小説

          

ぶたみかん

(特にオチもメッセージもない小説です)

 乗り降りの激しい普通電車の中。私は2両目の優先座席を選び腰掛けている。高齢者、障害者優先であるはずの席。

私の横には小学生の男の子が当たり前のように座り込み、携帯ゲーム機に目を集中させていた。

電車は満員で目の前には、腰の曲がった白髪で細身の老婆が荷物を大事そうに抱え釣り皮に必死に手を伸ばし揺れに耐えていた。

小学生はゲームに夢中のようで目の前の老婆に気づかない。普通小学生のような若者は席を譲るのがあたりまえで、堂々と

優先座席に座り込んでいることすら間違っている。イライラしながらも子供を叱るべきか悩む。最近の子供は怒られ慣れていないし、

他人のわたしなんかが怒って、もしキレるようなことになっても面倒だ。

 ふと、小学生の手に持つゲーム機画面を覗きこむ。ゲームというものを詳しく知らない私にとって、画面に映る早々と動きまわる

色彩に目が追いつかず、こんなもののどこが楽しいんだろうと不思議に思いながらもその画面から目が離せなくなっていた。

子供が私の視線に気づいたようで怪訝そうな表情をし、何か用ですか? と聞いてきたので私はゲームをしたことがないので

是非一度体験してみたいと答える。子供は迷惑そうに「仕方ない、少しだけ」と私にゲーム機を渡してくれた。

なんだかワクワクした私はお礼を言い、ゲーム機を受け取る。ボタンは子供の汗でぬめぬめして気持ち悪い。

手のひらサイズでうまく持つことができる。ハイテクな機械に感心する。子供から簡単な操作方法を説明してもらう。

すべて理解できなかったがなんとか出来そうだ。

 電車はさらに満員になる。真夏の電車内はクーラーが効いていて気持ちがいいが、出入りでドアが開く度、生暖かい空気が入ってくる。

車内の人口密度はとんでもないことになっていた。目の前の老婆はどんどん窮屈そうに前かがみになっていく。

席に座っている私や小学生には何の窮屈さもない。

 

 私は広々とした草原にいる。馬や羊が走り回っていて糞が多い。常に足元を気にしなければいけない。

すると金髪の女性が現れ、名前はミシェルだと紹介される。ミシェルは私を連れていきたい場所があるので今すぐ来て欲しいと言う。

私は悩んだが付いて行くことにした。ミシェルは馬で来たのでその馬に跨った。

馬は人間二人を乗せるのは初めてで重いから私に降りてくれと言った。

仕方なくウンコまみれの草原を私は走ってミシェルを追いかけることになった。5分くらい走ると、だんご屋が見えてきたので

ミシェルは一度休憩したいと言った。私は賛成した。だんご屋で中古の馬が売っていたのでそれを買った。

これで少しは楽になると思ったが、なにせ中古なので走るのが遅くどんどんミシェルは遠ざかっていく。

さらに5分走るとコンビニがあったのでそこでも立ち寄ることにした。店員が「馬にはエキスを吸わせると早く走る」と

教えてくれたのでエキスを買い馬に与える。すると馬は狂ったように走り、すぐにミシェルの馬に追いついた。

ミシェルは追いつかれたのが不服だったのか「負けてたまるか!」と言って加速し、また見えなくなるまで遠ざかってしまった。

私はわけがわからないもののミシェルを追いかけていった。しばらく頑張っていた馬も、とうとう力尽きてしまう。

仕方なくその場に馬を置いていくことにした。馬から降り別れようとすると、行商人がやってきて「その馬を売ってくれ」と言うので

相応の値段で売った。行商人はその金で新しい自転車を買わないか?と提案した。たしかにこのまま歩いて

ミシェルに追いつけるはずがないし、まあ自転車でも気休めになるだろうと思い購入した。しかしその自転車が思いのほかよく走る。

もしかして馬より速いかもしれない。これならすぐに追いつけるだろう。いい買い物をしたと思った。

だがもう金も底に尽きそうで困った。しばらく走っていると子供がビニール袋と火バサミを持って何やらしていた。

止まって何をしてるのかと聞くと、馬や牛が漏らしていく糞の掃除をして草原を綺麗にしていると言う。糞掃除はいい金になるそうだ。

それを知り私も糞を拾って金を稼ぐことにした。子供に「金はどこの誰が渡してくれるんだ」と聞けば

「わからないけどいつの間にか財布に入っている。だから気にしたことがなかった」

と答えた。たしかに私も試しに糞を拾い財布を覗くと、わずかではあるが小銭が入っていた。

納得した私はそこで3時間金を稼ぐことにした。最前から作業していた子供のように速くは拾えないが、なかなかの金になった。

子供が「疲れたならここでテントを張って一晩休んでいったらいいよ」と薦めてくれたが

「追いかけないといけない人がいるからもう行かなくてはいけない」と説明しその場を後にした。

今日はいつまで作業を続けるんだい?と聞くと「そんなこと考えたことない。ただお金を稼ぐためにずっとここにいたから。

いつからここにいて、いつまでこの場所にいるのかもわからない」と言っていた。さらに自転車をこぎ続ける。

どんどん疲労が溜まっていく。その場に立ち止まりふと群青色の空を見上げる。

名前も知らない虹色の鳥が気持ちよさ気に私の頭上を越えていく。

綺麗な平原をイメージしたであろう音楽がどこからともなく聴こえてくる。早くミシェルに追いつかないといけない。

再び自転車をこぎ始める。

不思議な冒険の予感が風とともに駆け抜ける・・・

 

 駅員のアナウンスが聴こえ、ふと我にかえる。小学生の子が「そろそろゲーム返してよ。もう僕降りないといけないんだ。」

と強引にゲーム機を奪い返しそそくさとホームへ降りていった。席が空いたことを確認した目の前の老婆は、

私のヒザに手荷物を軽くぶつけながら急いで席を確保した。老婆から安堵のため息が漏れた。座れてよかったもの

だと私も安心する。この駅で半数近い乗客が降りて行ったが、新たな乗客が、生暖かい風を運びまた乗り込んで来る。

なので再び車内は満員となる。ドアが閉り次の駅へとゆっくり動き出す。私の背もたれ側の窓を強い風が揺らした。

となり車線を特急電車が横切った時の風圧だ。特急電車はあっと言う間に目的地へと過ぎ去っていき見えなくなった。

私は瞼を閉じ普通電車のゆったりとした揺れを体で感じながら眠りについた。

 

ホームへ 働くおっさん劇場日記

      意見 感想       

Counter

 

  あばかすまら  おぽこよも  おぽおぽ  ぶり  りす  ぴり プミライン  パンモアライン ファンモアライン

 いすざる  むねざる むねのり  むねぶり  ぶりのけつ  ぶりけつ  あばあば  きゃーいいな 味噌汁ボンバー

 まんま めんま めんちゃん  くりん  くりざる  りすざる

ぶのけつ  あすまら  きもぶり  しょんべらいん  はんまん もーさ  もりさん  かぼちゃ もも ぷみ おならくん