燃え尽きぬ願い




『流れ星が瞬いている間に願いをかけると・・・願いが叶うなんて、誰が最初に言ったんだろうな』

太陽に照らされて、きらきらと神秘的な輝きを、夜の闇に脅える者達に月は差し出す。
その月の周りに無数に散らばる星の輝き。
エリューシオンに、星の雨が降り注ぐ。
こんなにもたくさんの流れ星。
たった一つでいい―――願いをかなえてください。
――・・・このまま・・・今のまま、私は、女王になんてなれない。
せめて、ほんの数分でいいから・・・時を、戻して。

今日こそ、告白するんだって、意気込んでた。
いつもの倍も長くお風呂に入って、制服のしわさえ気になって。
約束していた時間が来るのが、待ち遠しくて。
「・・・変じゃ、ないよね」
いつもと同じ制服なのだから、気にする事もないのに、浮かれていて。
どきどき、どきどきって、胸が弾けそうなほど、胸が鼓動を早めながら彼を待っていた。
「お嬢ちゃん。用意は出来ているか?」
「・・・はい!今、行きます」
部屋の外からかけられた声に、心臓はもう破裂してしまいそうだった。
部屋を出る前に、鏡台の前で前髪のはねを気にしながら、大慌てで荷物を持って、部屋を出た。
「今日は、いつもよりさらに可愛いな」
「・・・そんな・・・」
お嬢ちゃん扱い、なのに、それすら、嬉しかった。
彼の可愛いっていうのは、お子様に向けられているんだと知っていても。
気付いてくれただけで、嬉しかった。
「今日は、どこへ行きたいんだ?」
「森の・・・湖へ」
答えは、決まっていた。
ずっとずっと、何度も間違えないように復習しながら、彼を待っていたから。
これが、最後のチャンスだったから。
「・・・了解。それじゃ、行こうか・・」
「・・・・はい」
片思いでも、よかった。
これから、自分がどんなに悲しむ結果になろうとも、よかった。
振られるのは、確実。それで、よかった。
・・・後悔しながら生きるのだけは、嫌だったから。
湖へ繋がる道を行きながら、彼は私に言った。
『代々、女王が即位なさる時は・・・大陸に、宇宙に、溢れんばかりの星が流れるんだそうだ。流れ星が瞬いている間に願いをかけると、願いが叶うなんて、・・・誰が最初に言ったんだろうな』
そういって、少し、瞳に影を落として。
瞳を、閉じた。

「森の湖って、何て呼ばれているかしっていますか?」
はやる言葉を抑えながら、私は滝の方を向いたまま、彼に言った。
湖面に映る彼の仕草一つ一つに、どきどきしながら。
「それは、いつも俺が君に言っている言葉だぜ?・・・恋人達の湖。ここで告白して、カップルとなった恋人達は、永久の幸せを得られる、だよな」
「・・・・当たり、です」
二、三度、私は深呼吸し、湖面に映る彼の顔のあたりに手を伸ばし、そっと触れる。
「――――じゃあ、私がこれから、言いたい事・・・分かりますよね」
・・・彼の、体が私の方へ向き直るのが見えた。
彼の姿を映した水が、波紋を広げるのを見ながら、私は大きく息を吸い込んだ。
「―――――お嬢ちゃ・・・」
彼の声が耳に届いた。
その瞬間、私の体が、急に光り始めた。
一体、どうしたのだろうか。
私が思わず、彼を振り返った瞬間、森の湖にいたはずの私たちは、大陸―――エリューシオンの真上に、いたのだ。
「こ、これはっ・・・エリューシオン!?」
自分の大陸が光り輝いている。
眩く、眩く・・・光が溢れ出すように。
幾つもの星の大群が、押し寄せて、私と彼の頭上に降り注ぐ。
「・・・まさか・・・・」
彼の声が震えた。
満天の星空から、流れ落ちてくる星たち。
補佐官様に聞いていた、女王の決定の合図。
・・・私が、女王に、決まった?
「いや・・・いやっ・・・・お願い・・・嘘・・・」
言葉がもつれて、思ったとおりに言葉が出ない。
慌てふためく私を、彼はじっと見ていた。
その瞳に、涙を浮かべて。
「・・・今となってはもう、遅いけれど・・・」
そういって、ふわりと、風が舞う。
視線が、交じり合い、触れるだけのキスが、終わりを告げる。
諦めたような、諦めきれないような、彼の声が耳に届いた。
『愛してる・・・今日、君に伝えたかった』
アイスブルーの瞳から、私以上に、涙を流した。
私は、これ以上ないというほど、大きな声で叫んでいた。
嘘、嘘だ、早すぎる。
あと数分、あとほんの一分でもいい。
お願い、時間を、戻して。
後悔、したくないの。
「―――お願い・・・!!時間を、戻して・・・!!」

・・・・・・・・・・・。
あの後、私は目も眩むような光に飲み込まれたのを覚えている。
そして、今、・・・・。
「流れ星が瞬いている間に願いをかけると・・・願いが叶うなんて、誰が最初に言ったんだろうな」
隣で、そう呟く彼。
私は、言った。
「きっと、星がそう願ったんですよ。月と一緒に、私たちを照らしてくれている、優しい星達が・・・」
闇の中で泣いている、者達に。
月が隠れている、その時も。
願いを、叶えてあげたい。
月が無い夜は、精一杯の輝きをあげたくて。
星は、願いをかけながら・・・燃え尽きる。
「自分達が精一杯の力で光り輝きながら、消えていくその一瞬を、魔法に変えて」
だから
私は
・・・貴方に言いたい事があるんです・・・



■風兎■
はてさてこれは・・・・(苦笑)
流れ星って、一瞬で、輝きも失っちゃいますよね。
それって、願いを叶える為に、これからずっと月の側で輝いているぶんの力を使っちゃっているんじゃないかな〜とか思ったんです。
切なく、最後幸せ〜な感じにしたくて、頑張りましたv
ミカルさん、二万ヒットおめでとうございます〜v

ありがとう風やんさん♪
すごい素敵な話に目がうっとりとしてしまいました。星に願い……アンジェとオスカーの気持ち、届いて良かったです。
アンジェが幸せになれるのなら、宇宙が滅んだって(おいこら!!)
月の側で輝くなんて、すごくロマンチックな言い回しですね♪
オスカー様もこれで幸せ。
ミカルも幸せ♪
いつも幸せなプレゼントをありがとうございます♪

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