手作り製本の強度測定道具と結果
2005/8/12、2006/11/22
測定
説明
製本結果の
引張り強さ
隣り合った2枚の引っ張り強さで測る。
場所は各ページの天地の真ん中あたり。
最初の2枚、真ん中の2枚、最後の2枚の3箇所で測定したほうが良い。
接着強度にバラツキがあるため。
製本結果の
引裂き強さ
隣り合った2枚の引っ張り強さで測る。
場所は各ページの天、および地から約1cm。
用紙の脱落は端から起こる。
引張り強さの約2分の1で弱い。
用紙の強さ
用紙を幅1cmに細長く切って両端を引っ張り強さで測る。
【動機】
いろいろな方法で手製本している。同じ方法でも手作りすると、すべて世界で一つだけの製本になり、同じ物はできない。落丁がない製本が一番重要である。今まで出来上がった本の強さは、強いとか、弱いとかあいまいな表現しかできなかった。難しいけれど、定量的に測定できる道具を作ってみて便利なので公開します。これで測定して製本技術の開発をします。
よい物を作るには、いくら技術、知識、経験があっても、やはり道具が決め手です。作る道具ができたら、出来上がったものをテストするための測定道具が重要になります。
蛇足ですが趣味の魚釣りで、ハリスなどの釣り糸の強さを測るときに、従来からバネ秤を使っていました。
【測定道具】
最大5kgまで測れ、メモリが50グラム単位についているバネ秤を購入しました。
バネ秤のフックにカモイ掛けを改造して、用紙をつかむ道具をつけていたが、手間がかかるので強力クリップに変更した(05/12/19)。用紙を傷つけないでシッカリ締め付ける構造が難しい。
【使い方】
1)用紙1枚をクリップで押さえつけ固定する。
2)左手で木の台を押さえて固定し、右手で隣の用紙1枚の端を指で持つ。
3)秤のメモリを見ながら、右手の用紙をゆっくり力をくわえて引っ張り、用紙が背から外れた時のメモリが引っ張り強度である。用紙が滑って外れ測定できないときは、クリップの上にもう一つクリップを重ねる。
用紙が破れると反動で、スライドするシリンダー、クリップがぶつかるので緩衝材をまくなどする。
製本結果の
引張り強さ
の測定方法
本の真ん中あたりを引っ張る時の、A4を二つ折りした1枚の紙を固定した様子。
製本結果の
引き裂き強度
の測定方法
本の端の引っ張り強さを測定している。一番弱い端を引っ張るので引き裂き強度ともいえる。
■
手作り製本方法と強度測定結果
2005.11.22、2006.1.2更新
本の丈夫さは用紙1枚を引っ張った時の強さで測定している。測定する道具は、手作りした
「手作り製本の強度測定道具」
参照。
この道具のおかげで実験が楽になりました。また、溶剤形のボンドG17、ボンドGクリヤーの容器を開発したのでテストが楽になっています。
補強紙の強さ、選択、使い方については
「手作り製本と補強用紙の強度実験」
参照。
手製本のベテランからは、そこまでやらなくても
「1枚をぶら下げて振って用紙が外れなければ十分だ」
といわれていますが、新技術の開発には、数値で把握が必須と思っています。
■接着剤による水平開き製本の強度差を比較
2006.1.2
●動機:
100円ショップで安い付箋紙が見つかり、材料集めが楽になった。
●実験本:
幅12mmのカラー付箋紙を購入し、4種類の接着剤でテストする。30枚で厚さ3mmの用紙。180度開き製本。
(1)用紙を4.5mm突出させる。(2)あらかじめ水1と木工ボンド1の比率で接着剤をつくっておき、接着面に塗り湿らせる。(水を均一に塗るのが難しいため)(3)金属ブラシで簡単に毛羽立たせる。(4)接着剤をつける。(5)用紙の側面を押さえる。
(6)背に接着剤を付ける。(7)背固め補強紙として「スーパー破れない」障子紙を被せて押さえつけ貼り付ける。糊の付いていないガサガサの面を貼り付ける。接着剤が反対面ににじみ出る。
●実験方法:
2枚の隣り合った用紙をゆっくり引っ張り、用紙が外れたときのバネ量りのメモリを読む。3回以上テストしその平均値。先に外れた弱い用紙の値になるので少な目の強度。
接着剤
強度(g)
12時間後
強度(g)
48時間後
備考
木工ボンド
400〜500
400
時間がたって何度も開いたり閉じたりするともろくなる?。
ボンドB1
400〜500
350
強度が安定している。
ボンドG17
300〜450
450
強度が安定している。
ボンドGクリヤー
200〜250
250
乾燥が遅く、強度が弱い
●感想:
(1)背の糊付け面の大きさが12mmx3mmで非常に小さいにもかかわらず、頁外れは1枚も無く、180度きれいに開いてよかった。0,1mmx12mmの糊付け面積でこれだけの強度があれば、用紙と用紙の間に0.1mmの深さで糊を入れれば完全水平開きとはではないが、3倍の強度だ得られる。
(2)今迄の値の3分の1ぐらいの強度しかない。原因推定 a)背をほとんど十分毛羽立たせなかった。 b)完全水平開きである。すなわち用紙と用紙の間に糊は全く入っていない。すなわち0.1mmの用紙の厚さで接着されているだけ。c)ボンドG17とボンドGクリヤーの強度が小さいのは、下地に薄めた木工ボンド塗ったため?。d)背の長さが12mmなので、端から6mmの場所を引っ張って強度測ったことになるか?
(3)今迄の経験からは、ボンドG17が圧倒的に強く接着できていたと思っていたが、数値からは意外に弱かった。 原因を追究する必要がある。
■ボンドB1
2005.12.18
木工ボンドでで製本して時間がたったものを、無理に水平開きさせ綴じ目が見えるようにすると音がして端の部分がすぐ外れた。木工ボンドはだんだん弾力性がなくなるらしいので、弾力のあるボンドB1でテストした。また丁寧に毛羽立たせた。
実験本:
05/12/15製本 A5サイズ、両面印刷二つ折り、水平開き製本
結果:
1)強度十分。
2)
習字紙を補強紙としたら習字紙が破れた(予想外)。
3)
端が1000g以上あるので、強度は十分。
方法
引っ張り強度
1.
水をつける
⇒ダンボールカッターとステンレスブラシで丁寧に毛羽立たせる
2.ボンドB1 3.指でつまむ
4.ボンドB1 5.習字紙で補強紙
●05.12.15
端から1cmで1.2Kg
端から1cmで1.4Kg
真ん中が2Kg以上。
次は、木工ボンドを使用し、習字紙より柔らかくて強い障子紙を補強紙として製本する予定。
■ボンドG17
2005.11.22
●動機:
年賀状の手製本をしてもらったが強度がはっきりわからなかった。ボンドG17を使いやすくした容器を開発して、テストを繰り返している。ボンドG17による製本方法を確立したい。
●実験本:
05/11/1製本 A6サイズ(7mm厚)、PPCペラ紙、水平開き製本
結果:
1)水をつけて毛羽立たせる場合と木工ボンドを付けて毛羽立たせる場合の強度はほとんど同じ。
2)
補強紙は破れないで、背と補強紙が剥がれた。
背のボンドG17があまりにも早く乾燥し凸凹なので背と補強紙の間に隙間があり、補強紙の効果がすくなかった。
3)
端が500g以上あり、真ん中が2Kg以上あるので、強度は十分。
方法
引っ張り強度
1.
水をつける
⇒「かかときれい」で毛羽立たせる⇒指でひろげる
2.ボンドG17 3.紙を被せてつまみすぐ取る
4.ボンドG17 5.PPCで補強紙
●05.11.22
3.7Kg、端から1cmで1.2Kg
●05.12.12
3Kg以上、端から1cmで1Kg
1.
木工ボンドをつける
⇒ダンボールカッターで毛羽立たせる
2.ボンドG17 3.PPCで補強紙
●05.11.22
4.5Kg、端から1cmで1.7Kg
●05.12.12
3Kg以上、端から1cmで1Kg
●感想:
もっと強度を増すためには、
(1)補強紙はPPC用紙は使わず、障子紙を使う。(2)乾燥の遅いボンドGクリヤーを使う。ボンドGクリヤーは透明なので綴じ目がきれい。(3)補強紙を貼り付けたあと、補強紙の上を金属ブラシで叩く。