With Love
――触れ合えば・・・紅――
毎夜―――夢に見るのは貴方の姿・・・
愛しい貴方はどこにいるの?
手を伸ばしても届かない
貴方の光で私を導いて――――・・・
月が美しい夜でした。
炎の守護聖の私邸に飢えてある百万本の薔薇が赤く透き通るように輝いていました。
「オスカー・・・遅いな・・・」
その日オスカーは聖殿からの緊急収集を受けました。
何の用事かは分からないけれど、心配するなといって出て行きました。
「アンジェリーク様、それでは我々は帰らせて頂きますが、お気をつけて下さい」
そう言って帰っていった執事達を見送った私は寝室へと向かいました。
何故かとても―――嫌な風が吹いていました。
「おかえりなさい、オスカー・・・」
オスカー。
『愛してる』と続くはずだった私の言葉は呻き声となって彼の耳に届きました。
目の前に散りばめられた紅の花びらが降り注いでいました。
散らばる花びら。
舞う紅。
そして、そして――――悲しみに濡れた貴方の紅・・・
それから私は毎日彼に囁いた。
夢に見た跡もずっと―――囁いた。
そうすれば貴方に声が届く気がして。
いつまでもどこまでも囁いた。
助けて、助けて、助けて、助けて、助けて―――
恐怖感が押し寄せてきて私の心が少しずつ壊れてゆくのが分かった。
それでも私の唇から漏れる言葉はたった一つ。
オスカー。
愛しい貴方の名前だけだった。
オスカー。
暖かな貴方が、私の中に熱となって注ぎ込まれた。
燃えるような、命。
私の体が熱くなる―――貴方の温もりを取り込んで
貴方の体から少しずつ命を吸い取って生き返る私にキスをくれた。
貴方の体が壊れてゆくのが分かった。
「―――オスカー・・・愛してる・・・・」
彼の言葉で冷たい私の体にほんの少し熱が戻り、私の手が彼に触れる。
「ああ・・・・アンジェリーク・・・・・」
私は彼の流した紅の花びらを見上げる。
とても甘い香りがした。
花びらの付いた指を私は動かした。
唇をなぞると、微笑んだ。
そして私の中でまた大きく脈打つ彼が
私を満たしてゆくのが分かった。
『愛してる』
囁いた彼の瞳がどこか遠くを見ていた。
私の中に彼の命が注ぎ込まれると
私は永遠に満たされ続けるのだろう。
私が気付きさえしなければ―――・・・
だから私は彼に抱かれる。
愛しい彼の壊れた心を。
―――例えそれが神をも裏切り彼を狂わせる鎖になっているのだとしても
月が紅く輝いた夜の事だった。
FIN
