三毛猫の尻尾
古寺の縁側に姫が一人、白猫の尻尾をいじくり倒している。
「お前、十年以上生きているんだろう?」
ふてぶてしい相貌の白猫はそれを鬱陶しげにバッと払うとのっしのしと去っていってしまう。それを留めようと尻尾に手を伸ばすが空振りに終わる。立ってまで追いかけようとする気はないのか無駄に重い着物を整える。
ふぅ〜とため息を吐いて柱に凭れ掛かり塀を眺めていると一匹の三毛猫が通りかかる。その尾に揺れる長い尻尾が不意に二本に見えて飛び上がった。重い打ち掛けを取っ払いその装いに反して俊敏な動きで三毛猫をとっ捕まえる。
「喋れる?喋れるんでしょう?」
にゃぁとも鳴かない三毛猫に「だってほら」と持った尻尾を二つに分ける。
「喋れたら何だというんだ?」
「友達になりましょうよ」
意外な答えにポカンとしている三毛だったがおずおずと答える。
「まあ。話し相手ぐらいなら……」