+1=β(an+1−αan)
an+2−βan+1=α(an+1−βan)
と書ける。
初項、第2項をa1、a2 とすると、
an+1−αan=βn-1(a2−αa1)
an+1−βan=αn-1(a2−βa1)
(α≠βのとき)
両辺の差を取って、
(β−α)an=βn-1(a2−αa1)−αn-1(a2−βa1)
より、
an={βn-1(a2−αa1)−αn-1(a2−βa1)}/(β−α)
(α=βのとき)
an+1−αan=αn-1(a2−αa1)
両辺αn-1で割って、
an+1/αn-1−an/αn-2=(a2−αa1)
これは、数列 an/αn-2 が等差数列であることを表している。
初項は a1/α-1、公差 (a2−αa1)であるので、
an/αn-2=a1/α-1+(n−1)(a2−αa1)
両辺 αn-2 を掛けて、
an=αn-1a1+(n−1)(αn-2a2−αn-1a1)
an=(n−1)αn-2a2−(n−2)αn-1a1
<2階の漸化式の例が有名なフィボナッチの数列(受験数学でも)である> ⇒レオナルド・フィボナッチ(イタリアのピサの人)
この漸化式(フィボナッチの漸化式)の特性方程式による本格的な解法は次のサイトをみてくだささい。
●微分方程式論から観た漸化式の解法について
● 漸化式の解法サイト
なお、入試問題を解くに当たって、良くまとめられいる次のサイトにある事柄が基本である。
● 基本的な漸化式の解法
漸化式の研究(発展編その他の数学への応用
(積分への応用):大学入試の数学等から)
●連立漸化式の行列による解法
連立漸化式の行列による解法(PDF)
●3項間漸化式(特性方程式が虚数解のとき)(PDF)
<数理科学の世界に戻る>
数学(指数関数など)が解からなくなったら CatMath へ行こう。
数学と旅が面白くなったら 数学をめぐる旅 に出よう。