HAPPY BIRTH DAY !!




春のような陽光が湖を照らし、その湖面には穏やかな風で波紋が揺らめく。
いつも穏やかな聖地は、この間新しい女王が就任したばかりのまさに生まれたてといってもいいだろう。

司る力は歴代の女王を遥かに凌ぐとまで言われた第256代女王、ミカル。
彼女は過去の束縛にとらわれず、いつも暖かな笑みを浮かべて傍らで微笑む女王補佐官と共に宇宙を、そして人々の心を潤していた。


『女王になったからといって、私は変わりません。ミカルは、ミカルですから・・・』

そういって無邪気に笑う女王には、老若男女全ての人々に慕われている。
そんな彼女に、ファンがつかない方がおかしいと言える。

現に『ミカル様解体新書・LAS新聞社編集』には、しっかりと女王のプロフィール等が記されているのだ。
みなそれを頼りに是非ともミカル女王に気に入られようと地方からの献上品を携えて日々努力なのである。

「・・・・はぁ〜・・・・ちょっと疲れたなぁ・・・」

ミカルはこきこきと体を曲げながら、女王執務室から見える森の湖の微かな光に目を細めた。

女王候補だった時は、自由だった。
ロザリアや主護聖様達とピクニックに行ったり、庭園で散歩してみたり。
そりゃあ下界に居た時よりも大変な事だらけだったけど、少なくとも。
「睡眠時間3時間以上はあったし、バスタイムだって十分以上あったし・・・それに」
それに、大好きな『彼』が時折デートに誘ってくれた。


―――恋人に、なりたかった。


彼の告白を受けて、幸せになりたかった。
でも、『世界の泣き叫ぶ悲鳴』に耐えられなかった。

今は穏やかな寝息を立てているように静かな宇宙が、あの時・・・試験終了間際には、私とロザリアには耳を塞ぎたくなるような断末魔が聞こえていた。

「・・・・はぁ〜〜〜・・・」

ごろん、とミカルは椅子の背もたれに傾れかかりながら、羽ペンをくるくると指で回してみる。

女王就任した時に光の主護聖様から貰い受けたもので、使い心地は手に馴染んでとてもいい。
いつも執務の合間には息抜きのように遊んでいる。

・・・・だけど、今日はさすがにつまらない。


だって今日は・・・・私の誕生日なんだから。



「遊びにいきた〜い・・・お日様にあたりた〜い・・・」

お仕事は大切だって分かっているけど、たまには・・・年に一回くらい息抜きしたっていいじゃない?

女王だって、人間なんだし。

でも、扉一枚隔てた向こうには・・・鬼の女王補佐官が見張っているだろうから、脱出は無理そうだ。

「ふぅ・・・」

結局ミカルの意識は手元の書類に戻った。
これさえ片付けてしまえば、きっとちょこっとは外に出して貰えるかもしれない。
そう考えながら。




―――その頃、『ミカル解体新書』を見ていた九人の主護聖達。
その手にはしっかりと各々がそろえた品物がある。

「問題は、どうやって女王補佐官の意識をそらせるか、ですよね」

「ええ、その為には候補時代ロザリアと仲の良かったオリヴィエが適任かと・・・」

「ちょ、ちょっと!あたしだってあの子にプレゼント渡したいってば!そんなに言うならリュミちゃん行けばいーでしょ!」

「ああ、私は争い事は苦手なのです・・・」

「そういってしっかりとその手に握られている鈍器はなんだ」

――――と、まぁ、そういう話題で騒ぎながら宇宙の神様的存在の彼ら九人は歩いていた。



庭園を悪目立ちしながら突き進むと、ようやく敷地面積1000坪を超える女王宮へと辿り着いた。

「前任の女王陛下が新しい女王に残されたお屋敷ですが・・・立派ですよねぇ・・・」

ルヴァの声に、皆ごくんと生唾を飲み込んだ。

主護聖の館が大体400坪あるとしよう。
つまりは東京ドームと草野球のグラウンドくらいの差があるのだ。

あまりのゴージャスさに、声も出ない主護聖達。

「と、とりあえず・・・プレゼントだけ補佐官に渡しておくとするか」

ジュリアスの言葉に、ぎこちなく頷く主護聖。
だが、その中の一人は、こっそりと裏道へと姿を隠す。

どう考えたって、あの『女王は私のものよ!お〜っほっほっほ!』な補佐官が素直に女王に渡すわけはないから。
そして、抜け出した主護聖はもちろん、ミカル女王の秘密の恋人である『彼』だ。



コンコン。
窓をしきりにノックする音に集中力を遮られたミカルは、そっと窓に手をかける。

「・・・・・あっ・・・」

外で手を振る彼に驚きつつも、急いで窓の鍵を開けた。

さっと部屋の中に入ってくる彼の手には、レースの紙袋に包まれたプレゼント。

「開けて・・・いいの?」

頷く彼に微笑みながら、ミカルはそっと紙袋の中身を取り出した。

そこには、彼女の欲しがっていた『セイラン抱き枕』と、『オスカー特製有機栽培薔薇の鉢植え』とか、『ゼフェルの館のロボ』がつめこまれていた。

それらを大切に見ていたミカルに、彼の顔にも笑みがこぼれる。

再度部屋から出て行こうとする彼に、ミカルはそっと彼の腕を掴んで引き寄せる。

「待って・・・ね、何か忘れ物してない?」

ここで?というような視線に『駄目?』と必殺ポーズをきめるミカル。

彼はそっとミカルの頬と腰に手をかけ、そのまま『本当のプレゼント』を渡す事に成功した。

「んっ・・・・ふふ、ありがとうvそれじゃ、気をつけて帰ってねv」

手を振り、彼とまたしばしの別れにため息をつきながら、ミカルはそっと三つの贈り物と最後の口付けの幸せの余韻に浸っていた。

その時、扉が大きい音をたてて開かれた。


「ろ、ロザリア?」


カツカツとヒールの音が響き、彼女は手にもっていた袋をどっさりとミカルの机に乗せた。

「な、なにこれ?」

驚くミカルを見ながら、

「これは私からよ。・・・お誕生日おめでとう、ミカル」

そういって立ち去る補佐官に微笑みながら、ミカルはそっと袋の中身を見てみる。

そこに入っていたのは、主護聖からのカードと、そして・・・。

「何・・これ・・・医学書と魂を呼び込む笛?と・・・穴の開いたコップ?」

呆然としたミカルが、その後彼以外の主護聖に『酷いです〜!!』といって目も合わさなかったのはいうまでもない。


「簡単に私からミカルを奪えると思っているのかしら♪」



そんな補佐官の密かな呟きが聖地に響いた・・・・

Fin




―――■風兎■――――
ミカルさんへ。
お誕生日おめでとうございますv遅くなってごめんね。
ミカルさんのお好きな主護聖様のお名前をいれてねv
来年は教官様達も交えちゃいますv
それでは、HAPPY BIRTH DAY!!


うひゃひゃひゃひゃ(≧∇≦)/
風兎さんありがとぉぉぉぉ。
最後の最後であの落とし方!! ロザりんに擦りかえられる前の、皆様の素晴らしいプレゼントが一体なんだったのか気になる所〜。
う〜ん、自分がリモちゃんになってるなんて、とっても嬉しいよぉ♪
ミカルは勿論ゼー様がファーストですけれど(^^)、皆様素敵すぎて選べませんでした(* ̄∇ ̄*)
しかし、ロザりんったら策士〜!! 絶対敵に回してはいけないお方☆
え? 風兎さん。来年は教官様達も!! おおおお……嬉しいけれど、きっとセイラン様に蜂の巣にぃぃぃ!!(ゴホゴホ!!)


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