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『さくらのコート』・一次創作小説・長編・そんな僕らの青春(?)生活 |
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[前回のあらすじ]
班内で自己紹介。無口な祈咲が頑張る。ついでに人見知りな僕も頑張る。そして有無をいわさず班長をやらされ、最後には胤島が暴走。この状態を止められそうな武谷と兼里は自分は関係ありませんとばかりに無視。言葉という攻撃を受ける祈咲に巻き添えをくらう僕。誰か止めてくれっつーの!と内心で叫ぶ。
?1「まーまーしょうがないでしょ。アンタの性格上。」
?2「確かに。相手が里香ちゃんだったのも悪かっただろうけど。」
?3「二つ上にどーかん。」
知樹「・・・だから未登場キャラは出て来るなっての。」
?3「まっ、頑張ってー同類よ。じゃまた帰りのバスで。」
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Episode1 日常と非日常 ___Story1 新クラス考察 番外A 新メンバーはどんな人?
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例の班内自己紹介から一週間後。 やっとクラス替えのざわめきが消えてきて新しいクラスに馴染んできている感じだ。近新先生は新人教師としてまだ慣れていないようだが、クラスには少しずつ馴染んでいるように見える。
「起立! 礼! 着席!」
そして宣言通り学級委員になった胤島が号令をかける。今日も朝のホームルーム(通称SHL)が始まった。
「えっと、今日は一応平常授業ということで、時間割とかの変更はありません。提出物は・・」
いつも通り先生からの連絡、集配物の整理がある。僕は読書をしつつ、先生の声に耳を傾けていた。ちなみに歴史小説。
「・・ということで、今日も一日頑張っていきましょう。最後に言い忘れてたんだけど、各班班長は今日の放課後に3-Bに集まってください。班長会を行うので。」
ふむ・・・上杉家は関ヶ原の戦いで会津から米沢へ領地さくげ・・・ん? 今、先生は班長会って言ったか?
「久野。今の話聞いてたか?というか聞いてなかっただろ?」
「・・・ご察しの通りです。」
「今日の放課後に班長会があるってさ」
「元々始業式の次の次の日だったはずだよね?」
「ああ。」
「で、今日は何日だっけ?」
「今日は四月十三日。始業式から一週間が経ってるね。」
「・・・なんでこんなに遅れたんだ?」
「それは俺にもわかんねぇよ。まあ忘れな・・」
「そこ!ちょっとうるさいよ。ということで今日も一日頑張っていきましょう。」
起立!礼!着席。という胤島の号令で一礼する。近新先生は教室を出て行った。一時間目から授業を持っているらしい。大変そうだ。
しかしこっちも大変だ。なぜかって、一時間目・数学の授業の宿題が終わってないから。
「祈咲〜、宿題やった?」
「・・・やった・・・あれ?」
祈咲はバックを覗きながら唸る。
僕は後ろから祈咲のバックを覗く。数学のプリントが入ってるはずのファイルがバックに無かった。
「やったけど家に忘れた・・・」
「おいっ!」
よりによってこの重要な時に忘れたのかよ!見せてもらおうかと思ったのに!
「・・・ちなみに持って来てても見せないからね。」
「かん・・・・うるさい。」
考えを読むな!と言いたかったが、結局は図星なので黙っておいた。
しょーがない。とにかく出来ることをやるしかない! ということで、やる気を入れた僕は宿題のプリントを解きはじめた。
え?その後どうなったかって?
それは・・・聞かないほしい。 その後三分後に授業が始まったんだから、終わるわけないじゃないか。
相手は数学の、生活指導の先生だ。しかも、よりによって今日は何故か多くの人が宿題を忘れたらしい。これは昨日授業変更があったという先生の連絡を聞いていなかったからだ、という事を後日知ることになったが、はっきり言って今はそれどころではない。 怒りのゲージとも影で言われる先生の顔はどんどん赤みを増す。
武谷に後日、僕のその時の顔がとんでもなく青かった。と笑いながら言われた。同じく忘れた武谷も顔が青いのが見えんだけどね。
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※この先、会話主体の文章になり小説とは言い難い文章になっています。このようなものが不快な方はブラウザの『戻る』をお願いします。
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ブロロロ・・・・
『発車します。お掴まりください。』
そのアナウンスと共にドアが閉まる。そしてゆっくりと動き出すのが体で感じた。 京八電鉄バス・急行 朝焼けの里行き。八王子駅付近のバス停は通過するとのことでバスでは珍しい『急行』という種別がついている。 窓から外を見る。八王子という都会の光が窓から広く映っていた。
「で、最近どうよ?」
ポン、と隣に座る陸斗(リクト)に肩を叩かれた。なんとなくいい雰囲気を壊されたので僕はその手を掴んで捻る。
「いった。なにすんだよ!」
「捻っただけですがなにか?」
「えー!?酷い。ということでボクはこのリュックで思いっきり知樹の頭を叩く。」
ガコッというヤバそうな音と共に僕の頭はバスの窓に直撃する。頭にリュックというデカブツをのせられて。
「ちょっと、窓が割れたらどうするの!」
そう言ったのは前の椅子に座っていた綿実(ワタミ)。とりあえず僕の頭よりもバスの車の方が重要らしい。
しかも陸斗の開いたままのポケットのチャックから細長いなにかが落ち、僕の首に当たる。なんだろうと手で取るとそれは・・・カッターだった。刃は出てなかったけどね。
「あ・・・ごめん。」
「ごめんですむかぁ!刃が出てたらどうすんだよ!」
さすがに刃物は丁寧に扱ってもらわないと困るので、叱る。いつもの事だ。
「だよね。それは正論。」
相槌を打ったのは美沙(ミサ)だ。
「そうだよ。しかもそのカッターのストッパー機能壊れてるじゃん。別のやつの方がいいじゃん。」
綿実が真面目な顔をして言う。なんかズレてるような・・・?
「あーそれもう使えないやつ。普段はこっち使ってるから。」
陸斗はポケットから別のカッターを出した。
「それ使ってるんだ。それちょっと高いけど切れ味いいんだよねー」
綿実は制服の胸ポケットからカッターを出す。ちなみにこの四人中僕と綿実が私服、陸斗と美沙が制服だ。
「ていうか何で二人共ポケットにカッター?」
美沙の発言は最もだ。
「なんで・・・ってねぇ」
「まー何となく?」
「・・・この刃物好き二人組は」
とまで言った所で綿実に睨まれた。ので僕は「独り言」と返し、綿実はフンといった感じでそらした。
と、ここでいろいろと説明しておこう。
この、僕を含めて四人はいわゆる幼馴染。小学校低学年からの仲だ。どうやって知り合ったかは語りたく無いが、今でも結構仲良くやっている。 僕らは四人とも別の中学校に進んでいる。僕は立川の東都学園に。陸斗は相模県の県立中学に、美沙は都心にある頭の良い中学に、綿実は地元の中学の隣の市立中学に通っている。 で、二人だけ制服というのは陸斗と美沙は学校帰り、僕と綿実は塾帰りだ。偶然同じバスに乗り合せたのだ。 とはいえ、本数が少ないからよくあることなんだけど。ていうか登校するときは毎日同じバスなんだけど。
「で、最近学校どう?」
美沙が僕の方を向いて言った。バスは八王子市街を抜けて森がちらちらと見えはじめている。
「そういえば最近アンタの学校について聞いてなかったわね。」
「そーだね。知樹の学校っていっつもいろんなことやってるもんね。」
綿実と陸斗にも興味をもたれた。
「まあいろんなことをやってるのは否定できないけど。」
と前置きして話す。
「えーっと、最近でいうとクラス替えとか?」
「そりゃどの学校でもやるだろ。」
「私の学校やってないけど。」
「それで他には何かやった?」
上から僕、陸斗、美沙、綿実。陸斗がなんかガッカリしてるのは気のせいだろうか? とりあえず続ける。
「あとは・・・再来週に校外学習があったっけ。」
「へぇー。じゃあゴミ処理場とか下水処理場とか行くんだ。」(陸斗)
「ってそれは公害でしょ」(美沙)
「じゃ山とか?」(陸斗)
「それは郊外。」(美沙)
「でも港には行かないんだよね」(陸斗)
「だからそれは港外。」(美沙)
「ハイそこの漫才は置いていて。コウガイって学校の外って意味の・・」(綿実)
「普通聞かなくてもそうだろ・・・まあ港には行く予定無いけど。」(知樹)
「ほらやっぱり港外学習。」(陸斗)
「ちょっとアンタ黙ってろ」(綿実)
「・・・御免なさい。」(陸斗)
「綿実、ここ車内だから。運転手さんはいつもの事だから慣れてるだろうけど一応カッターは出さない方がいいから。」
美沙が言った。 バックミラー越しに運転手さんの呆れ顔が見えたのは気のせいだろうか?
(あの会話を毎朝毎朝聞いてたらそりゃ慣れるがな by大阪生まれの運転手)
「で、今の所は東都心タワーとかニュースカイタワーとか台場とかに行く予定。」(知樹)
「あれ?みんな違うの?」(陸斗)
「だって班事に行動するし」(知樹)
「それってやりたい放題じゃ・・・」(美沙)
「言うな。事実だけど」(知樹)
「少しは否定しなよ」(美沙)
「だって今の班のメンバーがねぇ・・・」(知樹)
「どしたの?」(陸斗)
「少し・・いやかなり個性的な人が多くてね」(知樹)
「へぇー、どれくらい?」(陸斗)
「このメンバーくらい」(知樹)
「それって相当じゃん」(綿実)
「綿実自覚あるんだ・・・」(美沙)
「だって否定しても誰も信じてくれないし」(綿実)
「あ、信用しなかったのボクだ。」(陸斗)
「陸斗がいえることじゃないと思うぞ」(知樹)
正直陸斗はトップクラスで個性的だと思うんだが。
「えーひどいぃ」
「それでどんな人なの?」
陸斗を無視して美沙が言った。陸斗がぎゃーぎゃー言ってるが無視して答える。
「んーと、学級委員やってる恋愛話に燃える女子とか、」
「あ、該当者一人。」
「凄いが付く程無駄にテンション高い男子とか」
「あーそんな人知り合いにいるわ」
「基本おとなしいけど上記二人にきっちり突っ込む女子とか」
「結構私の友達と似てるね。」
「って奇遇だな」
「そうだね。ちなみに名前は?」
「上から胤島、武谷、兼里って人。」
「あ、該当者一人。」
「あーあいつそんな名前だったっけ」
「完全に私の友達の名前だね。・・・って」
「・・・いや、マジか?」
僕と美沙は目で合図をし、綿実がポカーンとし、陸斗は頭の上にハテナを浮べていた。
やっと判ったのだろう陸斗が驚いた顔で言った。
「えー凄い奇遇じゃん!」(陸斗)
「そっか・・・あいつの事なら理解できるわ」(綿実)
「綿実は武谷と友達ってこと?」(美沙)
「知り合い。塾で中学入ってからずっと」(綿実)
「知り合いってそれを友達っていうんじゃ」(陸斗)
「黙って。あーゆー性格の人は嫌いだから」(綿実)
「うわ、バッサリ切り捨てたな」(知樹)
「ちなみにボクも塾繋がり。たしか塾の生徒講師役みたいのやってたような」(陸斗)
「なんだよそれ」(知樹)
「ていうか私も塾・・・ていうか保育園が同じだったから」(美沙)
「何この塾ネットワーク」(陸斗)
「世間は狭いといいますか。」(綿実)
『次は、横川・横川です』
ピンポーンという音が鳴った。誰かが降りるらしい。
帰りのバスの旅もあと半分だ。
「で、他の二人はどんな人なの?」
と陸斗。たしかに情報を持っていた方がいいだろう。
「馴れ馴れしくて・・・うるさくて・・・うっとおしいくて・・」
「うわすごい低評価だな」
「そりゃあね・・・同じ部屋にいるだけでイライラしてくるわ」
いくらなんでも悪評価過ぎのような・・・まあ綿実とは合わないんだろうな。
「僕は結構好感が持てたけど。胤島は?」
「知らない。」
「即答かよ」
「逆に考えて、ボクがあーゆー人と話すと思う?」
無いな・・・てか性格正反対だよな。
「あ、でも私と綿実は知ってるよ。」
「・・・あ、そうだね。たしか何かで一緒だったんだよね。なんだっけ?」
何かってなんだ。まあそれは置いておく。
「兼里は?」
僕は美沙に聞く。
「うーん、結構よく喋るよね」
「え?」
「で中学生らしからぬ話題とか振ってくるし。私も少し覚えたけど」
うーん、第一印象とかなり違う人らしい。
「らしからぬ、って?」
再び陸斗の頭にハテナが浮かんでいた。
「だって為替とか株とか言われてもねぇ・・・」
「は?なにそれ」
綿実が聞き返し、陸斗の頭の上のハテナは一つから三つに増えているように見えた。 という僕もポカーンとしていたのだが。
そんな三人に加えて中学がすべて同じクラスの超無口な祈咲が班のメンバーだ。
「・・・ほんっとに超個性的なメンバーが集まったみたいだな。四班は。」
このメンバーの中ではまだ僕が普通だと思う。
「今、アンタ自分の事普通だと思わなかった?」
綿実が怪訝な顔をして僕に言った。何か間違ってるかと思いながら、
「いや、僕って普通だよね?」
と逆に聞いた。
「いやそれは無い」
「それは・・・ちょっと」
「えーあり得ないよ。」
三者三様の、完全否定する答えが返ってきた。
おい・・・泣くぞ?
『次は、終点・朝焼けの里、朝焼けの里です。本日も・・』
これは後日聞いたことだが、ちょうどバスを降りたときに会った部活帰りだった地元の友達によると、僕の顔がやつれているように見えたらしい。
僕・・・普通だよな!?
と半分ヤケクソになって僕は走るのだった。あと数時間後に見えるであろう朝焼けの方向に向かって。
先にバスを降りて走って行った知樹を見つめながら、残されたボクらは降りる。
「あれ、相当ショックがきてるんじゃない?」
美沙がつぶやく。
「まあ『そのメンバーの中で班長を引き受ける』って時点で普通とは言えないでしょ」
あれは正しいと断ずるように言うのが綿実。
「というかさ、」
ボクはそう前置きして話す。
「『この』四人のメンバーに入ってる時点でじゅーぶん個性的じゃない?」
その言葉に美沙と綿実は全くだというように頷いた。
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Story 1 完
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