書簡









6月13日


『大好きなセイランへ♪

あのね、すっごいニュースなの!! 私今、下界にいるんだ〜♪
ロザリアに泣いて『セイランと暮らしたい』って頼んだら、しぶしぶOKくれたから、アリオスにお願いして魔導で体作って貰ったの。
これで私、セイランのお嫁さんになれるし、家庭作って、貴方と私の子供も生める♪
でもね、貴方の所に行くのはもうちょっと待ってね。
アリオスが『ロザリアと守護聖達対策』って、私に戸籍と養父母の準備をしておいてくれたから、しばらくは大人しく家族ごっこするの。
だって、ジュリアスにバレたら大目玉だし、ゼフェルが絶対真似したがるのは目に見えてるもん。それに、正体がバレたら、直ぐ聖地に戻されるって、ロザリアと約束してしまったし。
ほら、私が変な前例を作っちゃったら駄目でしょ。一応この宇宙の女王なんだもん。歴史書に残っちゃう。



夏休みには一度貴方の所に遊びに行くね。今、旅費を稼ぐために一杯家の手伝い…、牧場を手伝っているの。
馬の世話は大変だけど、生き物はほんとに可愛いのvv

だから、セイランは絶対に私の知らない隠れ家に潜っちゃ嫌よ。
あ、それともどっかで待ち合わせする?
主星でデートも楽しいよね。

それじゃ、また連絡しま〜す♪


アンジェリークより☆彡』





6月15日


『やぁ、アンジェ。

正直、知らないアドレスで君からのメールが届いているのを知った時、最初は誰のいたずらだろうと不愉快に思ったさ。けれど、こんな突飛なことを思いついた君は最高だ。全く、君はいつも僕の理解の範疇を超えてるよ。

ねぇ、僕のアンジェ。今からすぐにでも、君に会いに行きたいって言ったらどうする?

なんてね。
今、君に会ったら最後、きっと僕は君を浚わずにはいられないよ。
だから、君の望む通り、夏休みまではおとなしくしている。


それまで短い間だけれど、君は新しい家族と楽しく過ごすといい。
夏になったら、君をフォレスト星に持ち帰るからそのつもりで。
僕自身がデザインした、最高の花嫁衣裳を準備して待っているよ。


セイラン』



6月20日


『強引なセイランへ。


んもぅ、相変わらず我侭なんだからぁ!!
セイラン、アリオスの努力を無駄にしちゃ駄目なのよ。それに私、今の私のお父さんとお母さん、お兄さんとお祖母ちゃんを悲しませたくないの。

この人達ね、私をとっても可愛がってくれているの。実は本当の娘を先月亡くしていて、アリオスの暗示で私を失ってしまった本当の娘だと思い込んでくれているんだけれど、またすぐに娘を失わせて悲しませたくないの。
でも、私だって貴方と一緒に暮らしたくて、下界に降りた訳だし。


だからね、一生懸命考えて、良い事思いついちゃった♪
ねぇ、どうせ私を持ち帰るつもりなら、私の今の家族が納得するようにしようよ。

例えば、貴方がお忍びでスケッチ旅行に来て、私とここの牧場で恋に落ちるの。
それで、今の私の両親に、「お嬢さんを僕にください」って言うの。
かけおちも楽しいけれど、セイランなら私をお嫁にくださいって言っても、きっとうちの家族は反対しないと思うよ♪
セイランは変人だけどかっこいいし、性格破綻者だけど高名な芸術家だし、クラヴィスのように寡黙になっていれば、皮肉屋の毒舌家なんて絶対ばれないもんね♪

ね、丸く収まるでしょ♪ ね、そうしよう♪♪

という訳で、強引な方法は駄目なのよ。今、しっかりきっぱりお願いしたから、よろしくね。
じゃ、そろそろ寝ま〜すvv お休み。


楽しみにしているアンジェより♪』




6月30日



『やぁ、アンジェ。

喧嘩を売っているとしか思えない、勇気あるメールをありがとう。
君に悪気はないってことは、十分理解していたつもりだけど、今度会ったとき、お仕置きを覚悟しておくよう、僕は今忠告したからね。


さて、前置きはともかく。

君から貰ったメールを見たけれど、実に安易で面白みのないシナリオ運びに爆笑したよ。
この僕が、何の特徴も無い田舎の牧場にスケッチ旅行に行って、家の仕事を手伝っているだけの平凡な君と恋に落ちる?  ま、君が望むのなら、一目ぼれなりなんなりして求婚してあげてもいいけれど、折角一気にバージンロードを駆け抜ける予定なんだ。もう少し、誰もが納得するドラマチックな演出が欲しいと思わないかい?


だから、以前君が夏休みに僕の所に来ると言ったろ。
その時がチャンスだと思わないかい?
夏になったら、君はちょっと背伸びして、宇宙船で一人旅をするんだ。
そして、その宇宙船に調度乗り合わせた僕と、運命的な恋をしよう。

君のために、誰もが納得するぐらい、熱烈なラブストーリーを作ってあげるよ。
本気で君が、もう一度僕に恋をするようにね。


じゃ、君が宇宙に旅する日が決まったら連絡して。
僕も準備に入るから。


セイラン』





7月3日


『うわ〜い、セイラン、聞いて聞いて♪
今日私ね、何故だか知らないんだけれど、学校代表に選ばれちゃったの♪
主星への、社会見学ツアーに行けるのvv 夏休み前に、宇宙に行けるのよvv
えっへへ〜♪
これもきっと、日頃の行いがいいからだよね、えっへん。

えっとね、出発する日が7月14日。
……私の誕生日の翌日だ。あううううう〜。


誕生日の日に、貴方に再会するっていうのも素敵だなって思ったんだけれど、贅沢言っちゃ駄目…だよね。
ま、いいや。うふっ。
主星到着予定が7月19日。そこで三日間社会見学して、戻ってくる予定が7月27日よ。
うふふふ♪ 以後十日ちょっとでセイランに会えるんだ。
一杯抱きしめて、一杯キスして、一杯お話しようねvv

それじゃ、お休みなさい〜♪


浮かれまくっているアンジェより』




7月5日


『やぁアンジェ。

君はほんと、いつも僕を驚かせてくれるよ。
出会って、恋をして、一生に一度のドラマチックなプロポーズ。その準備をたったの10日でやれなんてね。

僕の数少ない人脈を駆使して計画を練った結果だけれど、君と再会するのは24日に決めたよ。
どんな風に僕が現れるかはナイショ。
ああそういえば、僕、今の君を知らないんだった。

僕だけ苦労するのは割りに合わないから、君は、一目で僕を魅了するぐらい、美しくして待っててくれ。ああ、いつもの博物館から借りてきたような、趣味の悪いロングドレスは、僕の好みでは対象外だって、一応忠告しておくよ。

君が僕のために、その身にどんな装いを纏うのか、非常に楽しみにしている。
頑張れよ♪



セイラン


PS.これから準備に入るから、メールは…そうだな、7月22日まで通じなくしておくよ。その方が、君がペロリとネタバラシしたりして、僕の楽しみを半減させたり、君がそうそうに諦めて、僕の頼みを無碍に断わったりできなくなるからね。
君がもし、僕を満足させられなかったら、お仕置きは二倍にするか。体力をつけておいてくれ』






「にゃああああああ〜。セイランの意地悪〜!!」




アンジェはディスプレイの前で突っ伏した。






Fin.

04.09.14




とっかかりは、こんな所で。
タタタタッッ≡≡≡≡≡ウリャθ ̄∇ ̄)θ☆スパパーン (ノ゚听)ノハウッ!


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