画家のユートピア(Oct.25, 2009)
券を頂戴し、初台の「オペラシティー」に奥山民枝さんの展覧会に行く。同美術館の蒐集したcollection展で、この間銀座で見たのよりやや古いが、かなりの数の作品(100点という)が展示されている。animismのutopia、野も山も生き物のよう。そこでの人も獣も鳥も植物も皆非Darwin的でおっとりと共存している。「時間も空間も命に似て有機的に動いている」とは彼女の言葉だそうである。我々社会科学の世界ではutopiaは人間界のものだが、画家は宇宙的utopiaを描く。多少Henri Rousseauの作品を思わせる世界だが、彼の世界がodd worldであるところに力点があるのに対し、民枝さんのは文字通り理想境で、若き日から繰り返し繰り返しそのutopiaを描き続けて来た。最近の作品はいよいよ深くpoeticalで、宇宙論的感動のこもったものになってきている。無機的な宇宙、Hobbes的社会の中で、こういうutopiaを描き続ける彼女に多少悲壮なものを感じないでもないが、善良な彼女はこのようなutopiaに近い人間関係をまわりに作り出しているのであろう。愛犬Enaに死なれて失意のうちにあるが、尾道での人間関係も良好で、学生にも慕われているというし・・・。Hobbes的世界をmodelとして思考し、生涯を終えようとしている私ごときには到底到達できない心境である。宇宙全体を生物modelで描いた性善説思想家のAristotelesが絵を描いたら、こんな作品だったかも知れない。今度の展覧会にも愛犬Enaが二度登場している。