数学英語

澤山 晋太郎

 

まえがき

小中学校や高校で扱うような数学の英語というのはあまり一般の人には知られていない。例えば、自分は塾を経営しているのだが、生徒に3×8を英語で何というのか尋ねてみたのだが、正確に答えられた生徒はいなかった。掛け算のことをmultiplicationとは教えられているのだが、かけるを何と言うのか知らない生徒がほとんどだった。ちなみに、3×8three times eightという。かけるをtimesというのだが、それを知らない生徒は多い。高校までの英単語ではネイティブは当然のように知っているような英単語をあまり指導していない。日本の英語学習で習得できる英語とネイティブ英語ではかなりの差がある。そのようなネイティブなら必ず知っているけれども、日本人が知らないような英単語をまとめた本として、word by wordという洋書やOxford picture dictionaryがある。または、ネイティブ用の子どものための百科事典として、Scholastic Children’s Encyclopediaも有効な本だと思う。しかし、ここでは初等数学で用いられる数学英語だけの説明をする。

 

小学校数学

 まず、小学校の算数で使う英語を説明したい。数学はmathematicsに対して算数はarithmeticという。算数というか、算術のような意味である。確かに小学校では四則演算の方法を習得するなど算術を行っている。昔はそろばんを使った授業が行われていた。ちなみに、四則演算のことはfour arithmetic operationsという。+plusでもいいのだが、andでもいいし、addでもいい。足し算のことをadditionという。-minusでもいいし、subtractでもいい。引き算のことをsubtractionという。×はtimesでもいいし、multiplied byを使ってもいい。ただし、multiplied by は堅苦しい言い方である。通常はtimesを使う。掛け算のことをmultiplicationという。÷はdivideなどである。÷に関してはoverbyでもいい。ちなみに、3÷8three divide by 8など、なにで割るかをbyによって表す。3/8などはthree over eightもしくはthree by eightなどといって、分子から言う。割り算のことはdivisionという。=であるが、equalsでもいいし、isでもいい。分数のことをfractionという。方程式はequationである。ちなみに、割り算の商をquotientといい、余りをremainderという。ちなみに、1/3などはone thirdなどと数詞でいう。数詞でいう場合は分子と分母が小さな数の時だけである。分母のことを英語でdenominator分子のことをnumeratorと呼ぶ。

 

中学校数学

 次に中学校で使う数学の英語を説明したい。xのような変数をparameterと呼ぶし、xのようなものは代わりになる数として、代数(algebra)と呼ぶ。実は中学生には代数学の初歩を指導している。解くというのはsolveという。We solve this equation.などという。ちなみに、Iを使うのかWeを使うのかで学者の中で意見が分かれる。しかし、Weを使う学者のほうが圧倒的に多い。これは数学や物理の結果は人類に共通だからweを使うようになっている。ただ、高校生まではIを使ってもいいと思う。±のことはplus or minusと中にorを入れる。数のことはnumberと呼ぶ。有理数のことはrational number、自然数のことはnational number、整数のことはintegerと呼ぶし、少数のことはdecimalと呼ぶ。ここで非常に重要なことは複数の数を扱うときは必ず複数形にすることである。numbersintegersdecimalsなどである。またこの複数形は一般に数全体のことを指すときにも使う。例えば、I read a book. I read the book. I read books.では意味が異なる。一冊の本を読んでいる場合に、一番初めの表現がまず用いられ、二回目からはthe bookになる。三番目の表現は「私は読書している(本を読む習慣がある)」という意味で使われる。したがって、一つの数を扱う場合はnumberでいいのだが、数全体を扱う場合はnumbersとする。このような冠詞や数詞の概念は日本語にはないので理解が大変である。ロシア語では数詞がもっと複雑になる。そして、一つの数を扱う場合はa numberan integerなどaanを必ずつける必要がある。無理数のことをirrational numberという。ここでもan irrational numberirrational numbersで意味が異なってくる。前者が一つの無理数を扱っているのに対して、後者は無理数を全体的に扱っている。ここで、小学校の算数に戻ると、足し算は全体的にはadditionsになり、引き算は全体的にはsubtractionsになり、掛け算は全体的にはmultiplicationsになり、割り算は全体的にdeviationsになる。実数はreal numbersになる。一つの実数を指す場合はa real numberである。

 一次方程式はlinear equationと言って、線形方程式と直訳される。方程式には線形か非線形かあるのだが、これは大学の線形代数までやらないと理解できないと思う。非線形の理解はもっと難しくて、微分方程式(differential equations)の中にsinなどが入っている場合に非線形と呼ばれる。一次方程式全体を扱うときはlinear equationsである。または、simple equationsにもなる。連立方程式のことを、simultaneous equations という。このsimultaneousの発音であるが、シミュルから始まってもサイミュルから始まってもどちらでもいいようになっている。Simultaneousには「同時に」の意味がある。連立方程式でも一次方程式の連立方程式ならばsimultaneous linear equationsという。平方根のことをsquare rootという。日本ではルートと呼んでいるので、注意されたい。先ほど発音の話をしたが、英語にはアメリカ英語とイギリス英語の二つがある。ちなみに、イギリス英語はイギリス以外に、インド、オーストラリア、ニュージーランドでも使われている。Tomato, potato, pajamaなどは中学校ではアメリカ発音を教えているのだが、日本語でいうトマト、ポテト、パジャマの発音でもいいし、それがイギリス英語の発音である。後はeitherのことをアイザーと発音する。

 二次方程式はquadric equationsという。解の公式はthe quadric formulaという。ここで、解の公式にtheを付けたが、このtheは誰もが知っているからや、普遍的なものだからtheが付いている。このような場合は文章に初めて登場するときからtheを付ける必要がある。比であるが、ratioを使う。5:3a ratio of 5 to 3という。因数分解のことをfactorizationといい、素因数分解のことをprime factorizationという。このfactorizationであるが、factorからの派生語である。Factorに分けることから来ている。もちろん、因数のことはfactorである。因数分解は展開(expansion)の逆であることは習ったと思う。We expand a function.などと言う。今言ったが、関数のことはfunctionと言う。関数全体を言うときにはfunctionsを使う。ちなみに、functionsは複数形なので、誰もが知っていることでもtheを付ける必要はない。特定の誰もが知っている関数ならthe functionになる。二次関数ならば、quadric functionsである。平方完成のことをcomplete the squareという。

 次に図形の話をするが、figuregraphで意味が異なる。Figureというものは図形を表し、graphは関数や数値のグラフなどを指す。ただし、中学校の図形はユークリッド幾何と呼ばれるものである。これは古代ギリシアにユークリッドという数学者がいて、その人がまとめた数学だからである。ユークリッドは英語発音で、ギリシア語発音ではエウクレイデスになる。中学校の図形のことを幾何学といい、geometryという。特にユークリッド幾何はEuclidian geometryである。ここで、Euclidianは固有名詞なので、誰もが知っていることでもtheを付けない。しかし、相対論で登場するアインシュタイン方程式にはtheを付けて、the Einstein equationになる。合同はcongruenceで、動詞で使う場合は、congruentである。相似はsimilarityであり、動詞はsimilarである。三角形から十角形まで言うと、triangle,  quadrangle, pentagon, hexagon, heptagon, octagon, nonagon, decagonとなる。ここで、pentagonなどはアメリカの国防省の建物で、五角形をしているので有名である。ただ、9.11テロによって一部破壊されることになった。六角形でhexaを用いるのは化学の六角形の構造でも同じである。八角形でoctoを使うのはoctopus(タコ)October(八月)と共通である。十角形でdecaを使うが、小学生のころにデカcmなどのあまり使わない単位を教えられたと思う。線はlineであり、直線はstraight lineである。角はangleである。角度はdegreeで表す。30°ならthirty degreesなどである。ここで、degreesのように複数形で表す。One degree以外は複数形になる。角ABCのことはangle ABC、で表す。辺はsidesであり(辺は常に複数あるので複数形になる)、頂点はverticesである。頂点も複数あるので複数形になる。正三角形はequilateral triangleであり、二等辺三角形はisosceles triangleである。台形はtrapezoidtrapeziumであって、前者はアメリカ英語で、後者はイギリス英語である。平行四辺形は、parallelogramである。ひし形は、rhombusである。日本式のひし形のイメージではなく、斜方形のイメージがある。円のことはcircleという。楕円はellipseである。中心角はcentral angleで、円周角はcircumferential angleという。

 

高校数学

 次に高校数学で使う英語の説明をしたい。二次関数に関してはquadratic equationsと説明した。二次方程式をsecond order equationともいう。三次方程式はthird order equationである。これは関数にも言えて、first order function, second order function, third order functionとなっている。

三角比であるが、trigonometric ratioという。サインのことはsineとかく。コサインのことはcosineとかくタンジェントのことはtangentとかく。正弦定理のことをsine theorem といい余弦定理のことをcosine theoremと呼ぶ。ここで、theoremというのは定理という意味の英語である。定理でも強い定理と弱い定理がある。例えば、正弦定理は強い定理であるが、三角比の性質は弱い定理である。そのような定理はlemmaと呼んで区別する。数学の中ではdefinition(定義)→lemmatheoremというような順番になっている。Theoremには理論を意味するtheoryが類似の英語として存在している。

次に確率であるが、確率のことを英語でprobabilityという。順列はpermutationである。組み合わせはcombinationである。確率をpで表し、順列をPで表し、組み合わせをCで表記するのにはそのような理由がある。二項定理のことをbinomial theoremという。集合のことをsetといい、部分集合のことをsubsetという。ここで、subは下位構造の意味で使われていて、setの前にsubが付くことによって、中に入っている下位構造の集合という意味を発生させている。事象のことをeventという。ちなみに、任意のはarbitraryで、特定のはespeciallyを用いる。数学記号で∀∃というものがあるが、これはターンAやターンEと呼ばれる。これは任意を示すarbitraryAと特定のを示すespeciallyから来ている。

次に高次方程式であるが、high degree functionsと呼ばれる。分数関数はfractional functionsである。また、実数のことをreal numberと呼んでいたのに対して、虚数のことをimaginary numberと呼ぶ。複素数のことはcomplex numberと呼ぶ。相加平均はsummation meanで、相乗平均はgeometric meanという。

次に図形と方程式であるが、内分と外分はinner divisionouter divisionである。座標のことをcoordinateという。x-y座標ならx-y coordinateなどと言う。距離のことをdistanceと呼ぶ。通常のピタゴラスの定理(Pythagorean theorem)によって定義される距離はEuclidian distanceと呼ばれて、相対論で使われるLorenz distanceとは区別する。このような固有名詞が最初にある単語にはtheを付けなくてアインシュタイン方程式にはtheを付けるのは、アインシュタイン方程式があまりにも有名で、一つの方程式の名前になってしまったからだと思われる。長さのことをlengthと呼ぶ。接線のことをtangentと呼ぶ。後は非常に重要なことであるが、方程式を解く場合に We derive this equation as follows,

(数式).とする。ここで重要なのは数式も文章のうちと考えることであって、.を最後に入れることである。後は方程式を導き出すときにはderiveを使う。解くときはsolveで、得られた時はobtainedを使う。後は証明するときはWe prove following equation.などとする。Following equationは以下の方程式と言う意味で、上記の方程式を意味する場合はthe above equationを使う。

 次に三角関数であるが、Trigonometric functionsという。加法定理のことはadditional theoremと呼ぶ。二倍角の公式はDouble-angle formulasで半角の公式はHalf-angle formulasという。三角関数の合成はcompositions of trigonometric functionsという。弧度法で用いられる単位はradianである。弧度法はcircular measureである。このmeasure であるが、測度を意味する単語である。指数関数はexponential functionsで、対数関数はlogarithmic functionsである。多項式は polynomialを使って、微分にはdifferentiationsを使う。ちなみに、微分するはdifferentiateを使う。積分はintegrationを使い。積分するのはintegrateを使う。例えば、We integrate above function.などと使う。このように、above functionfollowing functionの前にはaanを付けない。極限のことをlimitという。極限を取ることをWe take a limit of this function.などと言う。関数の前にある係数のことをcoefficientと呼び、定数をconstantと呼ぶ。積分定数のことをconstant of integrationと呼ぶ。数列のことをprogressionsseriesと呼ぶ。等差数列のことをarithmetic seriesといい、等比数列のことをgeometric seriesと呼ぶ。和はsummationであり、和の記号としてΣが用いられるが、これはギリシア文字のσの大文字で、英語のsと同じ発音をするから和の記号としてΣが用いられる。ベクトルのことをvectorsという。ここでベクターが正しい発音である。内積のことをinner product外積のことをouter productという。ちなみに、面積のことはsurfaceといい、体積のことはvolumeという。シュワルツの不等式はSchwartz’s inequalityといい、ケーリーハミルトンの定理はCayley-Hamilton theoremという。行列のことはmatrixという。逆行列のことはinverse matrixという。条件付き確率のことをconditional probabilityといい、平均値のことをmean valueといい、期待値はexpectation valueと言われる。ただし、平均値も期待値も同じものである。平均値にmやμを用いるが、これはmean valueから来ている。μはギリシア語でmの発音をする。また、期待値でEを使うが、これはexpectation valueから来ている。分散はvarianceで標準偏差はstandard variationsである。これによって、分散がVで表され、標準偏差はσ(ギリシア語であるが、発音はs)で表される。チェビシェフの不等式はChebyshef's inequalityである。