森の湖



オレはずっと隠れている。
何から?
オレの視線の先にいる金の髪の女。
アンジェリーク・リモージュからだ。

オレがあいつを見つけたのは、単なる偶然。
オレが新型ロボットの試作飛行に、森の湖までやってきたら、あいつがもう、湖のほとりに座ってたんだ。
あいつは、湖の水をあたりにとばしながら、なんかぶつぶつ言ってやがる。
オレのところまでは、何いってんのか聞こえてこねぇ。
あいつ、転ばねぇだろうな。あんなところで。
どんくせぇ女だからな。

しかし、
何でオレはこんなところに隠れてんだ。
いくら条件反射でも、別にやましいことはしてねぇのに。

「おい、なにやってんだ。オメェ」
オレは隠れるのをやめた。丈の低い樹を飛び越える。
「えっ!?ゼ、ゼフェル様!き、きゃあ〜〜」
あいつは自分の撒き散らした辺りの水で、立ち上がった拍子に思いっきり滑りやがった。
「なんでオメェは湖の方に転ぶんだよ!」
「ご、ご、ごめんなさい」
オレはぎりぎり間に合ったらしい。あいつの声がすぐ側で聞こえて、後から甘い石鹸の香りと、頬にあたる柔らかい感触に気が付いた。
「うわぁ!」
「きゃ」
抱きしめていたらしい身体を、つい突き飛ばしてしまった。
「わ、わりぃ…大丈夫か」
「…………」
怒らせちまったかな。
いつもなら『ひどい、ゼフェル様。突き飛ばすことないじゃないですか』で、笑って終わりなんだけどよ。
「お、おい。どうした」
まさか、泣いてんのか?
「………い」
今、なんか言ったか?
「なんだ、なんか言ったのか」
「そんなに、わたしのことがきらい…?」
泣いてはいなかった、笑ってもいなかった、こいつにこんな顔ができるなんてオレは思ってなかった。
「とっさに突き飛ばしちゃうほど、わたしのことがきらいなの?」
こいつ、何言ってんだ?
「そんなんじゃねぇ。はずみだ、はずみ」
「……………」
なんでそこで黙るんだよ、おめーは。いつもと違うじゃねぇか。
「何かあったのか?」
あ、声に出ちまった。
「…なんでもないです。ごめんなさい」
それがなんでもねぇ顔か!おめーは単純なんだから、全部顔にでるんだよ。
…あ、すっげぇ腹立ってきた。
「なんなんだ、オメェはよ!そんな顔してなんでもねぇはずがねぇだろうが!!いえよ、なんなんだよ!」
「言ってもしかたないんです!」
言い返してくるのにまた腹が立って、どんどん気持ちが昂ぶっていく。
「オレが言えっていってんだよ!」
「いや!もう、わたしのことなんてほっといて!!」
放っておけ?おめーそんなことマジでいってんのか?
「もう、ゼフェル様なんてだいっ嫌い!」
いきなり冷水ぶっかけられたみたいにオレの頭が冷え切った。瞬間冷却。だからだろ、その後はその分怒りが爆発しちまった。
「…っざけんじゃねぇ!オレはオメェがすきなんだよ!アンジェリーク」
「うそ!」
「オレがなんで、んなウソつかなきゃいけねぇんだよ」
「うそうそうそうそうそ」
「いーかげんにしろっ!!うそじゃねぇ!!」
「だったらちゃんと言って!どうして怒りながらいうの、ちゃんと言ってよ」
「オメェが怒らせたんだろーが!」
「ちゃんと…言ってよ」
こいつが泣きそうになってるのに、オレはやっと気がついた。
くそっ、ぜってー一回しかいわねぇからな。
「オレはオメェが好きだ。アンジェリーク」
途端に泣き出しやがった。なんで泣くんだ、おめーはよ。オレがせっかく、こっぱずかしいの我慢してんのによぉ。そんなに嬉しいのか?……そんなはずねぇな。
「泣くんじゃねぇ」
「ご、ごめんなさい」
かなり不機嫌な声だな、オレ。まぁ、目の前で女にめそめそ泣かれて機嫌よく笑ってろって言われたってオレには無理に決まってんだろうけどな。
しばらく待ってもこいつは泣き止まなかった。
いーかげんオレもおめーの泣き声は聞き飽きたぜ。…いつまで泣いてるつもりだ。
「もう、いいだろ」
「ぐすっ…は…はい…」
なんでまたオレの顔見て泣くんだよ。はぁ、ったくよ〜オレは何しにここに来たんだ。
そういやこいつは何してたんだ。
「おい、アンジェリーク。オメェ、さっきここでなにやってたんだ」
な、泣くんじゃねぇ…聞いちゃいけなかったのかよ、くそっ。
はぁ、オレさっきから泣くんじゃねぇ、ばっかりじゃん。
「ゼ…ゼフェルさ…ゼフェル様を待ってたんです」
「オレを待ってた…って、おい」
どーゆーことだよ、こいつ。約束なんかしてねぇぞ。……ここで、待ってた?オレを?
オレが言葉を出すよりこいつのほうが早かった。
「ゼフェル様がすき」
何か言おうとしたのに、オレの声は喉にはりついて。何を言おうとしたのかも頭が真っ白になって忘れちまった。
「ちゃんと言おうと思って、ここで待ってたの。お祈りしながら。そしたら…
小さくなってく声をオレはちゃんと全部聞いてた。
心の中があったかくなる時があるってルヴァの奴が言ってたけどよ、これがそういうことなのか。それに、オレの顔がオレの顔じゃねぇみたいだ。だめだ。これ以上、こんなところにいられねぇ。
「アンジェリーク、帰るぞ。送ってってやる」
「え、あ、はい」
手を掴んで立ち上がらせてやると、そのまま森の入り口の方に足を向けた。
「明日も、明後日も、これからずっとこうしてやる。だからもう泣くんじゃねぇ」
後ろをついてくる足が一瞬、ほんの一瞬だけ止まって、繋いだ手を握り返す力が少し強くなった。
「はい、ゼフェル様」
なんとなく、こいつが笑ってる、そんな気がした。



ゼ〜様だぁ〜!! うわ〜い!! ゼ〜様なのよぉぉぉぉ(壊れている)
ミカルのゼ〜様好きは、自分じゃ書けない程ですので超がつくほど嬉しいです。しかもオネダリした奴ではなく、萌子様のご好意で突然プレゼントしていただいたもの!!

予期せぬプレゼント程、嬉しい物はありません。
しかもこんなに可愛いリモ子を〜!! うっうっうっ……幸せ〜♪
このご恩はどしゃぶりで絶対に返しますから!!
頑張るぞ〜!!

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