『DOLL UP』
広くてガラス張りの綺麗な洗面台に掛かる鏡面に向かい、目を閉じる。その洗面台に斜に座り、閉じた瞼にシャドウを引く男は何を考えているのか分からない。
数日前、家を追い出され路頭に迷った時に声を掛けられ招かれたこの部屋。以前に見知った人間ではあったが親しくは無かったのに着いてきてしまった割りには何事も無く居候の身になった。
「何がしたかったの?」
一番の問題を口にする。
「着せ替え人形が欲しかったのかなー、化粧栄えとドレス栄えのする良いルックスだと思うよ」
あまり褒められている気のしない返答を聞きながら口紅を塗られる。
「まあ、暫く居ればいいじゃない」
そう言って微笑む彼をやっぱり理解は出来そうに無い。
end.
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