●ベトナム戦争への道/米大統領の選択

   ヒストリーチャンネル@〜B  180分
   ケネディ〜ジョンソン


●THE FOG OF WAR
エロール・モリス監督のドキュメンタリー映画、The Fog of War はフォード一族以外から初のフォード社社長に就任してまもなくケネディ・ジョンソン時代の国防長官になったロバート・マクナマラが第二次世界大戦、キューバ危機、ヴェトナム戦争への自らの関与を中心に改装してゆく、というものである。北米版を買ったのだが珍しく日本語字幕がついていた。ヴェトナム戦争についての回想は以前に読んだ『マクナマラ回顧録?ベトナムの悲劇と教訓』(共同通信社)とほぼ重なる。また、左記の本でもこの映画でも触れられている、1995年から行われた当時のヴェトナム・アメリカ双方の政治家・軍人による会談については『果てしなき論争ベトナム戦争の悲劇を繰り返さないために』(共同通信社)で詳しく語られている(はず。未読)。
「ベスト・アンド・ブライテスト」の象徴であるマクナマラが率直に自らの侵した過ちや誤算、犯罪的行為を振り返っている姿はそれなりに印象的ではあるが、質問者もおそらくはアメリカ人であるためか、やはり日本人、キューバ人、ヴェトナム人の視点が欠けていることは否めない。例えば東京大空襲の指揮官、ルメイの「もし負けたら、我々は戦争犯罪人だな」という言葉は非常に衝撃的だが、いうまでもなく戦争犯罪は勝ったからといって免罪されるものではない。単に訴追するものがいなかったからうやむやになっただけのことである。またヴェトナムでの枯れ葉剤の使用を「戦時における道徳的曖昧さ」の例として挙げ、「どのような化学物質を使ってよいかどうか、はっきりした法はない」と語っているが、これは合法性と道徳性を混同したいいわけにしか聞こえない。マクナマラはカストロとも会談してキューバ危機を振り返る機会をもったが、その際カストロがフルシチョフに核ミサイルを使用するよう進言していたと聞かされて仰天する。確かにびっくりするようなはなしではあるが、キューバがアメリカから受けていた(そしていまも受けている)プレッシャーをわがこととして考えることができれば、そうした破れかぶれの選択も予想を超えたものではなかったはずだ。
とはいえ、負けた戦争を反省することさえ拒む人間が少なくないなか、勝った戦争や勝てなかったとはいえ負けたわけでもない(政治的には完全な敗北だが)戦争を自ら進んで、つまりは勝者に強要されることなく反省するという努力は高く評価されねばならないだろう。



●べ平連・小田実
ハイビジョン 特集 小田実 遺す言葉
2008.3.9 NHK 90分

2007年7月30日、作家小田実が胃がんのため亡くなった。余命数か月を宣告された小田は都内の病院に入院する際、200人の友人たちにがんであることを伝え、別れの手紙を送った。「もうデモに参加したり、集会でしゃべったりしてみなさんに会うことはないが、最期まで執筆は続けたい。みなさん、生きているかぎりお元気で」。覚悟の闘病生活…小田は「自分には遺(のこ)しておきたいことがたくさんある」と、治療の合間の撮影を提案した。 「何でも見てやろう」で一世を風びし、ベトナム反戦運動、阪神淡路大震災の議員市民立法実現などで精力的に活動し、小説、評論、紀行文、エッセイ、翻訳と多くの作品を書き続けた小田実。 最期の力を振り絞って病床で語り続けた。 小田は急激ながんの進行と戦いながらも、大きく世の中が変わろうとしている節目の今だからこそ、語らねば死ねない、という思いで「最期に遺す言葉」を語り遺(のこ)そうとしたのだ。激動の戦後日本を、常に最前線で体を張りながら語り続けてきた小田実。今、彼は何を日本人に遺(のこ)そうとしたのか。これまでの行動と言説の意味を改めて浮かび上がらせながら、「最期の言葉」の一つ一つに肉迫。“全身表現者”小田実のラストメッセージを伝える。

NHKハイビジョン特集「小田実 遺(のこ)す言葉」を観る。
昨年07年6月30日末期癌で亡くなった小田実氏の入院直前から死までをNHKカメラが追った記録。小田氏の青年時代から今に至るまでをNHKの記録番組などを使って構成されている。昭和20年3月14日の大阪空襲の中にいた小田氏は、日本政府がポツダム宣言を「黙殺」したために終戦前日の大阪空襲でなくなった人たちを人災だと規定した「難死」を思想の基点とし、「べ兵連」活動でのイントレピッドの脱走兵問題で人間の崇高さと日本政府の米国追従政策を暴く。そして、阪神淡路大震災で繰り返された市民への公的援助を後回しにした政策により亡くなった人たちを「難死」だと規定し、日本政府を断罪する(これはのちに「被災者支援法」となって実現された)。

常に小田実氏は市民運動の先頭を行く道標として、あるいは後から尻を叩くアジテーターとして強烈な個性を発揮した。時にその個性の強さから煙たがられる存在でもあったが、戦後の反市民的な自民党政権の欺瞞を暴く中心にいた。

小田氏が時に絶句して語った、「日本は、アメリカから貰った民主主義と自由主義というものに一つ大事なものを付け加えた。それが平和主義だ。そして今憲法改正で壊そうとしている」という趣旨の言葉を常に我々は肝に銘じてなくてはいけない。



「正義の戦争はあるのか〜小田実・対論の旅」
2010.12.11 NHK DVD 65分

▽「正義の戦争はあるのか」コソボの空爆など、「人道的武力介入」という名の下に行われている戦争は、許されるのか。作家・小田実さんが、アメリカやドイツの政治家・軍人・識者たちとの熱い対話を通して、戦争の本質を探る。▽「中国こども民主主義」“西欧的民主主義”が存在しない中国で、ある小学校が教育の一環で「級長を選ぶ」選挙を試みた。「選挙とは何か」をあらためて考えさせる。








ノンフィクションの世界

●ベトナム戦争